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映画「怪物」 怪物だーれだ?ネタバレあり

前情報なしで観てきた。
瑛太も、子どもたちも、見え方が映画の最初とラストでまるっきり変わる。

Twitterを見ていたら、親、子ども、教師の誰もが怪物だった、という感想が多かった。

それを見た時、この坂本さんの脚本は、壮大な社会実験なんじゃないかという気すらした。

私には
「男らしくしろよ」
「あの先生、○○らしいよw」
「出た?」
「普通の家族を持って、、」
「おまえ、あいつのこと好きなんじゃないの?」
「あそこはシングルマザーだから」
「モンスターペアレント」
「みんなの前では話しかけないで」
事故や火事をスマホで撮る
手拍子を打つ
不確かな情報を伝える
保身に走る
トカゲのシッポを切る
謝罪で済ませようとする
「ご指摘は真摯に承ります」で済ませる

などなどの、言うならばメインキャスト以外の
人たちの、何の気無しにやっていることが
空気のように私たちがこれまで見過ごして
きたことが、見逃してきたことが
無数の棘や毒となって、
束になって、塊となって怪物になっている、

ように思われた。

怪物は、みんなの中に棲んでいる。
自分の加害性、加虐に気付いていない人が
映画の中のキャストたちの中に怪物を見、
これまでの自分の来し方に思いを馳せて
自らを省みる人は、己の中に怪物を見る。

とか書くと、これも加害になるんだと思う。

「男の【大丈夫だって】と
女の【また連絡する】は信用ならない」(意訳)は、言い得て妙!だった。

あの大雨をやり過ごした廃電車がシェルターだとしたら、
世の中がどんなに悪意に満ちていても、
毒や棘が思いもよらぬところから
突き刺してきても、

理解してくれる存在や、音楽や、映画や、本、推し、なんでもいいから、避難所になれる
何かがあれば、誰かがいれば、
光の差す希望は、きっとある、という
祈りにも似たラストに納得がいく。


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