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ミスターサンシャイン備忘録⑩「そんな人生でも 生きて」

自分の出自を明かし
「何に驚いた?
両班の言葉か?
私の身分か?」

に答えることができないエシン。

後に出てくるけれど、身分を軽んじれば罪人とされ
掟であり、この世の定めでもある身分制度。
本当に今の感覚からすれば愚かしいことだが、
管理する側からすれば、これほど便利でやりやすい方法は
ないのだろう。そこに疑いの余地などなかったということ。
閉じられた世界というのは、こわいことだと思う。
だからこそ、管理する側は、情報を遮断しようと画策する。今も。

重ねてユジンは問う。

「朝鮮を救えたら、誰が暮らせる?
白丁は暮らせる?
奴婢は?」

これにも答えられない。
エシンは、尋ねることを禁じられていたし、
そこについては、考えが及ばなかったどころか
意識すらしていなかっただろうから。

この身分の差を知った以上、
「並んで歩けないだろう」とユジンは帰るように勧め、
視線も合わさずに、すぐに後ろを向くエシン。

つまずいたエシンに手を差し伸べ、その手を掴むが
自分から、意思を持って、手を離す。
陽の光に透ける手と手が、離れていく。
哀しいのに、いちいち美しい画。

日露戦争は日本に借款を背負わせて、けしかけたイギリスにも
非がある。でも、それでも、結局一番被害を被るのは、朝鮮。
鉄道は、軍需品を運搬できるから、重宝されていたし
軍事的にも意味があった。

歴史をぺらっと教科書で学んでいても気付かなかった。
なんで満鉄とかシベリアとか、どこもかしこも鉄道鉄道言うんだろう
って、あの頃、疑問に思ったこともなかったと思う。

文字の練習は、ドミが先生ぶっていて、微笑ましいシーンから
あのエシンが書いた文字が「会いたかった」だと分かって
一気にキュゥゥゥゥゥンとさせられるシーンにつながる。
ふふって笑ったり、ああああ!ってなったりさせられて
このドラマも、なかなかの感情乗せてるジェットコースターだ。

満州の阿片窟に、エシンの両親を裏切った男がいる。

「絹でも手が切れるのに」と語るク・ドンメは、ドミのお姉ちゃんが
あの証書を別の人物に手渡したことに気付き、責め立てる。

そこをエシンが助ける。

そんな生き方しかできない彼に対して
「そんな人生でも、生きて」と言うエシン。

ドミの姉の代わりに大金を支払うことで彼を納得させるが
その返済が、またあとで、あんなふうにせつない展開に
なるなんて(´;ω;`)ウッ…(´;ω;`)ウッ…(´;ω;`)ウッ…

殺す、と言ったお嬢様に、生きて、と言われて
くふふって笑う彼もまた、愛しい。かわいい。

エシンが活動している時と全く同じ服を仕立てたヒソンは
早速あの二人に捕まるwwww

酒を飲もうというヒソンに
「今日は酔うと誰かを殺しそうだ」
「私のことか」
という会話になるw

赤い風車をハマン宅と回す画もバックショットも美しい。

エシンの答えは、オルゴールを返すことだった。
それで、カイルに朝鮮を発つ希望を告げる。

初めて会った時から、一緒に歩きたいと思っていたのに(´;ω;`)

発つつもりで、陶工のところを訪れるユジン。
幼い日に助けを求めた時と同じ言葉をかける。

「泊めてください」
「疲れております」

しらを切る陶工だが、麦酒はいまひとつ、といいながらも
ぐびぐびと瓶を空けていく。

「いつまでも変わらず
お元気で」と心から伝えた彼に

ソアの漢城脱出、証書返還、セフン逆賊として制裁と
「恩返しは十分だ」と答える。

「派手に恩は返してくれたが、気前は悪い」
の言葉に、静かに涙を流すユジン。


そして、学堂の帰りに
雪の降る中
ふたりは、再会する。

格差恋愛って、今でもテーマだもんなあ。。
人はやっぱり、同じような境遇、環境で育ってきたひとと
シンパシーを感じやすい。
価値観が似通っている方が、うまくいくことは多い。

けど、けれど、
その差異があっても、それを埋めて有り余るほどの何かがあれば。


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