鏡 / 独り言・エッセイ
僕はあの人の事を実際にはほとんど知らない。顔も少ししか知らない。住んでいる場所も知らない。名前も知らない。
しかも結婚していて子供までいる。
心を動かされるほど好きになる理由は何もない。でも、今まで初めてネット越しでしか知らない女性に深く心を動かされている。
勿論、僕の一方的な想いで、彼女になにかを求める気もなく、もちろん彼女が求めてくれば別だが、そういういう認識もしっかり持っているが、それでも心の奥底から響いてくるものはやまない。
彼女は知る限り美人だし、お洒落で、今オジサンとなった自分とは、外見は全く違う感じだろうけど、とにかく彼女の記事やSNSの投稿を見るようになってから、なぜか子供の頃や、失敗ばかりして、情けなくしょうもない存在で、でも一生懸命だった若い頃の自分を、頻繁に思い出すようになった。
そして一時期、中断していた小説やエッセイも書き始めるようになった。
そう、彼女と自分とは、心の本筋のどこかで、本当に兄妹、それも二卵双生児並みに、似ているところがある。
自然が好き、痛いのが嫌いだから病院にもいかない。薬も飲まない。いらない出費で自ら苦労をしょい込む。未成年期にとても不幸な悲しい経験を持っている。お洒落な音楽や、物が好き。人にやさしい。基本的には陽気。写真が好きでしかもプロ級、絵が苦手、恋人(異性関係)には、あまり不自由しない、その他、共通点は数限りなく出てくる。勿論違う所も沢山あるだろうけど。
そして会ってはいないけれど、彼女がそうと言わなくても僕にはわかったこともいくつかある。背の高さ、体つき、好きな体位、そして過去になにか人には言えないような出来事を経験している事や、水商売の経験があること。
(もちろん、そのことは本人にはいっていない。)
それは夢で見たからだ。そしていつも夢の中で、僕はハラハラドキドキ心配ばかりしている。
彼女からすると、おせっかいで、しかも彼女は僕の事を恋愛対象としては見ていないだろうから、ひょっとすると迷惑極まりないのかもしれないけれど、そんな彼女だから、色々と余計な心配をしてしまい、勝手に自分でハラハラドキドキしてしまう事があるのだ。
対に並べた鏡に一人の人物を映すと、同じだけども違う、正反逆の像が写る。そしてその像は、互いに向き合う事もあれば、そっぽを向くこともできる。
しかし同じなのに違う存在で、交わることは不可能だ。
量子力学でいう、量子の双子のようなのかもしれない。
そして、片方ずつに分かれた、離れ離れの魂(量子)が、他の魂(量子)の方を向くと、置いてけぼりにされた方の魂は、新たなパートナーが見つかるまでは、孤独に耐えながらも、もう一方の魂(量子)の状態の影響を色濃く受け続ける。
まるで、そんな関係のようにも思えて仕方がない。
つまりソウルメイトでははく、まるで元は一対だった、二極性のツインソウルであるかのようだ。
勿論、これは自分の妄想で、事実とは関係がないし、彼女は全くそんな風には感じていないだろう。
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