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頭が良すぎる本

15年ほど前にスタニスワフ・レムの「高い城・文学エッセイ」を読んで、他でもないその人が映画「惑星ソラリス」の原作者であることを知り、その並外れた幼少期の知能の高さ、その独創的なひとり遊びの面白さは、もはや驚嘆のレベルを超え、笑いを禁じ得なかった。
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そして今年になって、暫くぶりに手に取ったレムの2冊もまた、かなり常識を逸脱した可笑しな本だった。架空の本の書評集である「完全な真空」と、架空の本の序文集からなる「虚数」。わからない、好きだし、わかりたいけど、脳みそパンパンで、追いつけない。レム、頭が良すぎる。確か70年代に書かれたものなのに、現代よりも先に行ってしまっている。そんな馬鹿な、有り得ないと言い切れない。
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シンギュラリティがにわかに語られ出した今、AIは自らの意思・感情は持たないと半ば笑いながら学者がラジオで語っていた。しかし、それらのデータは入力できて、さもそれらで反応したように装うことはできるという。そんな現在、その結果を人間は無意思・無感情と果たして正確に感知できるのだろうか。

ショウペンハウエルの「読書について」の中だったと思うが、本を読むとは、作者の脳みそという学校の校庭を借りて遊び回るようなものだと書いてあったことを思い出した。なので、レムの庭でも思う存分遊ばせてもらった。何が何やらわからないけれど、笑い転げながら楽しませてもらった。

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