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SS『クリスマス・イブ』

クリスチャンでもないのに
クリスマス・イブに生まれた私は
名前も聖書の創世記から取ったのだと
名づけ親の父はとにかくフィクションが嫌いで、ほとんどの小説は作り物だと言って退け、せいぜい実在者の伝記か事実に基づいた歴史ものしか読まない人だった。
それなのに、何故、天地創造の話は
肯定できたのだろう。神話は別だったのか。
そもそも、何故、聖書が家に私が生まれる前から普通に本棚にあったのか、今思えば不思議だ。2000年に他界した父に、その事を一度も尋ねたことは無かった。

幼稚園から何故、私はミッションスクールに行くようになったのか、讃美歌を唄い、日曜学校へも通っていた。洗礼を受けた信者ではないけれど、私の道徳感はやはり、聖書によるところが多いように感じる。

生まれて来たからには、何か漠然と役に立ちたいと願って来たのも、その影響だろう。

大器晩成と言われ続けて、信じて来たものの、いったい、いつ成るのやら、

「もう期限切れでは?」
それとも、
「もう通り過ぎました?」


ひとり、今年も星を見上げる。


(※新作より)

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