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【採用担当者が教える】職務経歴書の書き方の技術⇒職歴なし既卒者が書類選考に通過するコツ

職務経歴書とは

職務経歴書とは、履歴書の記載される職歴の詳細を記載するのが「職務経歴書」であり、会社員が転職する際に中途採用先の企業から求められる書類です。

職歴なしの既卒者の悩み

新卒の方に対しては、企業は職務経歴書の提出を求めないものの、既卒の方に対しては「職務経歴書の提出」を求めることがほとんどでしょう。

しかし、職務経歴書の提出を求められると困ってしまう方も大勢いるのです。

既卒の方でも企業や役所における就業経験もなければ、自営業の経験がない方は多数いらっしゃいます。

多くの方は何らかの事情(難関資格試験を受験、大学院に進学、家業の手伝い、出産、健康上の理由)があって職務経験がないことがほとんどでしょう。

企業側としては単純に、応募者の職務経験を参考にして、採用可否を判断したいということなのですが、職歴なし既卒者の方は、職務経歴がないことが重荷なり就職を諦めてしまうことも多いのです(実際、私も職歴なしの状態で34歳で就職したのですが、職務経歴がないことでとても苦労しました)。

そこで、ここでは職歴なし既卒者の職務経歴書の書き方についてお話ししたいと思います。

前段階として確認しておいて欲しいことは、私のサイトにも記載していますので、こちらの記事も読んでみてください。

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職歴なし既卒者の「職務経歴書の書き方」には技術が必要

職務経歴書には、応募者の職歴を淡々と、読み易く記載することが基本となりますが、

職歴なし既卒者のように、そもそも記載すべき職歴がなかったり、職歴が少ないという場合には、「職務経歴書の書き方」の技術を身に付けなければなりません。

職務経歴書は、ただ書けばいいという訳ではありません。

あくまでも書類選考に通過して面接に進み、内定を勝ち取ることが目的ですから、内実のある職務経歴書を書く必要があるのです。

職歴なし既卒者の「職務経歴書の書き方」(基本形)

まず、基本となる職務経歴書の書き方について、お話しします。職務経歴書とは、こちらの記事でも記載していますが、人事担当者と採用担当者に向けたラブレターです。

だから、人事担当者と採用担当者の見る視点に則って記載する必要があるのですが、まずは基本的な書き方から確認してみましょう。

職歴なし既卒者の場合、本来書くべき経験してきた職務がない又は少ないのですから、その代替となるものを記載しなければなりません。職務経歴書は自由様式での記載となりますが、以下の項目は必ず入れるようにしてください。

①職務要約

これまでの職務はどのような考えに基づいて行ってきたか、記載しましょう。職歴の積み上げ方に対する自分の考え方を述べてください。その考えに基づいて(以下に述べる)このような業務を担当してきました、というような誰もが納得するストーリーを記載しましょう。

この部分は面接でも聞かれますし、質疑が繰り返される部分です。なぜその職業を選んだのか?職業を選んだ部分については自分が選択している訳ですから、職業選択するに至った自分の一貫した考えを述べるのです。

職業選択をした後、実際に従事してきた職務については自分では選択できないことも多いでしょう。実際の経験した業務内容については、②の職務経歴において淡々と述べれば良いです。

職歴のない(または職歴が少ない)既卒の方についても、何かしら職業に対する自分の考えがあるはずです。

また、②においても詳細述べますが、職務経験という訳ではないけれど、このような一貫した考えに基づいて自分なりに行動、意思決定そして努力をしてきたということを、採用担当者に向けてわかり易く伝えてください。

この部分は人事担当者はほぼ読みませんが、採用担当者は目を通します。具体的な職務経歴に対する自分の考えの概要を、300文字程度で記載しましょう。

②職務経歴 

本来であれば履歴書の職歴の内容を詳細に記載する場所です。学校を卒業してから現在に至るまでの職務経験を、時系列に沿って順番に書いていきましょう(編年体系式で記載)。

たとえ職歴がないとしても、職務経歴蘭を記載しなければ、書類選考は通過できません。後ほど職務経歴について記載するコツをお話ししますので、それを参考にして書いてみましょう。

③自己紹介

自己紹介については、履歴書において既に記載欄があり、記載しているところだと思います。しかし、職歴がない(または少ない)方の場合は特に、採用担当者に自分のことをよく知ってもらうために、職務経歴書においても自己紹介を記載してみましょう。

採用担当者に、「この人に一度あってみたい」「担当してもらいたい職務にマッチしている人材かも」と思ってもらえるように、採用担当者にメッセージを送りましょう。

採用担当者には、「仕事は教えればそこそこできるだろう」と②の職務経歴欄で感じてもらうとともに、「同じ部署の人、一緒に働く社内外の人とうまくやってもらえそうだ」と感じてもらえるように、人間性の部分を表現することを心がけてみましょう。

自己紹介を書くときには、(1)潜在的に持っているスキル(②職務経歴の欄に書きづらいものの、自分が持っている能力・やる気・性格がわかるもの)を書くと良いでしょう。過去に論文を書いたことがあるのであればその内容や、部活動やアルバイトにおける実績や組織の中でどのように活動してきたのかがわかるエピソードも書くと良いでしょう。そのような潜在的なスキルを通じて「採用されたら会社に貢献できる」と認識してもらうように書いていくことが重要です。

また、(2)プライベートのことも書いてみると良いでしょう。なんでも構いません。お子さんがいる場合にはお子さんのことを、結婚されている方(または婚約している方)であればそのことを書いてみましょう。家族がいるということは「この人は逃げ出さず仕事を頑張ってくれる」という評価にもつながりますし、その人の顔が見えるので好印象に繋がりやすいのです(実際の面接でも、家族の話から始まり、だから仕事を頑張ります、という流れに持っていきやすいです)。

今までスポーツをした経験がある人であれば、学生時代から現在に至るまでの運動歴も記載しておきましょう。スポーツの話は自分が思う以上に興味を持ってもらえることが多いです。実際の面接において話題になった時に備えて具体的なエピソードなどを語れるようにしておくことも重要です。

④ 志望動機

 志望動機は重要です。志望動機は面接でも聞かれることなので、書類作成の時点からしっかりと準備しておきましょう。

志望動機は3つの観点から準備しておくのが良いと思います。

(1)自分がやりたい仕事・能力からの視点
(2)会社が持つ特徴からの視点
(3)自分の感情からの視点

(1)自分がやりたい仕事・能力からの視点

まずは、「自分はこういう仕事をやりたい」「こういう特技を持っている」ということです。こういう仕事をしたいから『この業種』で働きたい、高スキルを持っているから『この職種』で働きたいということを明確に伝えましょう。

「自分はこういう仕事をやりたい」から、という部分については、究極的には「好きだから」「面白そうだから」ということで良いと思います。その思いを力強く文字化してみましょう。

面接でも質問されることと思いますが、最終的には「好き」「面白そう」ということであり、反論の余地も無くなります。「こういう特技を持っている」から、という部分については、御社にこのポジションで働くことで、御社に役立てればと考えいるということだと思います。

特技は客観的に社会においても評価されているもの(資格や勉強で得た知識経験など)も記載しておきましょう。この①の部分は、同じ業種・職種の複数会社に応募する場合には、文章の使い回しをすることができます。

(2)会社が持つ特徴からの視点

この部分については、会社のことを研究しておく必要があります。ホームページや四季報など、公表されているものは全て確認しておきましょう。

ホームページがある場合には、最近のニュースが記載されていることがあります。直近行われているその会社のビジネス上のイベントなども参考にしましょう。

上記①では、『その業種・その職種』を選んだ理由について記載していますが、その業種の中でも「御社」に興味を持った理由について書くのがこちらの視点となります。

その会社を選んで応募した理由は、ただ単に、ちょうど採用募集をしていたから、エージェントが薦めてくれたからということが本当の理由かもしれません。しかし、自分がその会社について、少しでもいいなあと感じた部分があるはずです。

そのなんとなく良いかもと思えた感情を、客観的に説明してみましょう。客観的に見て誰もが反論できない事実を用いて、「だから御社に興味を持った」ということを語ってください。

会社のことをよく研究していることを表現できれば、採用担当者はあなたに対して好印象しか持ちません。そこまで興味を持ってくれたのであれば、一度面接させてもらう、という話になりやすいです。

現に私は企業側の採用担当として書類選考をする際には、当社の研究をしている人は優先的にピックアップして面接するようにしています。たくさんの応募書類を見ている中で、当社のことを研究して書いてくる人は極端に少ないので、ライバルと差別化できることは確実でしょう。

(3)自分の感情からの視点

上記の⑴⑵は、志望動機を理屈面から語ってみたものとなりますが、⑶においては理屈ではなく「感情面」から、御社のことに興味を持っているとか、親しみを持っているということを、志望動機として記載してみてください。

感情面からの志望動機は、採用担当者の心に一番刺さる可能性が高いと感じています。

「なぜ、御社に興味を親しみを持っているのか」

理由はなんでも構いません。

「父親や親戚・先輩が同じグループ会社で働いていたから」
「その会社の製品が子供の頃から好きだから」
「自宅のそばに御社の社員寮があり、昔から好印象を抱いていたから(エピソードがあればそれも語れるようにしておく)」
「その会社の工場などの場所を知っており、興味を訪れたこともある」

などなど、なんでも良いのです。

あなたの感情面を、採用担当者は否定することも反論することもできません。自分が御社に親しみを持っているということを文字化して表現しましょう。

嘘は書かない、でも本当は書かない「職務経歴」

上記のうち、職歴なし既卒者には難問に見えがちな「②職務経験」についてお話しします。

②職務経験の欄は、白紙で提出してはいけません。

実際に行った職務がなくても(または少なくても)、必ずその代わりになるものを記載しなければなりません

(1)職歴に空白期間は生じさせない

記載するときには、それぞれの職歴と職歴の間に空白期間が生じないように、注意して記載する必要があります。

なぜなら採用担当者は職歴に空白期間があることに不安を感じているからです。たとえ書類審査をパスしたとしても、職歴に空白期間があると、その理由について、面接では必ず聞かれますから、書類作成の時点で準備しておく必要があります。

例えば、何か資格試験の勉強していたために空白期間が生じてしまうのであれば、受験していた資格と、実際に通っていた予備校の情報を書くようにしましょう。資格試験には最終合格している必要はありませんが、一次合格など途中まで進捗しているようであれば、その事実についてしっかりと記載しましょう。

大学院などで勉強していたということであれば、指導教授や、所属学会、書いた論文、勉強した内容について記載しましょう。

大学院など正式な機関に通っていなかったとしても諦めてはいけません。民間団体や非公式的な団体でも構いません。何かしら通っていた場所や、活動拠点にしていた場所はないでしょうか。

司法試験受験生の場合には、所属していた司法試験勉強団体などを記載することも一つのアイデアとしてあげることができます。

(2)今現在、研鑽を積んでいる事実を作る

今現在においても、職歴の空白期間が生じているようであればひと工夫してみましょう。懇意にしている先生や何らかの社会的な権威がある人はいませんでしょうか。

もし身近に相談できる人がいるのであれば、アルバイトをさせてもらったり、はたまた頼み込んで助手としてお手伝いさせてもらったりして、職歴的または学問的に研鑽を積んでいる事実を創作しましょう。

実家や知り合いが自営業などを営んでいる場合には、形式的にでもお願いして、なんらかのお手伝いをさせてもらうことを検討しても良いでしょう。

これから働こうとしている業界や職種に関連する資格の勉強を始めてみても良いでしょう。希望する業界においてその業界団体が実施してるセミナーに出席したり、取得を奨励している資格試験の勉強をスタートさせても良いでしょう。

兎に角、職歴的または学問的に研鑽を積もうとしていることを、文字化して表現するようにすることが重要です。

これから資格試験の勉強を始めようとするときには、可能な限り、徹底して勉強しましょう。 勉強すると勉強した内容について提出書類に書きたくなるものですが、学んでいることの詳細な内容は書く必要がありません。
職務経歴書には、学んでいる事実を簡潔に書くだけで構いません。

勉強中ということであれば、面接において質問される可能性が大きいですが、質問された場合には簡潔に真剣に勉強していることを話すだけで足ります。

真剣に勉強する理由は、面接で質問されたときに、自信を持って話すためなのです。就活対策として勉強していると面接官には誤解されないように、確信を持って話すために、勉強は一生懸命にする必要があります。

(3)自分で職務経験を生み出す努力も

更に、もっと踏み込んで、実際に希望する職務に関連する業務経験を、自分自身の力で積むことも、大きなアピールポイントとなります。

 例えば、法務職を目指している方の場合、自分でも実施できる法的手続きを実践してみると良いでしょう。会社を設立してみても良いかもしれません。

合同会社の設立であれば10万円ほどの費用が必要ですが、自分で手続きをすることができます。商標登録の申請手続きであれば1万円ちょっとで申請手続きをすることができるので実績にもなるし勉強にもなるでしょう。

大事なことは自分が応募している職種に関連する業務経験について、自分でも実践できるものをやってみることであり、その姿勢なのです。

人によっては、助成金が出るビジネスプランに応募して、起業も検討してみることも良いでしょう。実際に起業しようとする際にあたり勉強にもなりますし、実際になんらかのコンペに応募するということであれば、そちらも実績になります。

人事・採用担当者の視点で職務経歴書を読みなす

職歴なし既卒者の方に向けて、職務経歴書の書き方の概要をご説明してきました。

初めて職務経歴書を書く場合は大変かと思いますが、まずは何かしら叩き台を書いてみることです。

何度も記事を読み直して、何度も書き直してみましょう。必要に応じて、第三者や専門家のアドバイスを取り入れると、より良い職務経歴書が完成されていくことでしょう。

読み直す際には、1点気をつけて欲しいことがあります。それは、書類審査する会社側の視点に立って書類を読み直してみるということです。

書類選考に通過するためには、人事担当者と採用担当者に合格点を貰わなくてはいけませんから、それぞれ、どのような視点で職務経歴書をチェックしているのか、確認しておく必要があります。

– 人事担当者が確認するポイント

人事担当者には実質的な採用権限はありません。人事では、基本的には人材エージェントから紹介された人材が、採用部署で求める人物像に合致しているのか?という形式面のみを確認しています。

採用担当部署の求める人物像は、採用担当部署が作成する「募集要項」に記載されているので、人事担当者は募集要項に記載されている人物像との適合性を、職務経歴書に記載されている文字から判断しています。

具体的に行っていることは至って簡単であり、「募集要項」に記載されている文字と、「職務経歴書」に記載されている文字が合致しているか?ということを形式的に判断しているのです。

人事担当者には、各部署が行っている専門的な仕事内容は理解できないので、書類に記載された文字を読み合わせるしか出来ないわけです。

ですから、応募する側としても、募集要項に記載される文字をよく読んで、その文字に合致した内容を職務経歴書になるべくたくさん記載するという工夫が必要になります。

– 採用担当者が確認するポイント

では、採用担当者は、職務経歴書を見るときには、どのような点を確認しているのか、確認しておきましょう。

採用担当者の場合、実際に一緒に働く人を選考するので、応募者の実質的な面を掘り下げて確認しています。

①応募に至った理由と辞めた理由

採用担当者が一番気にしていることは、採用した人がすぐに辞めてしまうことです。ですから職務経歴書をみるときには、今回当社に応募することになった経緯と理由について、注意深く確認しています。

今まで転職経験がある人など、何かしら辞めた経験がある人の場合には、その辞めた理由についても確認しています。

面接でも聞かれるポイントになるので、職務経歴書を作成する時点から、今回応募に至った理由・経緯と、過去辞めた理由について、簡潔に答えら得るようにしておくべきです。

誰もが納得する論理的な理由を持って答えることが重要です。答える内容の是非はあまり問題ではなく、「相手にわかるように伝えること」がまず重要だと考えてください。どのような理由があったにしろ、これからは新しい環境において頑張っていきたいということを、必ず伝わるようにしましょう。

② 意欲の有無

採用担当者は、応募者の能力については、それほど高度なものを求めていないことが通常です。入社段階においては、知らないことや出来ないことがあっても、成長可能性があるか、勤勉に学ぶ姿勢はあるか、やる気は本当にあるか、ということを確認しています。

意欲があることが表現できているのか、再確認しましょう。

③ 一緒に働きやすい人間性があるか?

また、これからずっと一緒に働いていくにあたり、気持ちよく仕事ができる人か?ということもみています。

同じ部署において、協調性とストレスのないコミュニケーションを通じて気持ちよく仕事ができる人か。それに、会社の他の部署の人とも、連携をとって問題なく仕事を進めることができる人か、ということをみています。

この辺りは、学生時代の部活経験や、なんらかのボランティアワークの経験で示すことも可能かと思います。

最後に 〜職歴なしの既卒者の方へ〜

職歴がない(または少ない)方が、就職活動することは大変です。特に不景気の時代ですと、苦労すると思います。

しかし、自らが諦めずに前進する限り、必ず道は開けていきます。自分が思い描いた通りの道ではないかもしれません。

でも、前進を続けることで、必ずやあなたを助けてくれる人が現われるでしょうし、物事は良い方に上向いていきます。

職務経歴書の作成は、職歴がない方が最初に直面する難関となります。最初から完成版を作成することは不可能だと考えてください。

何度も何度も読み直して、出来ることならば、いろいろな人に添削してもらい、徐々にブラッシュアップするようにしてください。

職務経歴書と合わせて、履歴書の作成にも早めに取り組みましょう。

↓履歴書の書き方のコツはこちらに記載しています↓


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