ハーフサイズカメラの魅力
このところ、4x5や5x7といった大判で写真を撮ることも増え、いつの間にか遠ざかっていたカメラがあります。
Olympus PEN Fという、ハーフサイズのフィルムカメラです。
先日、久々にこのPEN Fを使って見て
「やっぱりこのカメラは面白い」
と感じましたので、その魅力についてご紹介しようと思います。
ハーフサイズカメラとは
ハーフサイズカメラはその名前が示す通り
「フィルムの半分の面積で1枚の写真を撮る」
という特徴を持ったカメラで、35mmフィルムを使用して写真を撮ります。
1コマ分の大きさは、なんと理論値で18mm x 24mmというサイズ。
約4.3㎠という面積になります。
実に小さいコマになりますので、細かい場所まで高解像度に、という写真には向きませんが、その何よりの特徴は
36枚撮りフィルム一本で72枚撮れるという圧倒的な超絶コスパ。
そして
小さい面積で撮ることで生じる「ちょうど良い粗さ」
この2点があると思います。
通常、カメラは「普通に構えると横構図」というのが基本的なスタイルになりますが、ハーフサイズカメラの多くが、普通に構えてとると上図のように縦構図になります。
縦横比は3:4となりますので、通常の35mmフィルムの1コマサイズの縦横比2:3と比較するとちょっと異なる構成です。
もちろん、「カメラを縦に構えて横構図」という撮り方もできます。
この2枚の写真は、Olympus PEN F標準となる、F.Zuiko 38mm F1.8レンズで撮影しました。
小口径ながらも、かなり近くまで寄って撮影することができる上、開放がF1.8と非常に明るいレンズです。
屋内での撮影も、ISO400くらいの感度のフィルムを使えば、三脚なしの手持ち撮影でもイケちゃいます。
また、PEN Fマウント用のマウントアダプタもありますので、OMマウントのレンズを載せて撮る、といった使い方も可能です。
72枚も撮れるということは
フィルム1ロールで大体72枚。
通常、フィルムを入れ替える際に手際良くできれば74枚くらい撮れることもあります。
現像済みのネガは大体こんな感じ。
コマがもうびっしりと並んでいて、スキャン作業もなかなか大変です。
流石にSilverFastでもハーフサイズのコマの自動認識機能は見当たりませんでしたので、この小さいコマを範囲指定してスキャンをしています。
フィルムはここ数ヶ月、種類も減り価格も上昇しつつあります。
そんな状況下で、フィルム1ロール72枚というコスパは非常にありがたい反面、ちょっとうれしい悲鳴で困る、という事態にもなります。
「なかなか撮り終えないので、現像に出しづらい」
というのがその困った事態。
普段ブローニーフィルムで、「1ロール10コマ前後がちょうどいい」と感じる僕にとっては、1ロール72枚撮り終えるまで現像に出さない、というのはブローニーフィルム7本分くらい撮るような感覚です。
それだけに、PEN Fで撮る時には
「スマホでもここまでバシバシ撮らんだろう」
というくらいに片っ端から撮りまくります。
Rollei35と同じく、スナップシューターとしての役割を担うことが多いですが、Rolleiと異なる点はこのPEN Fが一眼レフであるという点。
小さく、そしてやや暗めではあるものの、ファインダー内でじっくりとピント合わせをして、構図も色々と考えてからシャッターを押すということもできます。
気軽なスナップ機としても、じっくりと構えて撮るカメラとしても使える、実に便利なカメラでもあります。
適度な粗さとは
先日、たまたまではありますが
「同じ被写体を同じような構図で、4x5とハーフサイズカメラで撮る」
という機会がありました。
まずこちらが4x5の写真
続いてこちらがPEN Fで撮ったハーフサイズの写真
レンズの画角などはだいぶ違いますが、フィルムは同じARISTA EDU ULTRA200を使用しています。
また、だいぶ画角が違いますが横構図での比較で、最初は4x5で
下の写真がPEN Fの写真
こうしてnoteやSNSなどに載せる写真で見ると、質感などはだいぶ違いますがPEN Fの写真も「粗くて使い物にならない」なんてことはありません。
むしろ、この「適度な粗さ」がより『フィルムらしさ』を強調してくれて、自然なレトロ感を出してくれると思います。
また、粗さについてもスキャナの設定であったり、Lightroomなどでも調整は可能ですが、基本的に粗さが目立たない綺麗な写真を撮れます。
ここでいう「粗い」というのは、中判や大判と比較して、というものだとお考え頂ければと思います。
また、参考までにPEN Fにカラーネガを入れて撮ったのが
こんな具合。
そして、リバーサルフィルムVelviaを入れて撮ってみたのが
こんな感じになります。
ハーフサイズカメラの活躍の場は
Olympus PEN Fは「ハーフサイズの一眼レフカメラ」という、ほぼ唯一と言ってもいいくらいの珍しい立ち位置にいるカメラです。
60年ほど前に作られたカメラではありますが、電池を使わない機械式カメラなだけあって、動くものは今でもちゃんと動いてくれます。
PEN FTになると露出計が内蔵され、またセルフシャッター機構も搭載されるなど色々な改良が施されていますが、我が家にあるのは初代のPEN F。
露出計もセルフシャッターも無く、極々シンプルな機能のカメラです。
当初、こういったシンプルな機能のカメラを使い始めた時期は
「こんなに『なんでも自分でやらないといけないカメラ』なんて、自分に使いこなせるんだろうか」
と心配でした。
が、考えてみたら
「機会頼みじゃ無くて、全部自分でやるからこそ使いこなせるようになる」
というものだったのかな、と感じます。
そして現在、フィルムカメラブームと言われて久しいですが、その反面フィルムはどんどん選択肢も少なくなり、価格も高くなっています。
そんなご時世だからこそ、
・1ロール最大72枚撮影可能
・スマホ感覚での情け容赦ないスナップもできる
・一眼レフならではの絵作りも出来る
・中古市場でも割と手を出しやすいお値段
というこのOlympus PEN Fは、
『これからフィルムカメラを始めてみようかな』
とお考えの方にも、そして
『ちょっと変わったカメラが欲しい』
という方にも、オススメしやすいカメラだと思います。
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