SilverFastレビューシリーズ06 まとめ
今回は、文字だけの記事になります。
スキャナをCanoscan9000FからEpson GT-X980に切り替えて、SilverFastのAi Studioを使うようになってから、実際の使い勝手などを含めたレビュー記事をいくつか投稿しました。
今回の記事では、レビューに伴う作業時に感じた内容も含め、全体を簡単にまとめました。
まずは結論から
「スキャナでフィルム読み取ってデータ化してるなら、とにかくまず試してみて。めっちゃイイから(`・(エ)・´)b」
というのが結論です。
(こちらからSilverFastの体験版をダウンロードできます。是非お試しあれ)
(SilverFast対応のスキャナ一覧が、こちらのリンクから確認できます)
個人的な感想ですが、純正ソフトやVueScanと比較して、SilverFast Ai Studioを使って良かったと感じます。
純正ソフトに関しては、インストールこそしているものの、おそらく今後使うことは無いと思います。
SilverFastに対して不満が残るところや、ちょっと疑問に思うところは決してゼロではありませんが、それらのポイントに加えて「有償ソフトだ」という点を考慮しても、
「これは支払ったお値段分の価値は十分にある、お釣りが出る」
と思えるソフトです。
レビュー記事を書くにあたって、比較対象としたCanoscan純正ソフト、EpsonScan、ViueScanですが、これらのソフトも十分に有用です。
「ささっと読み込んで、手軽にデータ化」
という使い方であれば、純正ソフトでのスキャンでも問題が生じることはそうそうないと思います。
何より純正ソフトは基本無料です。
やはり無料というメリットはかなり大きいですが、その反面、機能面性能面で不満があったとしても
「まぁでもタダだし…」
と色々と諦めてしまうことが多かったです。
有料ソフトのVueScanもSilverFastと同様、かなり多機能高性能なソフトではありますが、如何せん
・複数フレームを一気にスキャンするための設定がわからない
・パラメーターは多いが、「どのパラメーターをどう設定すればどうなる」と言った事をあらかじめ理解していないと、効果がわかりにくく使いづらい
印象を受けました。
色々と比較して、実際に機能も使ってみて、僕にとってSilverFastは、
「フィルムで写真を撮っていて、スキャナでデジタルデータ化をしている方で、より良いスキャン結果を得たい、という方に第一にオススメするソフト」
という位置づけになりました。
2021年7月現在のSilverFastについて「もうちょっとこうだったら良かったのに」ポイント
レビュー記事のシリーズ全体を通して、ほぼ「SilverFast激推し」な内容になりましたが、不満を感じるポイントがなかったわけではありません。
もうちょっとここがこうなってたら良かったのに…と感じたポイントもまとめておきます。
・フィルムテンプレートの種類がもっと豊富で、わかりやすければ良いのに
…例えば「Fuji→PRO→160」と選択した時に、「160 C」と「160 6x6」などの表記があったんですが、何がどう違うのかがちょっとわかりづらいです。
できれば「PRO160NS」「PRO400H」など、フィルムの型番がわかりやすい形で併記されてるといいのになー、と思います。
…あとは、個人的な願望というかただのワガママですが、よく使うFomapanのフィルムもテンプレートに入ってたらありがたかったなー…。
・iSRD、SRDxのプレビューがもっと早ければ良いのに
…iSRDやSRDxでゴミ補正をする際に「マークする」を選択してから、ゴミの検知レベルや検知するゴミのサイズなどを設定するんですが、この時のプレビュー画面の更新に結構時間がかかります。
PCのCPUやスキャナの性能に依存するところは大きいと思いますが、このプレビューがもうちょっと反応が早ければもっと使いやすいのに、と感じました。
・WorkflowPilotで、独自テンプレートの保存機能があれば良いのに
…WorkflowPilot自体は、ビギナーでもスキャナやソフトウェアの能力を無駄なく使うために、非常に良い機能だと思うんですが、贅沢を言えば「自分で独自に機能の組み合わせ=テンプレートを作って保存、いつでも呼び出せる機能があれば」と思います。
・Ai Studioエディションがもうちょいお手頃なら良いのに
…SE、SE Plusエディションは購入にそこそこの決断をすれば済む、という価格帯ですが、Ai Studioは「清水の舞台から飛び降りる」レベルでの決断を要する価格帯です。
SE Plusエディションと比較して、もうちょっと機能、性能面でのメリットが大きいか、またはSE Plusエディションとの価格差が抑えられてれば、決断に至るまでのハードルが下がるかなと思いました。
・メニューの日本語など、もう少し読み易ければ良いのに
…WorkflowPilot機能で表示される機能に関する解説や、様々な設定画面、メニュー画面などで、ところどころ日本語として読みづらいな、と思うところや、特に解説を表示するところで、画面レイアウト的に「もう少し改行や段落わけがあれば良いのに」と思ったところがありました。
海外ソフトのローカライズ作業は僕自身経験がありますが、かなり難しいものでもあります。
ここがもう少し「読みやすい文章、レイアウト」になれば、もっと使い勝手がよくなると思います。
今のところ感じている「ここがもう少しこうだったら…」というポイントはこんなところです。
ただ、いずれも「もうちょっと○○だったらなぁ」と感じる程度で、致命的な問題と感じるものではありませんでした。
じゃあどんな人にオススメできるか?
フィルムで写真を撮っている方には、個人的に激しくオススメしたいソフトではありますが、SilverFastには3種類のライセンスがあります。
上位からAi Studio、SE Plus、SEの3種ですが、それぞれ使用できる機能もライセンス価格も異なります。
SEは結構お手頃な価格で、基本機能だけという構成。
SE Plusは「割と手を出しやすいけど、ちょっとした決断は必要」な価格で、通常使用するには十分な機能の組み合わせ。
Ai Studioは「購入に結構な決断が必要」な価格帯ではあるものの、相当に細かいところまで設定できて、ユーザーの拘りに応える事ができる機能構成。
そんな事情もあり、Ai Studioエディションを誰にでもオススメするかというと、率直に「そうでは無いな」と感じました。
ただ、どのエディションであっても
「こんな使い方を想定している人にはSilverFastは激しくオススメ」
というのがいくつかあります。
・モノクロフィルムで撮影し、スキャンをしている方
…もう第一に、モノクロフィルムで撮ってフィルムをスキャンしている方は、是非SilverFastを試して欲しいです。
SRDxでのゴミ補正機能はホントにありがたいんです。
モノクロのゴミ補正では、同じ有償ソフトでもVueScanよりも有用でした。スキャナ付随の無償ソフトでは、そもそもモノクロフィルムに対するゴミ補正機能自体が無い、ということも多いです。
僕もモノクロのフィルムで写真を撮ることは多いですが、SRDxでゴミをあらかた補正できるようになってから、モノクロフィルムでの撮影頻度が倍以上に増えてます。
スキャン後の手間隙が軽くなるだけで、ハードルがかなり低くなりました。
・スキャナでフィルムを読み取りながら、同じPCで他の作業も同時進行したい、という方
…CanoScanとEpsonScanとの比較になりますが、これらの純正ソフトと比較してSilverFastの方が「CPU使用率が高い時間が短い」という傾向にありました。
ただ、これは僕の環境での体感になりますので、使うPCによっては違う結果になることもあります。
EpsonScan、CanoScanでのスキャン中にYouTubeを見たりLightroomで画像を編集したりしてたら、頻繁に動作が不安定になっていたのが、SilverFastでは「影響ゼロ」とはいきませんが、PCの反応が全くなくなる、と言った事態は発生しなくなりました。
・どの機能とどの機能を組み合わせるか、と言ったところをあまり意識せず気軽に使いたい、という方
…WorkflowPilot機能は、本当に秀逸な機能です。
「どの媒体で、どんなスキャンをしたいのか」を指定すれば、SilverFastで使用できる機能の組み合わせを提案してくれて、しかも順を追って設定し、おまけに各機能の解説までついてます。
基本的に1フレームずつのスキャンにはなりますが、とにかく「難しいこと考えずに綺麗にスキャンしたい」という場合には最適な機能です
この機能、僕は今回のレビューを書き始めて改めて使ってみたんですが、本当に「これもっと早く知りたかった…」と感じました。
各エディションをオススメするのは
SEエディションをオススメするターゲット
・ネガフィルムで写真を撮って、できればモノクロフィルムのゴミ補正を自動化したい
…赤外線スキャンに対応したスキャナである必要がありますが、カラーネガの場合にはiSRD機能、そしてモノクロネガの場合はSRDx機能を使用する事で、ゴミ補正も完璧では無いものの「細かいゴミ」などはかなり効率よく補正する事ができます。
・お手軽に色々な機能を使って、スキャン結果を改善させたい
…WorkflowPlilot機能を使うと、SilverFastの持つ機能を手軽に、そしてわかりやすいインターフェースで使用する事ができます。
・出来るだけコストはかけたく無いが、「わかりやすいインターフェース」のスキャンソフトが良い
…SEエディションは(僕が購入した際は)日本円でやく4,400円ほど。ブローニーフィルム5本入りの1パックほどのお値段でした。
・とりあえず様子見でまず使ってみて、使い勝手が良ければ上のエディションも考えたい
…僕もこのパターンで、「とりあえずSEエディションで、ゴミ補正のSRDxとiSRD機能を見てみたい」という入り口からのスタートです。
SE Plusエディションをオススメするターゲット
…SEエディションをオススメするターゲットの項目に加えて
・リバーサルフィルム(ポジフィルム)もスキャンしたい
…個人的にリバーサルフィルムの現像も最近始めました。ネガフィルムがメインではありますが、やはりリバーサルの「色の再現性」は捨てがたいです。
・フィルムの豊かな階調を損なう事なく、高品質なスキャンをしたい
…SE Plusにアップグレードする事で得られる最大のメリットの一つかもしれませんが、ME(多重露光)機能を使う事で、スキャン結果が真っ黒につぶれてしまったりすることを防ぎ、フィルムが本来持っている豊かな階調をスキャン結果に反映させる事ができます。
・自動コントラスト調整機能を使って、コントラスト調整も品質を上げつつ手数を減らしたい
…AACO機能は、自動で最適なコントラスト設定を作成してくれる機能です。かなり便利なもので、僕もしょっちゅう使用しています。特にモノクロのフィルムスキャンの際などには、かなりお世話になっている機能です。
SilverFast Ai Studioをオススメできるターゲット
…SE Plusエディションをオススメするターゲットの項目に加えて
・じっくりと調整して、ベストなスキャン結果を得たい
…同じコマに対しても複数フレームを設定して、解像度やゴミ補正の強度、コントラストなど様々な調整を行いたい、という場合にJobManagerがとても役立ちます。
・少しでも高い品質でフィルムをスキャンしたい
…オプションではありますが、スキャナキャリブレーションに対応していますので、スキャナの性能を最大限に使用する事ができます。
・高品質データを出力したい
…ヒストグラムを16bitという非常に細かい精度で設定する事ができ、またjpgデータなどでも16bit、48bitデータ出力に対応しています。
と言った感じです。
最後に
今回合計6本の記事に分けて、SilverFastに関してご紹介してきました。
僕自身は
「Canoscan9000Fに付随していた純正ソフトを使ったスキャン結果に、どうしても納得できない」
というきっかけで、有償のスキャンソフトの購入を決めましたが、結果的にスキャン結果だけでなく、作業中のエラー発生による中断頻度、スキャン結果の品質、色合い、スキャン後のゴミ補正の手間隙の面で、従来の純正ソフトを使用していた時期と比較して、劇的に改善されています。
念のため、このレビューシリーズで記載した感想や実感などは、全てが僕の個人的な感想や所感であって、品質や成果などを保証しているというものではありません。
ただ、「フィルムカメラがブームになりつつある」と言われる昨今、フィルムのデジタルデータ化をご自身で行われる方もおられる事でしょう。
そんな中には、純正ソフトを使用していた時の僕のように、
・スキャン結果にどうにも納得できない
・スキャナの性能をフルに引き出せているのかわからない
・スキャナ壊れたんじゃないか? と思うような色合いに仕上がる
・もっと色々スキャンの際にできる事があるんじゃないか?
と感じる方もおられるのではないかと思います。
スキャナの買い替えを検討される前に、まずはお試し版でもSilverFastを試してみて、スキャン結果や作業環境が改善されないか、是非一度試してみてください。
この一連のレビュー記事が、フィルムカメラを愛する方々の一助になれば、これに勝る喜びはありません。
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