「友達」を雇ってはいけない。 Dear, 若いミュージシャンの皆様へ

ものすごく大きな声で主張したいことが2つある。

いちいち口を開くたびにそれを言うのも嫌味っぽいので、もう曲名にしちゃうか？2曲、それをテーマに書いちゃおうか？なんて、冗談半分で思ってる。

1つ目のタイトル候補（笑）はDon't Hire Your Friendだ。ずばり友達を雇ってはいけない笑。

全ての仕事で言えることだけれど
仕事なんだから、その仕事が一番出来る人を雇うべき。
仲が良いから、という理由で誰かを雇うと、ろくなことにならない。

これを忘れて、仲良しを雇うミステイクは本当に多くて。部長の仲良しが課長になって、その人が仕事ができなくてみんなを困らせるとか、会社でもよくあるはなしで。

音楽なんて、心が通い合う必要があるものだから、余計にその間違いが起きる。仲が良い方がいいとみんな思っちゃうみたい。違うんだよ逆だよ。いい演奏をするうちに仲が良くなっていくだけなんだよ。

特に学校を出たてのホヤホヤの音楽家は、学校時代の友達を雇いたがる。ステージ上で「いい話でしょう」とばかりにドヤ顔で「学生時代ずっと一緒に練習してきた仲間なんです」などと説明しちゃったりするが、残念ながら「学生時代は超優秀すぎて誰も追いつけなくて一緒に練習なんて出来なかった」くらいの人の方が、いい演奏をするのでそっちを雇った方が良い。

Large Jazz Ensemble（ジャズの大編成）音楽をやっている私は、バンドメンバー選びに困りはてた若手から「ミギーはどうやってメンバー選んでますか涙目」と質問を受けることが本当に本当に多くて。なにせ1バンドに17人いるからね、私がやっているビッグバンド形式だと。

私のアドバイスはもう本当にシンプル。

・その仕事がもっとも上手にデキる人を複数リストアップし
・その中で「遅刻しない・連絡が早い・性格が良い・マナーが良い・場を荒さない」人を選ぶ。
・何をどう血迷っても友達は絶対に雇わない。

これに尽きる。

技術と経験が無ければ音楽はできない。

あなたの音楽を10年演奏してきた友達と３日間リハーサルするより、世界一流の演奏家と30分リハーサルするほうが仕上がりが良くなるのが音楽の世界だ。

雇った人が、演奏が良すぎてお互いに仲良くなっていってそのうち親友になるのはいい。でも逆は絶対にだめ。

他に知り合いがいないから友達に頼むって人もいるが、これも駄目なんだな。なぜ知り合いを作りに町に出ないのか。知り合いを増やせば良いだけなのに、そこを忘れている。せっかくの自分の大事なバンドなんだから努力しないと。知り合いを作りに行くところから始めないと。

常に、その業界で最も素晴らしいプレイヤーは誰なのか、そのリストを頭に入れ、会ったことがない人には会いに行って挨拶し、知り合いになって、いつか演奏を頼む、というのが最強のやり方だから、私はいつも街に出て人に会ったり演奏を聴いたりしている。自分の仕事のやり方で自信がある事柄ってそんなに無いけど、この件だけは自信あるなあ。私はいつも外に出て、知り合いを増やしているから。

音楽が仕事で無い方は↑このどこをどう変えると自分の仕事に活かせるか、是非考えていただけたらと思う。

今日は「Don't Hire Your Friendを本当に曲にするとしたらどんなフレーズとハーモニーを使おうか」と電車の中で考えながら帰宅した（笑）。最初仲が良さそうなフレーズなのに、途中で揉めてる感じにするためには、2つ別のラインを同時並行で走らせてそれが不協和音になっていくようにするか・・などなど考えたり笑。

ところで！
2つ目のタイトル候補（笑）もあるぞよ（笑）。
2つ目はMean What You Kick。
キックを、もっと真剣にやれ、意味を感じながらやれ、という意味だ。

「キック」ー日本語だとキメと呼ぶーは、「ジャズなどリズミックな曲に出てくるリズミックでかっこいいフレーズ」を指す名詞。そこに来たら全員でそのリズムを演奏して、身体で楽しむ感じの箇所のことなんだけども

誰かのKickをただ真似して書いちゃっているだけ、という作曲家が多くてびっくりする。自分では、全然意義とかその良さを感じずにやっているので、書いてる本人が全然そのフレーズにノッてなかったりするんだな。

びっくりするし、勿体ない。
自分が「感じられないもの」を、自分の曲に入れても
仕方ないのになあ！

そういう場合、そのリズムの箇所にやって来ても、全然楽しくない。そういうのを聴くと、おおおおおおい！！ってツッコミたくなるわけ。

せっかくキックを書くなら、もっと深く感じて、ガンガンにやろうぜ！！！とお姉さん言いたい！涙。そんなわけで、二曲目はMean What You Kick（笑）。ちなみにこの言い回しはMean What You SayというThad Jones曲のタイトルのパクリ笑。

なんか本当にこの２曲を書いちゃいそうな自分がいてちょっと笑っちゃうなあ。特に２つはすぐ書けそう。来年5月にまたビッグバンドをやりたいから、その時に本当に新曲として加えようか笑。