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#6 MOVIX堺

堺のシネコン

 またもやシネコンですが、もはや開き直って、今回はMOVIX堺です。ここも、私の大好きな映画館です。多様な作品を上映してくれるから、という理由もありますが、ここには、映画に没頭し、映画と対峙する空間がある、というのが一番の理由のような気がします。それは、単純に観客が少ないという理由から来るものだったりもするのですが、ひとときの間、ただ映画に向き合える幸せが、MOVIX堺にはあるように思います。

MOVIX堺
https://www.smt-cinema.com/site/sakai/

MOVIX堺の場所

 MOVIX堺は、大阪市と堺市を隔てる大和川のほど近く、一番大阪市に近いところにある堺市の埋め立て地、堺浜にあります。最寄駅は、南海本線の堺駅や七道駅、大阪メトロの住之江公園駅あたりになりますが、どの駅からも5kmくらい離れているため、公共交通機関利用ならバスを使うことになります。大阪メトロ住之江公園駅前からは、無料の送迎バスが出ています。また、南海本線の堺駅や南海高野線の堺東駅からもバスが出ています。

 MOVIX堺へは、やはり車で行くのが一番便利です。大和川沿いの堺市側にある道をひたすら海のほうに向かって走ると、Amazonの建物やサッカーのナショナルトレーニングセンターJ-GREEN堺があり、その奥にある堺浜えんため館にMOVIX堺が入っています。

 なお、この堺浜の埋め立て地に入ってからAmazonの建物へ西向きに向かう一本道は、制限速度50kmです。見晴らしのいい直線道路で、ついスピードを上げて走りたくなりますが、たびたび警察が取り締まりをやっているので、制限速度は必ず守りましょう。ここで違反切符を切られたことのある者として忠告しておきます。

サービスデイ・サービスプライス

 MOVIX堺には次のようなサービスデイがあり、それぞれ映画1本が割引料金で鑑賞できます。

・MOVIXデイ   毎月20日/1,200円
・ファーストデイ 毎月1日/1,200円
         (12月1日は映画の日で1,000円)
・レディースデイ 毎週水曜日/女性1,200円
・メンズデイ   毎週火曜日/男性1,200円

 また、次のようなサービスプライスがあります。

・シニア割引  60歳以上/1,200円
・夫婦50割引  どちらかが50歳以上の夫婦/2人で2,400円
・レイトショー 毎晩20時以降の上映回/1,400円

 なお、通常料金は一般1,800円、大学生1,500円、3歳から高校生まで1,000円、障がい者手帳を持っている場合は同伴者2名まで各1,000円となっています。

会員制度・SMT Members

 MOVIX堺には、MOVIX共通の会員制度があります。松竹マルチプレックスシアターの会員制度だから「SMT Members」です。カードを作りたい場合、カード発行手数料として100円かかりますが、カードを作らずウェブのみで入会することもできます。入会費や年会費は無料です。

 SMT Members 会員になると、1回の有料鑑賞で鑑賞ポイントが10ポイントたまり、60ポイントたまると無料鑑賞クーポンに引き換えることができます。このポイントは、無料クーポンに引き換えずにずっとため続けることもできます。ただし、ポイントの有効期限は最終加算日から6ヶ月間で、期限を過ぎると全ポイントが失効します。有効期限内に有料鑑賞してポイントが加算されれば、そこからまた有効期限が6ヶ月延長されますが、無料鑑賞クーポンを使って鑑賞しても残りのポイントの有効期限は延長されないため、注意が必要です。

 また、有料鑑賞するごとに、次回鑑賞時に割引が受けられる購入特典クーポンが付与されます。このクーポンを使うと、窓口購入が1,300円、ネット購入が1,200円になります。クーポンは鑑賞翌日に付与され、60日間有効です。この購入特典クーポンを使用して鑑賞した場合でも、また購入特典クーポンが付与されます。このため、2ヶ月に一度以上MOVIXで映画を見るのであれば、チケットをネット購入することでいつでもサービスデイ料金での観賞が可能になるという、永久機関のような錬金術のようなありがたいクーポンです。

シネコンウォーカー

 MOVIXやユナイテッド・シネマなどのシネコンで入場時にもらえる月刊シアター・マガジン「シネコンウォーカー」をご存知でしょうか? 映画の記事が充実していて、私はいつもこの冊子をもらうのを楽しみにしています。いや、私の場合、巻末に掲載されている松久淳さんの「地球は男で回ってる」の連載を楽しみにしていると言うほうが正しいのですが、それはさておき。

 シネコンウォーカーは、月初めの週末に配布が始まります。たまたまその月の初めにシネコンに行く機会がなく、月の後半くらいにシネコンに行くと、劇場によっては配布が終了していてもらえないことがあります。そんなときでも、MOVIX堺なら手に入ることが多いです。というのも、MOVIX堺の場合はチケットカウンターで購入者全員にシネコンウォーカーを配ることはせず、入場口から各スクリーンまでの間の廊下に、ご自由にお取りくださいの形で置いてあるから。他の劇場では、シネコンウォーカーをもらってすぐ捨てるようなもったいないことをするお客さんを見ますが、MOVIX堺では本当に読みたい人だけが持って帰るからでしょうか、月末頃に行っても残っていることが多いです。松久淳さんの連載を楽しみにしている私にとっては、MOVIX堺が救世主になることがよくあります。

南大阪でここだけの上映、たまに貸切

 上映作品によっては、大阪府下では梅田と難波の2館プラス北大阪、東大阪、南大阪で1館ずつ、なんてことがあります。そんなとき、南大阪ではMOVIX堺のみでの上映となることがあります。最近だと、『グリンゴ/最強の悪運男』とか『黒い司法/0%からの奇跡』などがそうでした。MOVIX堺は、堺市の中でも一番大阪市に近い側にあるので、私などは大阪南部からはるばる行くには違いないのですが、それでも「この映画が堺までやってくる!」と嬉しくなります。

 しかも、梅田や難波の映画館に比べて、MOVIX堺は圧倒的に空いています。それどころか、たまに観客が自分ひとりきり、という事態に遭遇します。私はここ20年くらい、少ないときでも年間50~70本、多いときには年間300本くらい、映画館で映画を見ています。それでも、映画館で観客が自分ひとりというのは、これまでに10回もなかったと思います。にもかかわらず、その半分くらいがMOVIX堺での出来事です。

 生まれて初めて映画館でひとりきりになったときのことは、とてもよく覚えています。それまで長らく、今日はひとりかも?と思っても上映直前に誰か入ってきて、なかなか自分ひとりにはならないものだな、と思っていました。それが、MOVIX堺にウディ・アレン監督の『マッチポイント』を見に行ったとき、本当に誰も来なくて自分ひとりになり、無性に感動してしまいました。

 映画館にしてみたら、「いや、もっとみんな見に来てよ」と言いたいところでしょうけど、広い映画館を独占できるのは、いいものです。誰にも迷惑がかからないから、こっそりオナラしてもバレません。そしてMOVIX堺は、他の映画館よりも自分ひとりになる確率が高いので、おすすめです。

 こんなことを書いてしまうと観客が増えて、ひとりになる確率が下がるんじゃない?と思われるかもしれません。でも私としては、自分ひとりになってばかりでMOVIX堺の経営が立ち行かなくなるのが最も困るので、観客が増えても、それはそれでいいのです。

お風呂にも入って帰れます

 シネコンといえばショッピングモールに併設されていることが多いですが、MOVIX堺が入っている堺浜えんため館には、ショッピングモールのようなものはありません。そのかわり、ボーリング場やゲームセンター、パチンコ店などの遊戯施設があり、さらにスーパー銭湯「祥福の湯」があります。スーパー銭湯が隣にある映画館なんて、ここくらいじゃないでしょうか。ひとっ風呂浴びてから映画を見るとか、映画を見た帰りに大浴場とか、MOVIX堺でしかできない贅沢な過ごし方だと思います。

爆音映画祭

 音楽ライブ用の音響設備を設置して、大音響の爆音で映画を鑑賞するという「爆音映画祭」が、MOVIX堺でたびたび実施されています。これまでに2、3回あったでしょうか。『グレイテスト・ショーマン』や『ベイビー・ドライバー』など、音楽が重要な役目を担っている作品を爆音映画祭で見ると、通常上映とはまったく違う音の響きに圧倒され、虜になります。いつぞやは、『ボヘミアン・ラプソディ』ばっかり何度も上映する爆音映画祭、なんて企画もありました。あのとき、MOVIX堺にこんなに客が入ることもあるのか!と思ってしまったことは内緒です。

 3月下旬の3連休にもMOVIX堺での爆音映画祭が予定されていましたが、こんな状況のため、残念ながら中止になってしまいました。この危機が過ぎ去ったら、またMOVIX堺で爆音映画祭が実施されることを願っています。

大阪南部への多様な映画文化の供給地

 MOVIX堺は、埋め立て地の工業地帯の中にあって、決して交通アクセスが良いとは言えないながらも、大阪南部の他のシネコンでは見られない映画を数多く上映してくれる点で、南大阪への多様な映画文化の供給地だと私は思っています。緊急事態宣言が出る前から観客が少なく、ひとり占めにできたら嬉しい反面、観客が少なくて閉館されたらどうしよう、と私はいつも心配していました。この自粛のときが過ぎ去ったら、もうひとり占めできなくなってもいいから、ぜひ大勢の観客に戻ってきてほしい。これからも、大阪南部に多様な映画文化を供給してほしい。今はそんなふうに思っています。

※料金や会員制度は、2020年4月現在の情報です。

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