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どんなチカラが身に付くもんか 働いてみなくちゃ分からないよ

新年度が始まって3週間。入社したばかりの新入社員の中には、もう退職する人もいる、というニュースを観ました。
辞める理由の1つが、希望していた仕事ではない、というもの。

もちろん、ニュースで取り上げる人はごく一部だし、今年度の新入社員全体を代表している存在や考え方なのかどうかは分かりません。いつもの年よりもちょっと多い、という程度かもしれないですし、個人の愚痴みたいなもの(あー、もう辞めたい、とか)が、SNSで可視化されているので目につくだけかもしれない。
だから、世代論で語りたいとは思わないのです。あくまでも「そういう人もいる」というところを入り口に、私個人が感じたことを書きます。

以前の記事にも書いたことがありますが、希望していた仕事ができないことが辞める理由になるんだったら、私には辞める資格があったと思います。

玩具メーカーに入社したのは、子ども文化に関わりたいと思ったからです。入社前の最終面接では、どんな部署で仕事をしたいのか、やんわり質問され、こう答えました。「開発だけではなく、営業だって、広報だって、何らかの形で玩具に関わることができ、それは、子どもにつながることだから、どんな部署でも頑張れます」と。
そして、総務部になりました。

うん、どんな部署でも頑張れるって言いました、確かに。けど、「何らかの形で玩具に関わる」というところは、聞いて頂けなかったのかしら・・・。なんてことを思いましたが、一方で、まぁ仕方ないよな、とも思っていました。配属を決める誰かエラい人が、何らかの理由で、「この子は総務がいい」って考えてくれたんだとしたら、総務にも何かあるのかもしれない、と思っていました、厳密には、そう思おうとしていました。
まぁ何より、そんなことは、よくある話でした。配属の希望が通る方が稀だ、くらいに思っていました。1年目の配属は、教育の意味も込めて、誰でも営業部、という企業も多かったです。
(ちなみに私はその後、1年で企画開発の部署に異動になりました。)

働き方が変化しているので、当然、会社の中で社員がどんな過程を経て育つのかも変化しています。〈40年近くを同じ会社で働く想定での最初の土台作りの1年〉と、〈そこそこの頻度で仕事を変える想定で即戦力になるチカラをつけたい1年〉とでは、学びたいものも変わってきます。

働き方・転職のありかた・学び方・身に付けたいチカラ・・・色々なものが日々変化していくなかで、それぞれの変化のスピードにばらつきがあることの不具合、みたいなものが起きているかもしれません。

それはそれとして、古い時代の考え方かもしれないけれど、これから色々なことを学ぶ立場の人には、「自分でコレ、と決めたことだけを学ぶのって、もったいなくない?」ってお伝えしたいな、とは思ってしまうのです。

企画の部署に異動になって、仕事を始めてから驚いたことの1つは、自分の知らない業種が沢山あったことでした。デザインや設計を専門とする会社があるのは、まだ想像ができたものの、商品を入れる「はこ」の設計を専門とする製函屋さんとか。企画屋さんとか。アセンブル工場を持っている会社。倉庫を手配する会社。個々の専門性を持つ企業があることに驚くと同時に、あぁ学生の頃って、「仕事」については何も見えていなかったんだな、と思ったのです。

そして、企画の仕事を通して私が学んだことは段取り力や進行管理力でした。事前に想像していた学び、例えば、アイディアを生み出す企画力とかは著しく伸びる訳ではなかったんですよね。想定とは違ったけれど、その後の自分の仕事を考えれば、ここで進行管理を学べたことで、何をするにも本当に役立ちました。

自分は●●を身に付けるために▲▲の職種について仕事をしたい、希望が通らないなんてミスマッチだ、という風に、自分の可能性を自分で狭めてしまうのはもったいない気がするんです。どの職種で、どんな力が身に付くのかなんて、やってみなくちゃ分かりません。たとえ、希望通りの部署で働けたとしても、学生がちょっと考えたくらいの学びなんて、平気で吹き飛ぶような経験が沢山あり、そこから、自分では思いもしなかったような学びがあると思うのです。それが、自分が成長することの醍醐味じゃないですか?!

という訳で、新入社員のニュースを観ながら、これから先、何が起こるか分からないからこそ、自分で自分の可能性を狭めずに、どんな経験からでも学んでいけばいいんじゃない、と思うのでした。

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