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絵の具あそび

絵の具あそびについて、書きます。

何かを作る遊びを楽しむ時、最初は、何か作品ができあがることを意識しないようにしています。過程を楽しむことを大切にするのです。

絵の具であれば、絵の具を触った時の感触を味わうこと。紙の見た目がどんどん変化すること。色と色が混ざって、違う色になること。

こんな風に遊んでいると、毎月一緒に遊んでいる保育園の子どもたちは、自分の手や足に絵の具を塗り始めます。やりたい気持ちになるお子さん、多いんだと思います。自宅で遊んでいる時は、よほど準備しておかないと後片付けが大変なので、どこかで、「いくら絵の具まみれになっても、問題なーし!」という場面があれば、ぜひ、やらせてあげてください。

それから、絵の具スケートを始める子もいます。(2歳児クラスの子が多いです。)紙に存分に絵の具を塗ると、はだしで歩いた時に、ぬるぬるして、適度に滑るんですよね。その、ぬるぬるを楽しみながら、何度も往復して喜ぶ。そのうち、滑りすぎて膝ついたり、尻餅ついたりするので、ズボンはすっかり絵の具色です。

何かを作ることを目的にせず、作る過程を存分に味わってから、「できた!」という喜びにも目を向けていきます。
でも、ここでは、「じょうずにできた!」とか「きれいにできた!」ということは重要ではないのです。ただただ、自分が何かを作ったんだよ、という喜びを感じる「できた!!」を大切にしたいのです。
だから、大人の応えも、「ほんとだ! できたね!!!」って目一杯喜べばいい。

できた作品を飾るのもいいですね。一回り大きな紙に貼ると、額縁と同じような効果があり、見栄えがします。「できた」という誇らしさを感じられますね。

黒の台紙は絵が引き締まります

ここまでで、「絵の具たのしい!」という想いは充分に味わっているのですが、年齢が上がってきたら「自分の納得のいくものができて、嬉しい。満足」という気持ちが持てるような作品も作りたいですよね。

ここが腕の見せ所です。「難しい技術は必要ないけれど、今までと同じように、作る過程を楽しんでいたら、すてきなものになる」ような手法を、考えます。

例えば、画材を筆ではなくて綿棒にするとか。マスキングテープを貼って模様を作るとか。あえて使う色の数を減らしてみるとか。いつもと違う紙(和紙や色の違う紙)を使うとか。はじき絵とか。
環境も考えます。今までは、床に大きな紙を敷いていたけれど、1人1人自分サイズの紙にして、机で描くだけでも、子どもたちの意識の向け方が変わります。机で描けば、細かな表現にも気持ちが届くようになります。

良い作品を作ることが大切なのではなく、自分なりに、どんな作品を作りたいか考えることを楽しむことを大切にしたいと思っています。だから、大人もサンプルを見せていい。ワザも教えていい。子ども自身の内から「あんなの作ってみたいなぁ」という気持ちが沸き起こり制作する、という気持ちの動きを大切にしたいですね。

こんな風に、過程を楽しみ、できたことを喜び、満足のいくものを作ろうとする、という具合に、1つの素材でもじっくりと、活動をステップアップさせていくと、無理なく、表現を楽しめるようになるのかな、と思っています。「作りたいから作る」という経験を充分に重ねていきたいと思うのです。

子どもたちは、いつも思いもよらない遊びを見つけて、驚かせてくれます。だから私も、子どもたちに負けないくらい、遊びを楽しめるアイディアを、いつも取り出せるように用意しておこうと思うのです。

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