好きになるチカラを育てる
好きになるチカラを育てる、とタイトルに書いたのだけれど、本当に育てられるものかどうかは、分かりません。
ただ、ごく小さいうちに「何かをすっっごく好きになること」が経験できたらいいな、と思っています。
何か、すっっごく好きなものがある子どもの話を聴くことが、とても好きです。その〈好きなもの〉というのは、電車だったり、恐竜だったり、昆虫だったり、あるいは、プリンセスだったり、バレエだったり、何かのテレビのキャラクターだったり、はたまた、レゴだったり、折り紙だったり・・・します。
いずれにしても、個々の〈好きなもの〉について、アツい解説は、とても楽しい。夢中になって語る、その姿を見ているのが、本当に好きなのです。わくわくしている情熱が伝わってきます。
そんな風に、〈好きなもの〉を熱く語るようになるまでには、時間も手間も存分にかけているはずなんですよね。例えば、電車好きさんが最初から、路線図について詳しく知っている訳ではない。「電車を観て喜んだ」くらいからスタートして、電車がよく見える場所に足を運んだり、色々な電車に乗ったり、鉄道博物館に行ったり、電車のおもちゃを買ったり、電車図鑑を読み込んだり、・・・と、電車との接点を増やしてきた成果が、電車について熱く語る、という形で表れているんだと思うのです。探求学習もびっくりするくらいの、多様なアプローチです。
そうやって〈好きな気持ち〉を育てているんだと思うんです。
年齢が上がるにつれて、小さい頃に好きだったものから〈卒業〉することがあります。そうなった時に、何かを好きになるために費やした時間は無駄になるのか、と言えば、私はそうは思いません。〈何かをすっっごく好きになる〉という経験があることが、これから先に生かされると思うからです。
先ほど、「探求学習もびっくり」と書きましたが、年齢が上がるにつれて、1つのテーマに対して、自分で興味を持ち、色々な角度から調べてまとめるような学習が求められます。そうなった時に、1つのことに、じっくりじっくり向き合い、深めることを面白がった経験は、充分に役立つと思うのです。
また、〈好きという気持ちを育てる〉ことを経験した人は、この先、何か、ちょっと気になるものに出合った時に、素通りせずに向き合い、〈好き〉まで育てることができると思うのです。
そして、〈好きなものがある〉ことは、何よりも自分の支えになります。自分は自分だからOK、って言うための、拠りどころになるんです。
だから、小さな子どもに限らず、小学生も中学生も大人も〈すっっごく好きなもの〉があればいいよね、と思うんです。
そのためには、〈好き〉を育てなくちゃいけない。だから、小さいうちに〈好き〉を育てる経験をしたらいいのかなぁ、と考えています。
ただ、1つだけ気を付けた方が良いことがあるんです。
小さい頃に、〈すっっごく好きなもの〉を持っていた人は、大きくなってから出会った〈ちょっと気になる程度のもの〉が、好きの種だってことに気づけないかもしれません。それは、〈好き〉が育った後のことを覚えているから。「あんな風に、オヤツを食べる間も惜しんで夢中になれるほどのものじゃないと、〈好き〉って呼べないんじゃないか?まだ運命の〈好き〉に出合っていないんじゃないか?」って思ってしまうかもしれません。
でも、それは、初めて出合った時のことを覚えていないだけだと思うんです。たぶん最初は「●●に興味を示した」くらいだった。その姿をみた大人たちが、「●●が好きそうだから、これを観たら喜んでくれるかな」「これで遊んだら楽しいかな」と、どんどん、〈好き〉を育ててくれたんだと思うんです。
だから、最初は〈ちょっと気になる〉でも大丈夫。1つに絞らなくても大丈夫。いくつもいくつもある〈ちょっと気になる〉に目を留めて、育てていけば、その中には〈すっっごく好き〉にまで育つものも、きっとあると思うんです。(でも、育たないものがあってもいいと思うんですよ。全ての出合いが有益である必要なんて、全くない。)
だから、〈何かをすっっごく好きになる〉こと、小さいうちに体験できたらいいですね。そのためにも、子どもの近くにいる1人の大人として、〈好きのたね〉になるような、ちっちゃな興味を見逃さずにいたいなぁ、と思うのでした。
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