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スタッフが仲良くなる秘訣(在宅医療の現場編)

仲良くなる前にやることはただ一つ

スタッフ間が仲良しである一つの指標として「風通しの良さ」が挙げられると思います。医療機関ごとにスタッフ間で情報のやり取りで風通しが良い部署と、そうで無い場合とがありますが、一体何が違うのでしょうか。つい在宅医療などのスタッフ全員が集まりにくい環境だと見過ごしやすい点があります。少なくともこの見過ごしやすい点が、とても大事なことが習慣化されていないと風通しが良い雰囲気、つまり仲良くなることが難しいと考えられます。それは「仕事を全くしない時間を作る」です。

在宅医療のスタッフは休めない

どうしても在宅医療で外に出てしまうと、診療時間に間に合うかどうかで心が落ち着かず、診療が始まったら患者さんやご家族との話に集中し、そして次の診療に向かいます。その間はずっとクルマの中ですし、クルマの中でもPC作業があればその作業に充てられます。通常の診療スタイルで考えると、「休む」時間が無いのです。どうしても「休む」となると、どうやって休むのか、という問題も出てきますから、「休む」というのも、あるルールが必要です。ちょっと失敗談をお話します。


休む目的を間違えた例

以前に勤めていた所では、スタッフが移動中にドライバーさんに頼んで、スーパーで買い物をして、その買物をクリニックの冷蔵庫に入れておくということがありました。ちょうど医師の診療スケジュールが少ない日だったので、その合間に買物をしたということですが、これについては厳重注意しました。ただクリニックによっては自由なクリニックもあると思うので、一概にダメとは言いませんが、今からお話しする「仕事を全くしない時間」はこのようなで私的なことに使うのではありません。その点は留意した上で、「仕事を全くしない時間」の目的と意味を説明したいと思います。

実際に行った雑談タイム

「仕事を全くしない時間」というのは、週に1回30分、朝の診療前に、部署から1人名ずつ集まります。頻度は多い方が良さそうですが、負担のない範囲で行いましょう。議事録もとりませんし、上長への許可もいりません。業務の話よりも、自分の話や職場環境の話など、たわいもない話でOKです。「最近どうですか?」と話すだけです。何か決めごとがあれば、別の会議に譲り渡します。ここではリラックスして話すことが目的です。部署毎のメンバーはリーダーに限りません。今日はこの方、という風にかわるがわるでOKです。この場では、お菓子とお茶も自由に持ってきてOKです。医療機関側が用意するのも良いでしょう。リードする立場は必要ですが、何かみんながいるときに話したいことがあればどうぞ、という感じで進めます。仲良くすることが目的ですので、リラックスして行います。この時間が繰り返した後、スタッフ同士の関わり方が少しずつ変わってきました。「前言っていたお話ですが・・・」という、日常会話の中で、部署や職種が変わると話しにくい雰囲気から、「つながる場をつくり、話しやすい雰囲気を作る」が自然と醸成していきます。

心の壁より雑談の意味を理解することが先

当初はトップからは「何のために行うか分からない会議に意味があるのか」という話がありましたが、結果的にはスタッフ間で「話しやすい雰囲気」が醸成されて、かしこまった会議でも話しやすさを引き継ぐメリットがありました。在宅医療という現場は、外に出るメンバーと内側でスタッフをサポートするメンバーとに分かれる時間が多いからこそ、「一緒に過ごして、たわいもない会話を」する時間は、スタッフ間で本当に必要な情報をやり取りするための「心の壁」を少しずつ取り除くことに繋がります。仕事をしない時間をとることが、チームの風通しの良さを促し、その結果、チームで動くときの生産性をより高めます。あとは、雑談をする大きなメリットを理解し、組織内で「時間をとる」という英断をすることができるか、です。

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