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【2月2日京都市長選】京都を知ろう!~環境編~

1.はじめに

 皆さん、突然ですが、「京都議定書」という言葉を聞いたことはありますか?
 京都議定書は、1997年に京都市で開かれたCOP3(第3回気候変動枠組条約締結国会議、地球温暖化防止会議)で採択され、2005年に発効された議定書す。地球温暖化防止に向けて、先進国がその原因となる温室効果ガス排出の抑制、削減を期間を決めて行うことを約束しました。この京都議定書は、のちに対象を発展途上国も含めた全ての国・地域に拡大したパリ協定(2015年採択)にもつながっており、現在でも地球温暖化防止への目標の礎となっています。
 地球温暖化の防止の歴史は京都から始まったと言っても過言ではありません。

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 また京都市は、2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標、2030年までの達成を目指す)の先進度が日本の全市区の中でNo.1となるなど、京都市の持続可能な社会への取り組みは高い評価を受けています。

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 今回記事では、京都市の環境問題に関する具体的な取り組み・課題を
・環境保全
・低炭素社会
・循環型社会

の3つに分けて紹介していきます。


2.環境保全

▶取り組み
 京都市は環境基本条例を策定し、市、事業者、市民、滞在者の責務を明らかにしようとしています。この条例の大気汚染に関する基準では、国よりも厳しい基準を設けており、特に二酸化炭素などの排出の削減に力を入れています。また、保全基準達成状況もグラフからわかるように、大気、水質の両面で高い水準で推移しています。

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 また、京都市は、京都発祥の環境マネジメントシステム「KES」(京都環境マネジメントシステム規格)の取得を推進し、中小企業など、あらゆる事業者に環境改善活動への参画を促すなどして、企業がCSRに環境保全活動を取り入れやすいようにサポートしています。

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▶課題
 中小企業を中心に経済状況が厳しく、KESの取得が鈍っているため、環境に配慮して事業を行なっている中小企業への支援や更なるKESの周知が求められています。
 また、生物の多様性を維持する取り組みや、市保全基準未達成の項目を一層推進していく必要があります。

3.低炭素社会

▶取り組み
 京都市は全国で始めて地球温暖化対策に特化した条例を策定(平成16年12月)するなど、低炭素社会の実現に向け、より高い目標を掲げて、先進的な取り組みにチャレンジしています。2009年には政府が認定する環境モデル都市に選ばれました。
 2010年には、環境にやさしい社会を実現するため、「歩くまち・京都」憲章を制定し、市民・観光客の両者に、排気ガス排出などで環境負担の大きいマイカーではなく、市バスや地下鉄などの公共交通機関の利用を呼びかけるなどしています。

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▶課題
 京都市の温室効果ガスの排出量について、民生業務部門、民生家庭部門からの排出が増加しています。市内の事業者や、市民一人ひとりの意識向上を呼びかけ、温室効果ガスが増えることで生活にどんな悪影響があるか、周知する必要があります。

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 また、グラフからもわかるように、温室効果ガスの総排出量を、令和2年(グラフでは平成32年と表記)には平成25年比マイナス25%となる587万トンへ減らすことが求められています。二酸化炭素を出す火力発電から、クリーンな再生可能エネルギーへの転換が必要となってきます。


4.循環型社会

▶取り組み
 2006年から家庭ごみ用の有料指定袋ができ、2007年からはプラスチック製包装の分別義務を京都市全体に拡大したこともあって、ごみの排出量が減少しています。

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 また、地域単位での使用済み天ぷら油、古紙等の回収や、ごみ減量活動などは、京都市と地域とが密着した形で行われ、地域内コミュニティの循環型社会への意識向上にも役立っています。また回収した使用済み天ぷら油は市バス、ごみ収集車のバイオディーゼル燃料に再利用するなど、地域に燃料として還元される仕組みにすることで、より市民がメリットを感じられるようになっています。

▶課題
 課題は大きく分けて2つあります。
 1つは、京都市のごみの排出量は減少してはいるものの、現行の基本計画が掲げる目標には至っていないことです。理由としては、工場や事業所などから出る事業系ごみの減量や、再資源化があまり進んでいないことが挙げられます。また、排出量全体に関しても近年あまり変化はなく、再利用率も高くなっていません。グラフを見てみると、ピーク時の平成12年の82万トンから、マイナス43%、46万トンまで減少してきましたが、近年はほぼ横ばいです。この数字を平成32年までに目標の39万トンまで減らさなければなりません。

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 そしてもう1つは、埋立処分地の問題です。現在、京都市で排出された多くのごみは、焼却された後、埋め立て処分となっていますが、海に面していないこともあって、埋立地にできる場所が非常に限られています。現在、京都市伏見区にある市内に唯一の埋め立て処分地、エコランド音羽の杜(東部山間埋立処分地)は、45ha(小学校の25mプール約1万個分)の容量がありますが、そのうち4分の1以上は既に埋め立てられています。この最終埋立処分地を1日でも長く使うためにも、さらにごみを削減し、分別や再利用を促進していかなければなりません。

5.まとめ

 このように、京都市は京都議定書が採択された都市として、様々な取り組みをしています。しかし、環境政策は他の政策とは違い、市の政策に関して、市民一人ひとりが、主体的に取り組んでいかないと達成できないものも数多くあります。市と市民が協力して持続可能な社会の実現を目指し、将来の自分たち、そして未来の世代に美しい京都を残していく、その先頭に立つリーダーを選ぶのが、2月2日の京都市長選なのです!

使用データ
京都市環境基本計画
https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000195/195329/keikaku.pdf
環境 現状と課題 京都市
https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/cmsfiles/contents/0000074/74547/220127_07_kankyou_A3.pdf
京都議定書とは?合意内容とその後について|WWFジャパン
https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000103/103986/toshiseisou2.pdf
|KES・環境マネジメントシステム・スタンダード
http://www.keskyoto.org/topics/001638.html
京都市におけるSDGsの取組
https://www.city.kyoto.lg.jp/menu5/category/197-8-0-0-0-0-0-0-0-0.html
京都市における最終処分場の現状と課題
https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000103/103986/toshiseisou2.pdf

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