松本美枝子

写真家、アーティスト。文筆も。写真集に『生きる』(詩:谷川俊太郎、写真:松本美枝子、ナ…

松本美枝子

写真家、アーティスト。文筆も。写真集に『生きる』(詩:谷川俊太郎、写真:松本美枝子、ナナロク社)『生あたたかい言葉で』、『船と船の間を歩く』など。ウェブ連載に『未知の細道』。『水戸のキワマリ荘』の他に、もう一つ新しい『メゾン・ケンポク』(常陸太田市)というスペースを始めました。

最近の記事

「メゾン・ケンポクの何かはある2021」のこと

現在、茨城県北地域で行っている、私の小さなアート・プロジェクト「メゾン・ケンポクの何かはある2021」と、その中で展示している新作「小さなミエコたちのはなし」の構想は、昨年、ジョルジュ・ディディ・ユベルマンが書いた、ホロコーストとそこで撮られた4枚の写真についての論文を、「メゾン・ケンポクの読書会」で一年かけて読んだことから始まっている。 ホロコースト下、自分たちが死ぬことがよく分かっていても、それでもなお希望を託して写真を撮影した囚われのユダヤ人たちについて、その人たちが

    • 私の社会実験 1

      去年の5月から始め、いまや自分の制作のコアをなすコレクティブ《メゾン・ケンポクの読書会》。若い写真研究者やアーティストたちと一緒に美学の基礎文献を批判的にひたすら精読する、わかならいことは徹底的に調べ上げ、自分たちが理解できるところまでを、話し合う(わからないことも多々ある)。誰に見せるわけでも、誰に聞かせるわけでもない。論文に書かれていることを正しく知りたい、ただそれだけ、というハード・コアな活動である。 4月から始まった新シーズンは、まずはクレア・ビショッフ

    「メゾン・ケンポクの何かはある2021」のこと