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詩: 渡り鳥


去年のふゆ
病院の待合室で
独り居の食卓で
詩を書いていた
淡々と
流れる言葉を
書きとめて

何もかも失くしたら
詩が残る
そんなふうに思った
じっさい
立ち尽くしたところに
詩がすんでいた
しんと静まった
からっぽの心には
その声を聞き分けるのも
たやすかった

からっぽの心に
詩がなつくとして
さわがしくなった心から
詩はどこに
逃れてゆくのだろう
渡り鳥のように?

せわしない日々に
鳥の声が聞こえない
立ち止まっても
鳥のきらう音楽が
私の心にたえず
流れているみたいだ



*****

それとも
ふゆになれば
私の心もしんとして
戻ってくるのだろうか
渡り鳥のように?

 

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