アナグラム詩: 何かしら、お、と思うような言葉を

何かしら、お、と思うような言葉を
(8リフレイン)

おととしから 虎を担う
箱を直し 中に花もよう
お香を 小鳩を 羊毛を
夜通(よどお)し 粉に
言葉をおもうよ

十(とお)に七から もう大人
何かを担おうと 言葉をならう
尊(とうと)し 重しにしな

お、と思うような詩は
横から おなかに這うような
海原(うなばら)
おおもとから 綴じ
おおもとから来よう


* * * * *
ウニカ・チュルンの詩を参考に、学生時代にアナグラム詩を書いていました。お題となる一行に出てくる仮名を、決められた回数で使い切って詩をつくります。私の勝手に決めたルールでは、「つ」と小さい「っ」は同じ文字とみなし、濁点・半濁点は自由に加除できます。また、句読点や伸ばし棒を加えることも自由です。そのかわり、「お」と「を」は交換できません。

たとえば、「あさがお」の3リフレインであれば、「あ」を3回、「さ」を3回、「か」を3回、「お」を3回使って詩を作ります。
たとえば、「おお、坂。ああ、傘。さあ、丘。」という詩ができます。

今回の「何かしら、お、と思うような言葉を」については、8リフレインなので、以下の136文字を使い切りました。
なにかしらおとおもうようなことはを
なにかしらおとおもうようなことはを
なにかしらおとおもうようなことはを
なにかしらおとおもうようなことはを
なにかしらおとおもうようなことはを
なにかしらおとおもうようなことはを
なにかしらおとおもうようなことはを
なにかしらおとおもうようなことはを

アナグラムを徹夜で楽しんでいた私にとって、言葉って、意味不明。でした。でも、限られた文字から生まれる思いがけないイメージの豊かさと、意味不明でもかすかに通じてしまう詩情に魅せられて、言葉って、魔術。とも思っていたのです。
何かしら、お、と思うような言葉に出会いたくて、文字が言葉にかわる錬金術にはまっていたのでした。


拝啓 あんこぼーろさんのすてきな企画に寄せて。
https://note.com/peacedes/n/n18e372f59994

お読みいただき、どうもありがとうございました!それだけで十分に嬉しいです。 もしもサポートをいただいたときは、ほかの方の詩集に、そして私が詩を書いている日々のノート(440円)に使わせていただきます♪