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ベビーカー畳む?畳まない?

助産師 Beniです。
助産師として働く中で、社会全体が女性の身体のことを理解できたら、
考え方や仕組みがアップデートされて、女性がもっと生きやすくなると考え、
日々考えていることや伝えたいことを綴っています。

今日は交通機関でのベビーカーの畳む?畳まない?論争についてお話ししたいと思います。

先日、もうすぐ一歳を迎える息子を連れて、都内へ出かける機会がありました。
その時私の頭を悩ませたのが「ベビーカーを畳むことはマストなのか?」ということでした。
なぜなら「ベビーカーを畳まずに電車に乗ったら、邪魔だと言われベビーカーを蹴られた」とか「子持ち様が図々しくベビーカーで場所を取って無神経だった」などの文面を時折目にすることがあるから。
一社会人として、人の親として、周囲の人に「あの人非常識だな」なんて冷ややかな目で見られたくないですし、極力周囲に迷惑をかけずに過ごしたい、という思いは人並みにあります。
なので、いざ電車に乗る際どっちが最善なのか、ということをグルグル考えていました。

例えばもし、ベビーカーを畳む選択をした場合、ベビーカーから最近9kgになった息子を下ろし、抱っこ紐で彼を抱っこします。
そして、ベビーカーに積んでいた荷物(おむつやお尻ふき、ベビーフード、水筒、お着替えセット、など)を肩に担ぎ、最後に、畳んだベビーカーを持って乗車することになります。
甘えるわけではないですが、身長149cmの体格の私がそれをする、と想像するだけで気が遠くなりました。
おそらく一歩も動けないだろう、と。

いろんな意見の人が一緒の車両に乗り合わせるでしょうから、もし不愉快な気持ちになる人がいたらごめんなさい、と思いながら、ベビーカーを畳まない選択をとることにしました。
いざ電車に乗ってみると、優先席ゾーンはそれなりに混んでいるし座席に座っている人の入れ替わりも多そうなので、そちらにいくのも迷惑をかけそうだな、と思い、優先席に一番近いドアの前にギリギリまでベビーカーを寄せて立つことにしました。
ただ、停車駅ごとに進行方向に向かって右のドアが開くのか、左のドアが開くのかがランダムなため、車両アナウンスを聞き逃さないようにしてこまめにベビーカーの位置を調整することも必要でした。
慣れれば簡単なことかもしれませんが、動いている電車の中で我が子と荷物が乗ったベビーカーをこまめに動かすことは小柄な女性にはなかなか難しく、乗客が少なかったのでぶつかることはありませんでしたが、もしもう少し乗客がいたら確実に誰かには当たってしまうことになっただろうな、という状況でした。

やや疲労感を感じながら、ふと、以下のことを考えました。
「車椅子の人もきっと大変な思いをされているんだろうな。もちろん絶対ないことだけど、車椅子の人に車椅子を畳め、なんて言わないよな。それがないと困るのだから。」
「でも、それってベビーカーも一緒なのではないだろうか?赤ちゃんはこれがないと困るのだから。」
「赤ちゃんにも権利があるよな、安全に移動するという権利が。ベビーカー畳む畳まないは大人側のやりとりの話であって、赤ちゃんにとっては安全に快適に移動するという権利があるはずなのではないだろうか」

“赤ちゃんの権利”
この言葉の受け取り方は人によって肯定的だったり否定的だったりするかもしれませんが、私の考えでは、とても大切で合点がいくものだな、と感じました。
ベビーカー畳む畳まない論争で蔑ろになっているのは、“赤ちゃんの権利”なのだと思います。
もちろん、狭い車両の中に居合わせる乗客同士、配慮は必要です。
一言声をかけたり、気を配りつつ、赤ちゃんが安全に移動するために必要なベビーカーはベビーカーとして使えばいいのではないか、ということが現段階の私の答えとなりました。

「畳む、畳まない」
「邪魔、邪魔じゃない」
ということ以前に、赤ちゃんを1人の人として尊重し、彼らが安全に快適に存在できるために必要なことを考えられる視点が広がるといいな、と感じた外出からの帰路でした。


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