同じ場所に帰る
一度目の緊急事態宣言が解除した直後、キミと東北へ旅行に行った時のことが、懐かしくも思う…。
「久々に解放されたぁって気持ちだよ!遠出、出来て良かったよね。天気も良かったし、移動もスムーズに出来たおかげで色々、周れて良かったよね!また、来たな。あの青空、もう一度みたいなぁ」
「そうだね。『また、来たい!』と私も思ったよ。それに、楽しい思い出がまた一つ出来たよ。ありがとう。本当に『今しかない!』『この機会を逃してたまるか!』って思っていたの。善は急げ。ということを実感出来たよ!それにさ…また、会いたくても簡単に会えなくなる…。そんな気がするだよね」
「…大丈夫だよ、すぐ会えるよ。だって、同じ国に住んでいるんだよ。どこでもドアが無くても、たった数時間で、会いに行くことが出来るんだよ。そんな顔、しないでよ」
「うん。…ただ」
「…」
「このまま、一緒に帰れたら良いのにね」
「…」
「ごめん。困らせたことを言っているんじゃないの。また、緊急事態宣言が出て、会うのが難しくなって画面越しでしか顔を合わせることが出来ないと思うと、ね。」
「…心配ないよ。今の現状が、いつまでも続くわけがないよ。それに、画面越しじゃなく、これから一緒に暮らすことを考えない?会いたい時に会えないのが辛いのは僕も同じだよ。この騒動のおかげでよく分かったよ。やれることをやらないで、漠然と待っているだけじゃ何も変わることもないよね」
「…」
「今の状況が終わるのを待つよりも、一緒に過ごす時間を過ごすことを考えていこうよ。くすぶっていても何も始まらない。一緒にやりたいことをやっていくことを考えようよ」
「…うん、そうだね。やりたいことをやらないとね。行動しないまま、流されて生きていくことに、卒業しないとね。自分の頭と足で動かないとね。後悔したくない。今、出来ることをやって、楽しみのがある中で生きていたい。自分を追い込んだ生き方は辛いし、1人でいる時間よりも一緒に居たい人と過ごしたいもん」
「ありがとう」
キミが言った「一緒に暮らす」という言葉が、私の寂しさを一瞬忘れさせ、期待と希望を与えてくれた。
今度は別々のとこへ帰るのじゃなくて、同じ一緒に場所に帰れる。
「またね」じゃなくて、「おかえりなさい」と「ただいま」が言えるんだね。今年は。
それが嬉しい。春は、すぐそこまで来ている。
万華鏡を回すと、幾何学模様がキラキラと輝く。
そんな日をキミと過ごせたらと思う今日この頃。