鼠経ヘルニアを手術するタイミング
鼠経ヘルニアは手術でしか治癒できない疾患です。もちろん鼠経ヘルニア陥頓の状態になっていて、用手的に内臓を腹腔内に納められない場合は緊急あるいは準緊急的に手術が必要です。ただ鼠経ヘルニアと診断されても、全員がただちに手術しなければいけないということはありません。鼠経ヘルニアには単に膨らんでいるという場合もあれば、痛み、違和感、排尿障害、射精障害などの症状に悩まれている場合もあります。何らかの症状があり悩んでおられる場合は、緊急とは言いませんが早く手術をした方が良いと言えます。お困りの症状を手術により改善し、日々の暮らしの質を上げることが出来るのであれば、早いに越したことはないでしょう。では症状が全くない場合はどうかというと、これは個人的意見ですが「治したい」と思ったタイミングが手術のやり時かと思います。
鼠経ヘルニアと診断されていても、多くの方がそのまま放置されていると思います。臨床をしていると「鼠経ヘルニアと診断されたんだけれど、それぐらいなら手術しなくて良いんじゃないかと言われた」という声もたびたび耳にします。もちろんそれも正しい答えかもしれません。
ただ一方で、ヘルニアは腸閉塞の原因の約25%を占めるともいわれております。腸管が嵌頓することで、腸閉塞となります。鼠経ヘルニアを放置することにも一定のリスクがあることは、すぐに手術しなくて良いことと同様に認知されているべきであると思います。仮に腸閉塞状態になると、拡張した腸管でお腹の中にスペースが作れず腹腔鏡による手術は困難となり危険です。通常の鼠径部を切開する手術法よりも大きな創でなければ手術できないこともあります。もちろん入院は必要になると思います。
これらのことを伝えられたとしても、いま痛くもないし困ってもいないので手術を決断しかねる、という方もおられると思います。そんな方によくお声がけさせていただく言葉が、私の個人的な意見である「鼠経ヘルニアは治したいと思ったときが手術のタイミング」です。
私達MIDSクリニックはそんな「治したい」という思いにお答えします。ただ治すのではなく、できるだけ負担を軽減して治すことにこだわっています。日帰り腹腔鏡手術はこの課題に対する一つの答えであると考えます。いつでもご相談ください。