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90年代USハードロックの記憶

第二次成長期に聴いた音楽が、人生の好きな音楽を決定づけるという説があるらしい。当時聴いていたのは、USハードロック。90年代ハードロックを分析することで、自分の好きな音楽の何かが分かるかもしれない。

パール・ジャム/Ten

1番好きだったバンド。CDアルバムで作品と聴かせることが、アーティストの意義という時代で、1曲目の入り方が重要だった。パール・ジャムは1曲目の最初を聴くだけで、アルバム全体が思い浮かぶ。曲は短めのリフが低めの音域で奏でられ、反復の快楽にメロディアスな歌が乗る。このドライブ感が好きだった。ギターの壁で音階が曖昧になるところも良い。

クイーンズライク/オペレーション:マインドクライム

パール・ジャムもそうだが、当時のアメリカのバンドは社会問題をテーマにしていた。コード感がシリアスな理由か。重めのベースは、ミニコンポで鳴ってなかったと思うので「下半分がドワーンとしている」くらいの印象で聴いていた。こういう甲高い声のボーカル多かったけれど、音の隙間がそのあたりだったのか。

ヴァン・ヘイレン/1984

ヴァン・ヘイレンはちょっと軽いと思っていた。当時のジャケは、無駄に子供が多かった。バンドメンバーをジャケにするのはダサいけれど、大人を使うとメンバーと勘違いされる危険性があるためうか。ジャケは人のほうがキャッチーだ。「ジャンプ」でシンセカッコイイ!となった記憶はないが、早打ちのリズムは脳裏に刻まれている。

ガンズ・アンド・ローゼズ/アペタイト・フォー・ディストラクション

メンバーのキャラが立っており、不仲話も含めプロレス的だった。聴き取れない英語、何がどこでどう鳴っているのか分からないギター、けどカッコいいというハードロックの入り口になった。November Rainみたいな泣きの曲もあった。パンク楽曲を中心にしたカバーアルバム「ザ・スパゲッティ・インシデント?」もカッコよかった。

エクストリーム/スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー

3作目が一番好きだった。凝ったアレンジで、いわゆるハードロックではない。ファンクっぽい軽いギターやホーンセクションもある。コーラスワークが、80年代の曖昧な感じで、UKっぽいニュアンスが好きだった。大学生になってから、XTCの1989年作「Orange&Lemons」にハマったが、USの裏でUKが賢い音楽をやっていたことに気付いていなかった。音楽的には、上モノはUKで、下はUSな直線的感じが好きだ。

ファイヤーハウス/ファイヤーハウス

ミスター・ビッグ同様、アジア圏で人気のあるバンド。歌を聴く文化圏で受け入れられるのだろう。好きだったけど、地方都市の中学生活を抜け出すために必要なコーヒーの苦味が弱く、カフェオレという感じ。カフェオレの方が飲みやすいけれど、飲みやすければ良いというものではないという音楽観は、当時培われた。

ボン・ジョヴィ/Keep the faith

クリーム入りのカフェオレ。感覚的には、ほぼJ-POPで短くハマった。POPは、短く高カロリー。音楽で体に良いものを取る必要はないけれど、美味しいだけじゃ物足りないという音楽観は、当時培われた。

モトリー・クルー/Shout at the devil

少し年代が古い。調べてみると、モトリー・クルーは「LAメタル」の代表格で、グランジに取って代わられた世代。インディペンデントな音楽より評価が難しいが、日本の地方都市にハードロックを届けてくれて、ありがとう。

スコーピオンズ/Love at first sting

アメリカで成功したが、ドイツ出身のバンド(今知った)。声が好きだった。下の世代より、音のやかましさが少ない。歌と演奏が溶ける前と後の違い。溶けた後の方が好きだった。

Blue Murder/Nothin but trouble

日本ではオリコン上位のアルバムで、かなり好きだった。世界的には成功しなかった。イギリス出身(今知った)。ドヨーンとしたベースが最高。曲の底にシンセ・ポップの色を感じる。

まとめ

パール・ジャムとブルー・マーダーが好きだったというシンプルな結論に達した。USハードロックが好きと思っていたが、UKの香りに引かれていて、コードやメロディーは80年代の曖昧さの方に軍配が上がる。音の輪郭が壊れたものや飲み込みにくい音楽は、ハードロックが入り口になった。中学生だったため、グランジやオルタナまでは進めず、この後テクノに移行していった。

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