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いまさらながら

いろいろあった昨日の、ウツウツを引きずって起きる。夢の中で怒鳴っていて、怒りで目が覚めてしまった(笑)
そんな気分を振り切るために、本を読んで現実逃避。

『アーモンド入りチョコレートのワルツ』森絵都/著

大変お恥ずかしいことであるが、森絵都さんの代表作ともいうべきこの短編集を読んでいなかった。
ううむ、涙が止まらないぞ。
メンタルのせいかとも思ったけど、やっぱりうまいのですよ!
ちょっとおとぎばなしっぽいけども、ぎりぎりクサくない。一瞬で過ぎ去ってしまう中学生の痛々しい心の機微を、ピアノ小品に乗せて、重ねて、丹念に書いています。

タイトル作品である「アーモンド入りチョコレートのワルツ」は、サティにのめり込んだ自分の高校生時代と重なってしまい、世界にググッと入ってしまった。
中でも、このセリフは胸に刺さった。

「学校なんかクソおもしろくなくて、家なんかもうクソクソで、それでもあたしがもどってきたのはな、こっちには木曜日の夜があるからなんだ」
(中略)
「あたしたちが大人になったらさ、好きなもんを好きなように好きなだけ作って、そんで毎日を木曜日みたいに、きらきらさせてやろうな。そんで、そんで…‥」
「それで?」
「そんで絶対に、終わらせないんだ」

木曜日とは、中学女子二人の、ピアノのレッスンの日です。
きらきらしてたのは、変人ぽい絹子先生と、もっと変人の「サティのおじさん」と呼ばれるフランス人とのワルツの時間のことです。
こういう、親以外の大人との時間て大切だと常々思っていたし、自分も救われた。
そういう居場所を提供する人になりたいと思っていた。
そういう場所に入り浸ることを、黙認する親でありたいとも思う。
あの気持ちを、今もちゃんとキープしてるか、自分。

大人の世界への一歩を踏み出しかけた、壊れそうな中高生時代。
金木犀の香とともに思い返す、暑い秋の日。

#読書 #森絵都 #サティ #ピアノ