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絵本「わすれられないおくりもの」

思い出深い絵本です。

息子が3歳の頃、図書館で借りて一緒に読みました。
「よんで。よんで。」
と言うのでソファに座って読みました。

図書館で選んだ時は内容をよく見ていなくて、
絵本雑誌か何かでおすすめされていたのを何となく覚えていて、
急いでいたこともあって多分私が選んだのだったと思います。

借りたのは一度だけだったのですがとても印象深くて
「いつかそのうち買おう。」
と思っていました。

先日手元に届きました。

「読者のみなさまへ
 まわりのだれからも、したわれていたアナグマは、年をとって死んでしまいました。かけがえのない友を失ったみんなは、どう、悲しみをのりこえていく
のでしょうか・・・。スーザン・バーレイの手になるこの感動的な絵本は、友人どうしのあり方や、たがいに、心や技を伝えあっていくことの大切さ、ひ
いては、人間の生き方をも、静かに語りかけています。
 すぐれた作品は、読む人それぞれの思いや経験によって、さまざまな新しい発見があることと思います。どうか、この絵本との出会いが、みなさまにと
って貴重なものとなりますよう、願っております。」

絵本の帯に載っていた文です。
ここにもアナグマさんは死んでしまうと書いてあるのに、
当時の私はいきなり本文を読み始めて、
アナグマさんが死んでしまって驚きました。
かわいらしい絵でほのぼのした絵本を勝手に想像していたのかもしれません。
息子に読みながら
「え?」
とひどくショックを受けたのを覚えています。
アナグマさんが死んでしまうおはなしだったのか・・・

息子はいつも通りおはなしが終わるまで静かに聞いていました。

アナグマさんは死んでしまったけど
みんなアナグマさんと過ごした時間を大切に思っているんだな
アナグマさんがいてくれたことがみんなにとっても幸せだったんだな
生きているってこういうことなのかな

この絵本に出会う前に私は身近な人を2人亡くしていました。
20歳の頃、事故で親友を
25歳の頃、病気で母を
この絵本に出会ってから1年半ぐらいして
2人目の息子が生まれました。
その8ヶ月後、2人目の息子は突然死で亡くなりました。

ずっとこの絵本のことが心に残っていました。

この絵本が届いて、
「3歳ぐらいの時、図書館で借りて読んだの覚えてる?」
と息子に聞いてみました。
「さあ・・・」
息子は言いながらこの絵本を読んでいました。
「全然覚えてなかったわ。でもいい絵本やね。」
「アナグマさんが死ぬって知らずに読んでたから読みながらびっくりしたわ。」
「泣かんかったん?」
「うん。多分死んでしまいましたって書いてあるけど、絵は死んでいる感じじゃないし、その頃はわからなかったのかも。」
と話しました。

昨年は2人の知人が突然亡くなりました。
2人とも私より年下で元気な方だと思っていました。
今でも信じられません。

絵本の帯の文
「すぐれた作品は、読む人それぞれの思いや経験によって、さまざまな新しい発見があることと思います。」
にあるように、
経験によりさまざまな新しい発見があるんだなと思います。

2番目の息子を亡くしたことで感じたこと
息子は亡くなったけど息子が生まれてきたことが素晴らしいことだった、
息子と過ごした時間が幸せなおくりものだった
ということ
妊娠したと気付いたあの日からの16ヶ月が
「わすれらないおくりもの」だった。

最近、相次いで知人が亡くなったこともあり今、思うこと。
生きてる限り生きて行くけど
いつか私が死んでしまったときには
周りのみんなにはなるべく悲しまないでほしい

アナグマさんと同じことを思いました。

今日は大切な2番目の息子が去って行った日。
たぶん。12年前の今日。たぶん。

アナグマさんの周りの友達がやがて春を迎えたように、
12年前の冬からだんだんと春が訪れ、
「乗り越えたんですね。」
と言われると違うような気がするけど、
私はまだ生きていて
今日も夫と息子と大切な一日を過ごせています。

2番目の息子が突然いなくなった日の次の朝
「本当に明けない朝はないんだな。こんなにもどん底にいるのに。」
と思ったのを覚えています。

毎年、この日はなるべく思い出さないようにと過ごしてきたのですが、
「わすれらないおくりもの」
のおかげで書くことができました。

身近な方が亡くなった方、
どうしようもない喪失感を抱えている方に読んでもらえたらなと思います。

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