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    フォト絵本『記憶と空想』

『記憶と空想』は、写真家Midori S. Inoueの心が動いた1990年代New Yorkerの光り輝く瞬間の集大成。第一章は詩人谷川俊太郎氏による書き下ろし20篇の言葉とのコラボレーション。谷川氏の言葉は読む人を空想の世界に誘い、空想することに正解はない、好きなように楽しめばいいことを気づかせてくれます。第二章はMidoriのメッセージ。「あなたはあなたのままでいい」「みんながみんなちがっていい」「今を楽しんでいい」「夢を描いていい」「ダメならやめてもいい」。日本で生きづらさを感じたMidoriがアメリカで変わるきっかけとなった言葉たち。あなたの心に届いて欲しいという気持ちでMidori本人が書いています。一章・二章共に、「使い方は自由」。一枚一枚見る人それぞれの物語を奏でて、空想の世界を楽しんでいただけるような構成です。

『記憶と空想』

また、このフォト絵本は日本の出版界の匠たちにより、最高の一冊に仕上げられており、五感も刺激する作りになっています。ブックデザインは、H2O清水こうじ氏と九谷透氏。フォントは、書体設計士 鳥海修氏による谷川俊太郎氏のために作られた「朝靄かなフォント」。製本は、美篶堂手仕上げにより、表紙は和紙の風合いの新だん紙に箔押ししたフランス装、本編は糸かがりによってページが180度開く装丁。印刷は、山田写真製版所プリンティングディレクター高智之氏による究極の3色モノクロスミ印刷。翻訳は、1967年以来谷川氏の詩を翻訳しているWilliam I. Elliott氏・西原克政氏らによる日英同時表記。

Muddy Kisses 

大切な方へのギフトに、出産や成人のお祝いに、ご自身へのご褒美に、癒しの時間のお供に、授業の教材に…していただける本になりました。「写真や詩を楽しむのもいい」「空想してもいい」「書き込んでもいい」「対話に使ってもいい」「楽しみ方は100万通り」。一冊一冊に込められたMidoriや匠たちやそこに心を寄せているたくさんの方々の想いも一緒にお届けしたいと願っています。

Sunday Morning in Central Park

<ベーシスト/音楽プロデューサー亀田誠治氏から寄せられた言葉>

『記憶と空想』には、僕の大好きなニューヨークを切り取った写真が溢れている。僕は1964年に、当時ニューヨーク駐在中の両親のもとで生まれた。出生地はニューヨーク。ちょっとかっこいい。しかし実のところは1歳半で赤ちゃんの時に帰国。だからその頃のニューヨークの記憶はない。でも緑さんの写真を見ていると、その一つ一つが自分がまるでそこにいたかの如く、強い既視感で迫ってくる。そしてなぜか、懐かしみと、嬉しみがじわーっと込み上げてきてあったかい気持ちになるのだ。

このフォトブックは二部構成になっていて、第一部の「記憶」には一葉の写真に谷川さんの詩が音楽のように寄り添っていて、まるでモノクロのフィルム映画の世界を旅しているみたいだ。そして、さらに素敵なのは第二部の「空想」ではその物語を僕ら自身に委ねられているところだ。どの写真にも自分だけの物語を描くことができる。もしかしたらそれは見るたびに違った物語になるかもしれない。切り取った写真が過去ではなく、現在、そして未来になるのも僕らの空想次第だ。なんだか大人になっても一人遊びできる秘密基地を見つけたような気分でちょっと嬉しい。

余談になるが、去年の夏初孫が誕生して、僕はおじいちゃんになった。お宮参りの写真を迷わず緑さんに撮ってもらった。新しい命が笑顔になってつながっていく。緑さんが切り取る瞬間があったかくて大好きだ。
亀田誠治

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