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皐月某日日記

某日。

この春小学生になった子どもの、初めての授業参観へ行く。

集中力がまだもたない子たちのために1時間の国語の授業が二部に区切られていた。

前半は教科書を読んでの感想の発表、後半はひらがなの書き方の授業。

ぴかぴかの鉛筆を慣れぬ手つきでにぎりしめて、「さ」や「き」を書く子ども達。

目がきらきらと輝いて、口は笑っていたり、真剣に引き結ばれていたり。

教室中に、学ぶことへの熱気が満ちていた。

その溢れんばかりの熱を感じながら、彼らは新芽なのだとぼんやり思う。

新しいことを吸収し、ぐんぐんと伸びている。

その姿の頼もしいこと、まぶしいこと。

学ぶことがこれからも楽しいことであるといい。

開け放たれた窓から見える新緑が、春の強い風に揺れていた。


某日。

5月の頭から後半にかけて、出かける気が全く起こらない。

春の疲れがどっと出たのか、五月病なのか。

行事や日用品の買い物など以外は、家で仕事や家事をして、空き時間に寝て、本を読んでの繰り返し。

元来外に出ることは好きで、なんやかやと用事をつけては外に出ていたので、これはおかしいと不安に思ったりする。

しかし、まあ無理をすることもないと自分に優しく言い聞かせて耐える日々。

出かけたくなったら出かければいいのだ。それくらいの心構えでいよう。


某日。

「天国大魔境」がこのシーズンのベストアニメ。

文明が崩壊した世界で「天国」と言われる場所を探す、マルとキルコの2人組。

一方、壁に囲まれた閉鎖的な学園で暮らすのはマルにそっくりな顔のトキオ。「外の外に行きたいですか?」という謎のメッセージを受け取る。

彼らの物語が交錯しながら進んでいき、世界の形が見えてくる。

(余談だけど、このopとed本当に素晴らしい…)

原作の漫画ももちろん相当面白い。

かなり計画的に、そしてさりげなく張り巡らされた伏線。

読み返しては「あああああ!そういうね!なるほどね!あああ!」となる繰り返し。

作者・石黒正数さんの「それでも町は廻っている」も大好きで何度も読み直しているけれど、こういう仕掛けが巧み。何度読んでも発見がある。ほんと好きです。

個性的で、魅力的なキャラもいい。

好きなキャラ同士を壁になって見守りたいとはよく聞くけれど、私にとってはマルとキルコがそうかもしれないと思ったり。

アニメでわちゃわちゃと動く彼らを見るたびに、彼らの旅の行く末がどうか無事であるように、と祈ってしまう。

最終回がこないでと願ってしまう。

ああ、終わらないでほしい。

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