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夫婦のそれから。

「絶対的な味方ができたみたい。」

結婚をして35年と少し。ふたりの子どもを育てあげた女性がそう言った。

夫婦関係とは、友人よりも恋人よりも、元々の家族よりも、もっと近い。確かな関係なのだと。


夫と結婚して1年を迎えた頃。
「婚姻関係とは何か」の壁にぶつかっていた。

穏やかな夫婦関係。仕事の話や友人の話、日々のことを分かち合う親しい間柄。なんの問題もないのだけれど、なにか問題があるような気もする。


言葉にならない思いに、付き合ってくれた女性。

きっとうまくいく。なんならもう少し寝かすくらいがちょうどいい。だから結論を焦ってはいけない、と。

ありがたい言葉を、ありがたいまま心にしまっていた。


最近、『1122 いいふうふ』というドラマを観た。

観終えたあと、なんとも言えない気持ちになった。共感と、非共感(反感とまでは言えない)。登場人物の人間性、日常。理解できる行動と、理解できない感情。

リアルなのだけれど、非現実的。

なんとも、煮え切らない現実(と私は受け取った)。


ここであらすじを少し。

妻・ウェブデザイナーの相原一子。夫・文具メーカー勤務の相原二也。 友達のようになんでも話せて仲の良い夫婦。 だけど。 私たちには“秘密”がある―。 それは、結婚7年目の二人が選択したのは夫婦仲を円満に保つための「婚外恋愛許可制」。 二也には、一子も公認の“恋人”がいるのだった。

結ばれて“めでたしめでたし”で終わる物語のその先は?
これは、「結婚」という〈ハッピーエンド〉の続きにある物語。

『1122 いいふうふ』スペシャル予告動画より一部引用。


価値観の合うふたり。話は尽きないし、お出かけもたくさんする。

互いに尊重しあって、想いあって、日常が成り立っている。

確かに、仲は良い。
(※以下、多少のネタバレを含みます。)


けれど、どこか”よそよそしさ”を感じるのは、どうしてなのだろう。この違和感は何か。
と、ここ何週間ほど悶々としていた。


ようやく出た答え。

それは、ふたりの”距離”ではないか、と。


同じ屋根の下で暮らしていて、ごはんを共にする。一緒のお布団で眠りにつく。また次の日も「おはよう」から始まる。

それなのに広がる、距離。


同じ価値観だから、言わずともわかることも多い。
想い合うふたりだから、相手の意見を尊重する。
なんでも話し合えるから、大丈夫。


「大丈夫。」

なんてこと、きっとないのだと思う。

いつからでもやり直せる、何度でも立て直せる、はず。やがて、その蓄積が”距離”につながる。


何も起こらない日常は、平和でいい。
けれど、ついついパートナーの存在を疎かにしてしまう。

「今は仕事が忙しいから。」
「たまにはひとりになりたい。」

ついには、
「なんで結婚したんだっけ」と思うようになる。

好きだから、優しいから、頼りになるから…理由はたくさんある。相手のいいところもたくさん知ってる、のに。



ドラマの終盤、妻(一子)の母が亡くなり、夫(二也)が気落ちする妻の元へ駆けつける場面がある。葬儀の手配や段取りは、妻に代わり、夫がすべてを請け負う。たとえ、ふたりが離婚した後、であっても。

その日を境に、妻の中で夫の存在の大きさを再確認していく…


ああ、そうだ。と我に還った。

あの頃、私も夫の優しさに宙ぶらりんになっていたのだと。



「絶対的な味方ができたみたい。」

この言葉を受け取ってから、ずいぶん時が過ぎた。

私たちは変わらず、なんでも話す、仲の良い夫婦。あのときと違うのは、もっと近い存在になったこと。

昔からの友人よりも、かつて結婚を約束した恋人よりも、ずっとずっと近い。

夫の鼻毛が伸びていたら、妻が代わりにカットしてあげるし、妻の機嫌が悪ければ、夫が代わりに買い物に行ってくれる。
私は私で、夫は夫で代わりないのだけど、たまに私は夫で、夫は私になれるような、そんな関係。



私たちは、きっと大丈夫、とは思わない。
この先何があるかなんて誰にもわからない。

けれど、何があっても夫の味方でいられると、今なら思える。

きっと、時を重ねるほどに強く。






(あとがき)

『1122』面白かったです。新しい、感覚、といいますか。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。内容は昼ドラ風な一面もあるのですが、全体的にヘルシーな仕上がり(一部目を覆いたくなる強烈な場面はありました…)。山はいくらでもあるのだけれど、ずっと”凪”。「現実はこんなにうまくいかないよ~」って意見もあるだろうなとも思いつつ。でも、こんな感じのいい夫婦、結構いるのでは?とも。今のこの時代だからこそ、共感を生むのでは、という気もしております。

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