夫の鈍感さと繊細さに、祝ホワイトデーを添えて。
夫は鈍感な人に憧れている。
理由は、仕事をする上で、鈍感さがプラスに働くのではと考えているから。
苦渋の決断を迫られた時に、なりふり構わず、自分の意志で突き進めるからと話していた。
確かに、一秒一刻を争うときに、周りの意見にとらわれたり、あたふたしていては、失うものも出てくるのかもしれない。
妻からみる夫は、とてもバランスが取れた人間だ。
相手に合わせて会話のペースや話題を変えられる柔軟さとコミュニケーション能力があると思えば、
レンジでチンしたご飯を食べたと思い込んで、置き去りにする意味の分からなさを炸裂する時もある。
「きちんと」もしているし、「うっかり」もしている。
繊細さもあれば、鈍感さもある。
夫のバランス感覚が好きだ。
私が何かに悩んでいるとき、夫はあまり興味を示さない。こちらから、疑問を投げかけると、真っ当な答えが返ってくる。
その真っ当な言葉が、頭の中でグルンと回って、私なりの良い答えが導き出せる。
その結果を夫に報告すると、「いいね。」と言ってくれる。
あたかも、私がその答えに辿り着けることを知っていたかのように、、。
正当なことを言う淡白さと、ほっていてくれる優しさ。私が話したいゾーンに入ると、一緒に語り合ってくれる熱さ。
これらをちょうどよく調合して、夫は成り立っている。
白黒はっきり答えを出そうと思うと、困ることが多い。
「正解」とわかっていても、「今」じゃない、だとか
相手ありきであれば、Aが正しいと思っても、敢えてBを選択することもあるだろう。
模範回答があるようで、ない。
対人関係や人生はそういうもの。
3月14日
夫が長期の出張だったので、遅ばせながら、先週末にお祝いをした。
ホワイトデーとわたしたち夫婦の結婚記念日。
時期的に3月くらいかなと話し合っていたのと、円周率にまつわる話が夫っぽいなと思って、3月14日に入籍した。
円周率は割り切れないから、夫婦も永遠に続くね、という意味合いがあるらしい。
割り切れない、白黒つけない。
そんな曖昧さに、私は居心地の良さを感じる。
今のままでいいよ、と言ってもらえているような気がして。
夫は、今後も繊細になったり鈍感になったりするのだろう。
その度に妻は、夫を観察してププっとして。
つられて夫もプププっとして。ふたりとも笑顔になって。
お互い良いところを伸ばしあって、
時には夫のバランス感覚に頼りながら。
円周率みたいに、気が遠くなるような年月を、共に過ごしていきたいなと、妻は思う。