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男だけどかわいくなりたい。

「最近男も化粧とかする人増えてるよね、ファンデーションとか塗るんでしょ、ちょっとなんか気持ち悪い感じあるよな」
「これ見て、自分の。KATEのリップ。塗ってみるよ。ほら、血色こんなに良くなるんだよ。ナチュラルで、元気いい感じに見えるよね」
「え、本当じゃん」

男友達との会話。




昔から、「かわいいね」と言われることがうれしかった。
お世辞とかそう言うのは知らんけど、お世辞だとしても。


「かっこいいね」は、なんか違う。
私の中の「かっこいい」は私には当てはまっていなくて、私は客観的に見ても「かっこいい」分類ではない。
定義は何よ、って聞かれてもよく分からないから聞かないでほしい。
感覚的な話で。
「かっこいいね!」って言われると、ああ、どうもお世辞をありがとうございます。って心がどっかに旅してしまう。
「かわいいね!」って言われると、「本当ですか?ふふ、ありがとうございます」ってなる。
どっちもお世辞なら、後者のお世辞がうれしい。





自分のことは自分でもよく分からない。

かわいいように思われたいけど、私は男。
身体も男、心も男。
所謂、性自認は男ってやつで、好きになる対象は女性。
男性に性的な魅力を感じたことや好意を抱いたことは今のところ、ない。
だけど、かわいくなりたい。


ドラァグクイーンとか女装をしたいというわけでもない。
だけどかわいいレディースの服は(サイズ的に入るなら)買う。

美白男子を目指したいかと言われるとそうでもない。
幼いころから海でしか遊んでこなかったから、日焼けしていない真っ白な自分の肌は好きじゃないし、
夏はべランダで一人で日焼けしてるくらいなので、美白なんて目指してもいない。
だけど、スキンケアはちゃんとしているし、KATEのリップも常に携帯している。


だから、化粧をしている人を気持ち悪いと思うことは間違っている気がして、堂々と、胸を張って私はその人の前でリップを塗った。





熱が出たりすると 気付くんだ
僕には体があるって事
鼻が詰まったりすると 解るんだ
今まで呼吸をしていた

BUMP OF CHICKEN「supernova」


そんな、BUMP OF CHICKENほど大きな話じゃない。
だけど髪を染めたり、イヤリングを選んでいたりすると、
「自分は、かわいい自分でいたいんだな」という感情に気がつく。

小学校、中学校、高校、大学と、自分自身にとにかく無頓着で
着る服もどうでもいい、髪型だってなんでもいい、ヘアワックスなんてつけたこともない。
それくらいどうでもよかったというのに、初めて自分の髪の色が変わって、自分の知らない自分が生まれたことで「あれ、自分かわいい」という感情が生まれた。
生まれてしまったものは、仕方がない。


前回のnoteでも書いたように、
私はゴム草履を履いている瞬間が、私らしく過ごすことができる時間なのだけど、
「私らしい私の好きな自分でいる時間」

「私の知らない自分に出会って、その自分も好きになっていく時間」
この2つがあることで、私はますますかわいい自分になりたがる気がする。


眉毛サロンに行って、眉毛が綺麗になってる自分も好き。
メンズエステには行きたい。って思ってるけど
調べても性的な風俗的なお店しか出てこない。悲しい。
そういうんじゃないんだけどな。
男でも素直に行けるフェイシャルエステとか、ちゃんと出会うのがこんなに難しいなんて。
ああ、なにもかも、めんどくさいですね。



彼女からは誕生日プレゼントにSABONの泥マスクをもらったり、THREEのスキンケアセットをもらったり。
一緒に買い物をするときは毎回のようにお互いに化粧品コーナーを見ながらああでもないこうでもないと会話をしています。

プレゼントでもらったTHREE。


賛否は置いておいて、よく、
可愛い彼女がほしけりゃ、可愛い彼女を探すんじゃなくて、彼女に「可愛い」って言いまくって自己肯定感上げさせるんだ。
みたいなことを耳にするのだけど、
私たちの場合、完全に逆の現象が起きている気がする。

彼女は私のことをたくさん「かわいい」と口にしてくれる。
だから、私も自分のことをかわいいんだと思い込む。
そしてもっともっと言われたいと欲が生まれる。
なんて恐ろしいサイクル。




男らしさとか、女らしさとかそんなのよく分かんない。
男だけど、仮面ライダーでもウルトラマンでもなくしゅごキャラ見て育ったしな。
髪を染めたいと思ったことすらなかったのに突然緑髪になったりもするし。

ラーメン食べたいな、って思ってラーメン屋で待ってる間に「やっぱりうどんにすりゃよかったな」と思い直すのと同じくらい、自分が思っているより、きっと自分のことは分からない。
だから、男らしさとか、女らしさとか、多分どうでもいい。
自分が何にときめいて、何を欲して、何になりたくなるかなんて、分からないんだからね。



きっと、こんな風に、よく分からないことばかりなんだろう。
決まった答えなんて、定義なんてなくて、LGBTQなんて言葉は存在しない世界のほうが生きやすいんだろうな。って思ったりもする。


いいじゃん、好きに生きさせてよ。

"なりたいように、なればいいじゃん。"

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