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「音楽で世界は救えるんだろうか」って真剣に考えていたハナシ。

「何のために音楽をしてるんだっけ」

ふと疑問に思ったのは、19歳の時だった。
物心がついた頃にはピアノを習い始め、
8歳で「作詞作曲」をはじめ、
中学からバンドを始め、
大学は音楽系の専攻に進んだ。
 
そんな自分は当時バリバリとバンドで
活動をしている時期で、
毎週のようにスタジオに通い、
ライブをして、CDを売って。

それは楽しかったけど、
段々と虚しさを抱えるようになった。

そして、同時期に、とあるフェスに出会う。
それが、「apbank fes」というフェスだった。

Mr.childrenの桜井さんを始め、小林武史さん、
坂本龍一さんらが立ち上げた、
「市民のためのバンク」としての活動である
「apbank」が手がける地球や人に
優しいフェスが、apbank fesだった。

初めは何気なく、
「ミスチル観たいし行こう」なんて思いで
出かけたapbank fesだったけど、
行ってみて驚いたのは、その
コンセプトへの徹底ぶりだった。

例えばapbank fesには、
「お皿を洗うスペース」があって、
ゴミを極力出さない仕組みがある。

今でこそ当たり前のように思えるが、
当時の自分からしたら
そんな一つ一つが新鮮に映った。

出店者さんも、環境に優しいエシカルで
オーガニックなもの、もしくは人身売買や
児童の強制労働などのない生産過程を踏まれた
「フェアトレード」の品物が
ずらっと並んでいたように思う。

当時、「音楽って何に役に立つのだろうか」
という疑問を持っていた私にとっては、
十分な可能性を感じた体験だった。

 

311の被災地での経験。「音楽でもできることがある」


ちょうどapbank fesに行った翌月。
当時311の震災で被災してしまった、
「宮城県石巻市」に行くことになった。

そして、現地で瓦礫撤去のボランティアを
しようと思ったのだけれど、
「あなたは体が小さいし、女の子だから見てて」
とある現場で声をかけられたことがある。
(悪気はなくて、優しさからの言葉だった)

でも、自分は愛知県から遠い石巻の土地まで
はるばるやってきたのだ。

「何もできることがないんだ」とショックを
感じていた時、とある学校の先生に出会った。

先生は「みどりちゃんには音楽があるから、
音楽でできることをやったらいいよ。」
そう言ってくださり、とある被災した方が
営むレストランを教えてくださった。

そして、私はすぐさまバンド仲間、
大学の音楽友達、幼馴染でアカペラを
やっている子たちなどに声をかけて
「音楽のボランティア団体」を作った。

そして、そのレストランに、最初の
「復興コンサート」に出かけた。

それが原体験となって、
私たちの団体は色々な活動を続けた。

復興のコンサートから始まって、
地域活性化のためのコンサート、
老人ホームへの慰労訪問、
そしてカンボジアへのコンサートなど。

「音楽で社会のためにできること何だろう」という
可能性を見つけたくて、様々な分野で活動をしていった。


「変わらないもの」と「変わったもの」の間で


時が流れて2022年。
現在も私の心の中には当時と変わらない、
「音楽の力で社会を良くしたい」
という気持ちが一部、流れている。

だけど、
社会に出て数年の間で、変わった感覚もあった。

社会が変わる」というのは本当にゆっくりじっくりと起こるのだということ。

「社会を変える」よりも、「自分のあり方を変える」方がはるかに早いということ。

社会問題とは複雑に絡み合っているので、分割してみるのでなく、それら全体を「システム」として捉えて見るのが大事だということ。

そして、そのシステムの根幹にある課題を捉えて、アプローチすること。

世界の幸せ=地球の幸せ=自分の幸せが本当は全て繋がっているということ。
 
自分自身と周りの幸せにアプローチすることも、やさしい社会を作っていく上で、大きな社会貢献になるということ。
 

多くの社会を変える「チェンジメーカー」
という人たちとの出会いや、数々の学びの中で
そんな事をどっぷり考えて、学び続けた数年間。
 
音楽というものからは離れてしまっていたけど、
「何のために音楽をするのか」の「WHY」
の部分を知るためには十分なヒントを
培うような時間になったように思う。


「ICHI FES」という形で帰ってきた、情熱

そんな中で、
2021年に生まれたのが「ICHI FES」だ。

このフェスの構想が元々生まれたのは、
お世話になっているコーチと話す中で、
「apbank fesの舞台で桜井さんと歌いたいって
思っていたんじゃないの?」

問われたことがきっかけだった。

それを問われた後に、涙が止まらなくなって。
「口にすることすらできなかった大きすぎる夢だったのだな」と気づくことができた。(コーチにとっても感謝…!)
 
だけど、apbank fesに出るような知名度も実力も残念ながら当時の自分にはなく、そんな中で「出たいフェスを作ってしまおう」と生まれたのが、ICHI FESというフェスだったのだ。
 

なので、apbank fesのような、
「人にも地球にも優しいあり方」と、
「自身の夢や願いを解放して(声に出して)いくこと」
を大切にしている、そんな柔らかくも力強いフェスに
なるといいなと思っている。

ICHI FESの「ICHI」に込めた4つの願い


今年はICHI FESも2年目となるけど、昨年はコロナの影響によって、直前1ヶ月前に「オンライン開催にしよう」という選択をした。
それもとても素晴らしい2日間になったけれど、今年は初めての野外開催を「京丹後」という土地で行うことになった。(遠いけど来てほしい…!)


元々は自分の夢の舞台を実現することが目的だったけれど、2年目となり今年はさらにコンセプトと向き合っていく中で、自分の中でも「なぜフェスをやるのか」の意味や思いがまた違ってきているのを感じる。


やっぱり、「音楽」という抽象的で曖昧で目に見えないものだからこそ、超えられるものや繋げるものや、ひらいていける感覚があるように思う。

世の中には、自分の夢を考えたり、自己啓発したり、自己分析したりするありとあらゆるセミナーや本が溢れているし、それもいいかもしれない。

でも、そんなに堅苦しく、力を入れて自分と向き合うよりも、自然の中に身を置いて、音楽に体を委ねながら、自分に気づいていくような心地よい空間が生まれたら、それはそれで最高なんじゃないかとも思う。

さらには、自分の夢や願いを入り口にして人と繋がったり、そこから派生して自然や地球についてぼんやりとでもかんがえられたら…。

「人は変える」ものではなく、「自然に変わっていく」ものなんだ。そんな当たり前のことに気づいたからこそ、"心地よさ"の中で自然に有機的に起こるアンコントロールな変化を楽しんでいたい。

そんな時間をICHI FESでは作って行けたらいいなと、思う。

〜ICHI FES概要〜
会 場
京丹後森林公園スイス村@京都府
開催日時
2022年11月5日(土)11:00~19:30
チケット
※9/9 20:00より公式HPより販売開始!



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