着物を着るときの心得があるとしたら

ありがたいことに、最近は写真撮影のための着付けを度々させていただいています。

スタジオで着付けとヘアメイクをする時には、前もって下準備をしておくと安心なので、荷物が多めになることも。

着付けをしながらお話しをうかがうと、

「普段も着物を着たいんです」

という方や、

「スーツを新調するとお金がかかるから着物にしました」

といった声をいただいたりします。

また、女性たちの本音が垣間見えることも。
特に多いのは、着物ってお手入れが大変だから、ずっと所有し続けるのは難しいのではないか、と、不安をお持ちの方。

確かに、虫干しを定期的にしているという方は少ないかもしれません。

ご安心くださいね。
着物をお預かりする時、完璧な状態で保存されていた、というケースの方が稀です。
私自身も今でこそ上手に畳めるようになりましたが、そもそも道具一式を覚えること自体が難しいものです。

それでも、冠婚葬祭の節目に気持ちを揃えてご家族で過ごす時間は尊いもの。

細かいしきたりに囚われて身動き出来なくなるよりも、かけがえのない今という時間を楽しまれることが、着物を快適に着るコツです。

ある時、袴姿の男子が着物を脱いだあとに
「昔の人って大変だったんだね～」
と呟きながら、大きくふぅーっと息を吐いていました。

着慣れない着物を着るのはその時は大変かもしれません。けれど、いろんな方向に心が向くので、その動きを大いに楽しんでほしいです。