初夏の香

大きく息を吸い込む。
吸い込んでいるのは息じゃない、緑の香り。

桜が散って街の景色が緑づいてくる頃、若葉の芽吹く匂いがとても好きだ。
季節の始まりの匂いがする。清々しく吸い込んでたっぷり身体に緑の匂いを溜め込みたくなる。多分ある意味光合成。

生き生きとした夏に季節が近づいて行く過程を感じる、涼やかで鮮やかな空気。
気を緩めるとまだ少し肌寒い、でももう心が弾んで、ひと足先に夏支度を始めたくなるような軽やかな空気。もう半袖でいいかぁ、夏気分、風邪は引かないよ多分。と浮かれて少し早足になっている。

もう少ししたら夏が来る。生きている感覚がいちばん研ぎ澄まされる、極彩色の夏。

夏に向かっていく、その時を想像してあれこれ考えを巡らせる、それだけで楽しい、初夏の香

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