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百円のかってえほっせえ焼き芋、いいよね。

 焼き芋。子供の頃はとてつもないご馳走に感じた。何せ作る手間がとんでもない。というか焚き火自体がめんどくさい。

 僕の少年時代、焼き芋を食べるためにはまず近所の農家による焚き火に遭遇する必要があった。遠目に橙の輝きを発見すると、大急ぎでさつまいもとアルミホイルを両手いっぱいに抱えて走り

「おじさん、これ焼いてよ!」

 とおねだりせねばならなかったのだ。燻るわらを見つめてようやく辿り着いた焼き芋は、たとえ焦げてしまったとしても他に代え難いごちそうであった。

 それが今では年がら年中コンビニで買えてしまう。なぜか夏でも買えてしまう。走りはどこだったか。今は亡きサークルKだっただろうか。

 レジの横にでんと構えた焼き芋機。魅力的な香りは伝わってくるがそれでも買う人はあまりおらず、やはり寒くなったらこれだよと皆肉まんを頬張っていた。値段が高かった記憶もある。ちょっと手が出しづらかった。

 しかし今では百円均一のローソンに焼き芋が登場してしまった。百円。やすい。そしてこれが実に丁度良いのだ。なんと言っても芋の細さがいい。百円だもの、細くなる。

しかし僕のようなおじさんにとって屋台でやってくるような立派な焼き芋はちょいと重い。安納芋のようなねっとりした甘さもちょいと重い。そしてお値段もちょいと重い。

 そこをいくとこの細い焼き芋はサイズもいいし、甘さも程よく「安い」感じだ。カリッと焦げた固い皮がまたアクセントとなって素晴らしい。

 おじさん向けの固くて細い焼き芋。実はニーズがあると思うのは僕だけなのだろうか。

あなたのそのご好意が私の松屋の豚汁代になります。どうか清き豚汁をお願いいたします。