#05 スキー用具は購入すべきか、レンタルの方が良いか①
前回の「スキーレッスン」の中で、用具のレンタルについて少し触れましたので、今回は用具は購入すべきか、それともレンタルの方が良いかについて、もう少し詳しく書きます。
結論から申し上げますと、年に数日しかスキーを滑らない人のほとんどはレンタルの方が便利だと思います。これを言ってしまうとスキーメーカーやショップの方に怒られてしまうかもしれませんが。
ただ、皆さまの中にはレンタルに対して「カッコ悪い」とか「質が悪い」と思われている方もいらっしゃると思いますし、購入して所有した方が良い属性の人もいらっしゃると思いますので、双方のメリット・デメリットについても書かせていただきます。
1.日本人のモノの所有に対するこだわり
スキーに限らず、日本人は他の国の人たちに比べると以下のような傾向が強いと思います。
・モノを所有すること、もしくは新品を購入することが好き
・中古やレンタルなど、他人の使用したモノを使用することに抵抗がある
そのような国民性からなのか、もしくはバブル経済で日本中が沸き立っていた頃に起こったスキーブームの余韻なのか、日本では長年、たとえ年に数回しかスキーに行かない人でも、スキー用具は新品を購入して所有することが一般的だったように思えます。少なくともヨーロッパや北米よりは割合的に多いように見受けられます。
それに比べ西洋人は、日本人より合理的に損得で判断する人が多い(少なくとも神道の「モノには神が宿る」を信じている人はほぼいないはず)からなのか、スキーは年に1度の一週間程度のスキーホリデーでしか滑らない層の人は、そのために新品のスキーを購入する人は少ないようです。
そして近年、「シェアリングエコノミー」普及の影響で、日本でも若い人たちを中心に「所有」から「シェア」にシフトしてきていると思います。特に以前から存在していたスキーや自転車のレンタルのようなサービスに対して、以前よりも抵抗がなく利用する人が増えているのではないでしょうか。
2.レンタルは「スキーを持ってない人が利用するサービス」というイメージ?
ただ、今スキー場を利用している多数派である40代50代の人たちは、まだスキーブームの余韻が残っていたころのイメージ「自分の所有する最新のスキーやウェアーで滑ることがカッコいい」や「レンタルはスキーを持ってない人が利用するサービスで、用具は質が悪くて古い」を払拭出来ずにいるのではないでしょうか。
もし今でもそう思われているのであれば、最近の有名スキーリゾートのレンタル用具のラインナップを見たら、さぞ驚かれることでしょう。
この劇的な品質向上の理由の一つは、海外のお客様が増えたことです。
前述のように海外のお客様の多くは、年に1度のスキーホリデーの時にしか滑らないので、1年で数日しか使用しない用具を購入することはほぼなく、レンタルの利用が一般的です。
ただしレンタル用具だからと言って、いかにも初心者用の、最初から「RENTAL」と板の表面にプリントされているような安っぽいスキーで満足する訳もありません。年齢や滑走技術に関係なくちゃんとチューンナップされた最新の上位機種を求めてきます。
また、日本人のお客様でも同様の考えの方が増えています。しかも日本人の上級者は海外客よりも目が肥えているので、レンタルコーナーで借りられるスキーがどのメーカーのどのグレードの機種かをちゃんと事前に調査してから借りにくる方もいらっしゃいます。
当然、上位機種はスタンダードグレードよりも高い料金設定ですが、
特定の機種じゃなきゃ嫌だとか特別なチューニングを施されていないと嫌だという余程のこだわりがない限り、十分満足できるラインナップです。
とは言いましても、日本のどのリゾートも最新の上位機種をそろえているわけではありません。ニセコや白馬のような有名リゾートであれば心配ありませんが、あまり有名ではないリゾートは、昔ながらの古くて安い用具しかない昭和のレンタルかもしれません。
もし気になるのでしたら、滞在先のレンタルのラインナップを事前に調べておいた方が良いかもしれませんし、お目当ての機種があっても在庫が少ないようであれば、事前予約をしておいた方が確実かもしれません。
3.レンタルよりも購入した方が良い人
これだけ「最近のレンタルはすばらしい」と言っておきながら申し訳ないのですが、わたくし自身はレンタルではなく自分の用具を使用しています。
これは、わたしは毎週末、家から10分のスキー場に車で滑りに行く大人ですので、毎回レンタルするより所有している方のメリットが大きいからです。
①毎週末 =シーズン中に20回以上を毎年
②家から =家にスキーを保管する場所がある
③車で =車で簡単にスキーを持ち運べる
④大人 =身体が成長しないので、体形が変わらない限りずっと使える
逆を言えば、わたしのような条件に当てはまらない人は、
レンタルの方がメリットのあるように思われる人たちだと思います。
ただ、たとえレンタルの方がメリットのあるように思われる人であっても、それでも自分の好みにチューンされた自分の用具を使用したいという方は、特に上級者に多いと思われますが、ご自分のお気に入りの機材を購入された方が良いと思います。
4.購入よりもレンタルした方が良い人
レンタルした方がメリットのある人は、さきほどの購入した方が良い人の条件の逆の条件を多く満たす人ではないでしょうか。以下に列挙します。
①毎週末ではなく、年に数回
→シーズンに何十日も滑ることを毎年している人は、
購入して数年使用した方が経済的だが、
逆にシーズンに数日であれば、毎回レンタルの方が経済的である。
②滑りに行く際はたいてい宿泊する。家から直接滑りには行けない
→家にスキーを保管する風通しの良い場所(湿った部屋だとサビる)が
ない場合、購入することは手間になる。
③スキーリゾートへは車ではなく公共交通機関を利用
→スキーリゾートへの移動はいつも飛行機や公共交通機関で行く場合、
専用バッグやケースを用意して、梱包して、宅急便で送る手間や、
公共交通に用具持参で乗る不便さがある。
④成長期の子供も一緒に行く
→毎年サイズが大きくなるので、購入すると下手をすると
毎年買い替える羽目になる。
逆にレンタルであれば、毎年ジャストサイズの用具を選べる。
そしていつもは自分の所有している用具で滑っている人でも、レンタルの方が便利な場合もあります。以下は私が過去にレンタルしたケースです。
ケース1.自分の用具を持っていく手間に見合わないほど滑走時間が短い
東京に数日間滞在した後、新潟のスキー場で半日だけ滑る機会がありました。全行程をスキー用具と共に移動する気にはなれず、半日滑るためだけに宅急便で送るのも不経済だと思いました。
ケース2.海外に滑りに行く
飛行機を何度も乗り継ぐような移動を繰り返すような旅に、重くて嵩張るスキー用具を持参する気にはなれず、また、以前別の国でロストラゲージに遭ったこともありました。
ケース3.持参したスキーがその日のコンディションに合わなかった
これはプロのようなシビアなことを言っているのではなく、大雪の後で皆がパウダー(深雪)を楽しんでいる日に、間違えて整地用スキーを持参してしまうという大失敗をしましたからです。
5.レンタルのメリットとデメリット
このトピックの冒頭で「年に数日しかスキーを滑らない人のほとんどはレンタルの方が便利だ」という結論を申し上げましたので、
このトピックの締めとして、レンタルのメリットとデメリットを改めて
以下のように整理してみます。
メリット
・用具は新しく、同程度の用具を数年で買い替え続けるより安価である。
・家に用具の保管場所が不要である。
・家からリゾートまで用具を持ち運ばなくてもよい。
・毎年サイズが変わる子供でも、常にジャストサイズを借りられる。
デメリット
・レンタルした用具よりも自分の用具の方が身体に合う場合が一般的。
・自分の好みの機種がレンタルのラインナップにない場合がある。
・スキーに不慣れな家族の場合、レンタルをする場所がホテル内やスキー場
ではない場合、ショップまで行き来する必要がある。ニセコや白馬などの
大きなリゾートではスキービレッジ(スキー場の山麓に小さな街)が形成
されている。レンタルショップがホテルやスキー場から離れた場所にある
場合も多く、離れたショップで借りる場合、借りるためや返却のために
重い用具を全部かかえてホテルとショップを行き来する必要がある。
つまり、レンタルの方が良いと思われる方の条件は:
・用具にお金をかけたくないが、できるだけ最新の用具を使用したい
・家に、家族全員分の用具を保管するようなスペースはない
・リゾートまでは楽に移動したい
・子供も一緒に行く
もちろん、購入して持参することの不便を理解していても、それでも自分の用具を使用したいという方は、購入された方が満足できると思います。
ただ、
空港で巨大なスキーケースと荷物を不便そうに運んでいる人を見たり、
スキー場にあるバスターミナルで、夜遅い時間に悪天候の中、少し離れたホテルまで大きなスキーケースとスーツケースを引きずって移動している家族連れを見たり、
ゲレンデで思わず「懐かしい!」を声を出してしまいそうな年代物のスキーやウェアを見たりする度に、
もしその人たちに、ご自身の用具を所有することに対してのこだわりが
特別にないのであれば、
「そんなに苦労して自分の用具をわざわざ家から持ってくるのであれば、
素直に現地で最新の用具をレンタルした方が快適なのに。」
と思わずにはいられません。
本当に余計なお世話なのかもしれませんが。
今回も長い話になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回のトピックは、目的に合ったスキー場の選び方「有名スキー場じゃないと楽しいホリデーにならないのか」です。
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