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AI生成画像で手描き絵に追いついていない(と思われる)表現とは

AI生成画像でまだ足りなそうな表現について、私のプアーな知見によるnoteで以前触れた。

主に表現関連の趣旨は以下。

  • AIは類型的表情から外れた個性的な表情の描画が苦手なのではないか(基礎学習データセットに個性的表現がほぼないのではないか)

  • AIで0.1mm単位の違いで変化する表情の微細な変更を、狙ったパーツ決め打ちで狙い通りにできるか

  • 生成AIツールの中の人の美的基準の範囲を超えた自己の譲れない美意識を個々のユーザーが表現できるのか

疑問形で書いたが、自分の認識としては現時点でのAI画では以上の点は満たせてないと感じたということである。

すると似た見識の方が他にもいた。
こちらの方はプロフェッショナルなのでより核心を突いていると思われる。

・感情や見せたいポイントが伝わってこない

正直、見た瞬間、「このキャラのここに萌える!」っていうのが伝わってくるのが少ない。

例えば、「好きという感情を必死に押し殺している顔」だったりとか、「こういう仕草をされるとぐっとくるよね」っていうポーズやカメラアングルだったりとか。

それを補強するための

・口の開き方
・視線
・吐息などのエフェクト
・指先の細かい仕草

などなど。  
そういったところにもきちんとメッセージを織り込まれているのがプロが作った絵であり、AIイラストはそこに到達している作品が少ない。

将来的に商業作品から手書きイラストレーターは消えるのか?

わかりみが深すぎる。
私は美少女絵に萌えるタイプではないので上記の指摘と同一ではないかもしれないが、冒頭の私のnoteで言うところの

  • 類型的表情から外れた個性的な表情

  • 0.1mm単位の違いで変化する表情の微細な変更を、狙ったパーツ決め打ち

  • 自己の譲れない美意識

と同様の点を指摘していると思う。

「好きという感情を必死に押し殺している顔」

こういうのが冒頭のnoteで指摘した「ナマの感情の迸る表情」「類型的な表情から外した表情」である。
こういう微妙な表情は0.1mm単位で「口の開き方」「視線」を微調整したいし、眉などの他のパーツもそれは同じである。

それと私はあんまりエフェクト使わないけど、「指先の細かい仕草」は大事である。
なんなら指先に限らない。
手の表情は顔の表情に匹敵することもあるので仇や疎かには描かない。
また手の表情の描くにはある程度手の構造を頭に入れてないと描き分けができない。

「手は苦手だけど資料見て描けばいいや」程度の認識だと、手の表情を豊かに描くことは難しい。
まず目的の手の表情に合致した資料探しに苦労する。
また想定するイメージが薄く資料探してるうちに雲散霧消する(雲散霧消しないくらいにはっきりしていたら拙くてもまず描いてしまうはず)

手に限らないが表情の豊かさというものに本当に気づいていたら、ネットに溢れるポーズや表情の資料に「形をなぞっただけの棒演技がかなり混じってる」ことにも気がつけるはずである。
(気がつかない場合はまだ本当に自分にとって真に迫る作品に出会えてなく真贋を見分ける観察眼が育ってない可能性がある)

仮に初級絵師が憧れの神絵師のイラストを模写したとして、形だけなぞっても「らしく」再現することはできないだろう。
そこには元絵の神絵師が絵に込めた「らしさを演出する『細やかな演技力』や『人間の感情への洞察力』から生まれた【微妙かつ精妙な味付け】」があるからである。
そして模写する側にそれを識別する観察眼が育ってないからである。

言うまでもなく人間が「迫真を感じる」序列は

リアル事象>>>真贋が見分けられ、且つ表現できる創作者の創作物>>>>>>真贋見分けられるが表現できない発展途上創作者>>>>>>(越えられない壁)>>>>>真贋見分けられない自称創作者の創作もどき

である。
(稀に先頭と次が入れ替わる場合もある)
真贋見分けられない自称創作者は、真贋見分けられないだけに贋の創作もどきも創作物と勘違いする。
しかも絶対数はもどきの方が断然多い。
すると「この程度のものなら俺にも私にも作れる」とどんどんもどきが参入する。
またもどきは(既存のもどきの絶対数が断然多いので)「多数決でこれが流行りで正しい」と思いがちだ。

それ自体は悪いことではない。
初めはもどきから始まって、だんだん目が肥えて来る。
すると本物の創作者とまだもどきでしかない自分とのギャップに気がつく(人も現れる)。
そして、そのギャップに苦しみ始める(人も現れる)。
(そういう人は)苦しんだ末に、真に創作したいものとは何であるかを模索し、自覚していく。
そういった過程を経て、創作もどきから真の創作者に脱皮してゆく。

ただ、この過程に落とし穴があって、人間は他人より劣る自己の姿から目をそらすことによって、自己認識を欺くという方向に流れやすい。
自分が未だもどきである、と言う事実を受け入れることができず、自分を真の創作者と思い込もうとするのである。
この落とし穴にはまって頭打ちになる人は、実はかなり多い。

…のだがこの手の話は長くなるので今回はここで切り上げることにする。

今回の結論は

  • AI生成画像が手描き絵師の絵に追いついてない箇所があること

  • そこに気がつくには観察眼が必要なこと

  • 観察眼がないと自己欺瞞で「自分の実力を積極的に勘違いしようとする」という落とし穴があること

である。

ほならね。

いつも髪の毛描くのが病的に楽しいマン

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