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もうひとつAIイラストへの疑問

最近の記事を書くのにかなり下調べしたり、関連noteが AIイラスト関連ばかりになったりでたくさんのAIイラストを目にする機会が増えた。
そこでひとつ疑問が湧いた。

AI絵って、どうやって細かい表情描き分ければいいんだろう?

なぜかというと、おそらくAI絵の学習元の昨今の美麗神絵師イラストや、流行りの追随するイラストって、おしなべてとても上品でお人形さんみたいな整った表情なので。

整った表情って美しいよね。
でもちょっと画一的に見えるんだな私には。
完璧すぎるから崩れる箇所が一個もないというのかなあ。
悪い言い方をするととっつきが悪いというか。

AI美少女や神絵師の美少女って極端な例えすると、からくりサーカスで言ったら鳴海兄ちゃん好きになる前のしろがねみたいな感じ?
綺麗だけど近寄り難いって感じ。
ちょっと違うか。
いい例えが今すぐ出て来んわ…。

ええと、千利休は割れた茶釜を直させて愛用したそう。
そういう感じかな。
ちなみに私はフラワーアレンジメントより投げ入れの方が断然好きなのでそういう感じかも。
この辺の例えも微妙だ…。
つかますます人に伝わりづらい気がする…。

AI絵に話を戻すと、完璧な美少女イラストで基礎学習したAI絵もやっぱり整ってるけど画一的にならざるを得ないと思うのね。
大体AIで出力するなら出来るだけ美麗なハイクオリティの、いわゆるマスターピース顔っての?
今はその呼称は廃れたみたいだけど、狙ってるレベルは結局その辺だよね。

で、AIはナマのコピペではないにしても画像データを数値化(ベクトルデータ化)して類似データを串刺し演算で集めて画像に復号して出力してるわけでしょ?
(私の理解としてはこうなんだけど、間違ってたらご指摘お願いします)
てことは言うなれば最大公約数的な演算結果を吐き出すわけでしょ。
最大公約数的だとおそらく整った黄金比率に結局集約されていくと思うのよ。
顔の造作にしても、その黄金比率の顔で作った表情にしても。
(AI生成の中身のホントのところはわかんないから推測でしかないけど)

何が言いたいのかというと、「ナマの感情の迸る表情描きたかったら、AIではどうしたらいいのか」って話。
かわいらしいお人形さんみたいな神絵師の描く美少女でも、手書きならその気になれば極端な(顔の造作が黄金比から外した)強い表情も描けると思う(あんまり美少女絵ではやらないと思うけど)

けど、AI絵の「類似性あるデータを串刺し演算する」性質(と現時点では私は解釈してる)からすると、極端に外したものを表現できるのかな?と不思議に思う。

いや、煽ってるわけじゃなくて純粋な疑問。

なんでそんなことにこだわるのかというと、私自身が類型的な表情から外した表情を描きたいタイプだからである。
綺麗なマネキン人形じゃなくて、ナマの感情を描きたいわけ。
そうすると表情の試行錯誤で片目をほんの0.2mmだけ眇めてみるとか、そういった微調整をしたりするわけ。
口元のニヤリ感もどのくらいニヤリ度を上げるか、下げるか、0.1mm単位の微調整をするのね。
眉とかもほんの少しの加減で全然違う表情になるから、すごく気をつけてぴったりくるように微調整する。
あとちょっと、ほんのちょっと目力強めたい、とかもよくあるのね。

で、それをAIで実現できるのかなあ、と疑問に思ってるわけ。
0.1mm単位の微細な表情の違いを狙った顔のパーツごとにプロンプト指定できるんだろうか。
手で直接描いた方が早くないかなそれ。
AIイラスト美少女ってみんな整ったかわいらしいお人形さん顔しか見たことないからそこんとこ可能なのかどうかが判断する材料もないのよ。

やっぱり見たところAI絵は黄金比率内のガチャっぽいのでそういったイレギュラー要素を望むのは難しそうだなーとハタで見てて思う。
微妙な型枠に嵌まらない表情が出てくるのかどうかも定かではなく、何度も生成続けたとしても当たりが出るのかどうかもわからない。

でも学習元データセットがそもそも美麗イラストだから、ちょっと黄金比を外したデータ自体がなさそうに思う。
デッサン崩れとかじゃなくてほんの少し誇張することでリアルな感情を鑑賞者に感じさせるような表情のイラストって絶対数少なそうでサンプリングとしては足りないんではないかと。

そんなわけで微細な表情の指定ができないならAI生成はやっぱり私の描きたい絵の守備範囲から外れるなあ、と思う。

あともうひとつ疑問あったんだった。

生成AIにプロンプト指定するってことはプロンプトをデータセットのデータそれぞれと紐付けしてるわけでしょ。
紐付けしてるのはその生成AIプログラムの中の人でしょ。
そしたら結局、データセットの中のデータの評価基準って、中の人の美意識というか主観ひとつに全面的に委ねることにならない?
それで自分の美意識に完全に沿った絵を作成できるものなのだろうか。
中の人による主観的な価値基準バイアスのかかったプロンプトを含むデータセットってことにならないだろうか。

美意識って好みってことで人それぞれだから、もしそうならマスターピース決めるのも何もかもの価値基準をAIプログラムの中の人の主観、ある意味偏見が標準化されてることにならないんだろうか。
中の人と好みが完全一致なら問題ないけど、人の好みってホントバラバラじゃない?
で、価値基準を見知らぬ他人に委ねられるものなんだろうか、と不思議に思うのだ。
まあ、中の人も多人数なんだろうけど。

逆に言うと、AI生成画はみんながシステムの中の人の主観で定義された、一律にレベル高い美少女を生成できる。
けどそこから一歩踏み出してAI生成師として「個性を閲覧者に見出してもらい名前も覚えてもらう」ことは生成画を見てもらうだけでは難しいのでは?と思うという話。
多少の好みによる絵柄の差はあっても、中の人によって定められた基準内の最大公約数によるで描写するわけだから、個性っていうより「世の中の人間の全員の顔の平均取ったら美人になった」みたいなものなのかなあと思うわけ。

そういや試しにBing copilotで AI生成画ってのがどんなもんかちょっとだけ試してはみたのよ。
そしたら「少年漫画」ってプロンプト入れたら7〜8割に悟空が出て来たのよ。
それ、かなり不味いんじゃなかろうか。

他の生成でも炭治郎のそっくりさんが出た。
これもヤバいのでは、と思った。
そりゃ額の痣とか微妙に違う形に生成してたけど、でもどう見ても炭治郎だよね。
格子縞の着物を羽織ってもいなかったけど、顔は間違いなく炭治郎だった。
学ランドヤ顔男の子を指定しても4枚中1枚は炭治郎だった。

少年漫画というプロンプトでかなりの頻度で悟空や炭治郎が出るのはどうなんだろうという気がしないでもない。

となるとAI生成システムの学習したデータセット及び紐付けたプロンプトにえらい偏りを感じるんだけど、気のせいだろうか。

そんなわけで、誰かの何かに似た絵を描きたいわけじゃない私にとってはAI絵の使いどころが思いつかない。
少なくとも私のやりたいお絵描き用途にはやっぱり向いてないらしい、という結論に至った。
まあ、手で線引くのが好きで描いてるからそもそもAI生成でお絵描きの楽しみ自体がなくなっちゃったら本末転倒としか言いようがないんだけどねって話。

相変わらず下書きなしで10分絵

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