「ラノベに描写力はいらない」!?

みたいなタイトルをnoteのタイトルで見かけて「はぃ?」ってなって読んでみた。

釣りタイトルかと思ったらマジでそう書いてたので、「意味がわからないよ…」と思いながら読み進めた。
どうやら書き手はラノベ編集者であるらしい。
なんでや!オタク総本山一角のラノベ界をよく知る人物が何言っとんのや…。
と途方に暮れながら読み進めた。

ん、んん???
あああーわかったよ。
このラノベ編集者の言う「描写力」って「地の文の風景描写」のことか!
「地の文の風景描写」= 「描写力」っておかしくないかい?
「地の文の風景描写⊂描写力」だよね。
描写の中の一つに風景描写があるんだよね。
描写っつったら「人物描写」もあるやろがい。

ちなみに私はほんの少しの例外を除いて所謂ラノベレーベルを読んだことがない。
たまたま本屋で手に取ったラノベをパラリと開くと、口語会話文しかなくて「!?」となって閉じてしまったことがあるからだ。

そもそも私は地の文の美しさも堪能したい派である。
なので、漫画をそのまま文章化したようなカジュアル口語会話文がほとんどだと文章の美しさを楽しむことができないのがまず明白だからである。
(美しい文と言っても華麗で豪奢な美文という意味ではない。シンプルでも美しい文が好きである)

あともうひとつ理由がある。
(ちゃんと読んでないので確かなことは言えないが) 漫画をそのまま文章化したようなカジュアル口語会話文体には「脳内イメージ」が乗っていないと感じたからだ。

さらにもうひとつ付け加えるなら一人称〜一人称寄り三人称で書かれた小説の場合、語り手の心理状態で目に映る景色や風景を心理描写と上手く連動させることができる。
これにどういう意味があるかというと、心理描写を鮮やかに彩ることができるということである。
その場合、心理描写と風景描写の二重写しの美しさの表現が自然になされるということである。
それらが上手く噛み合った時の色彩鮮やかで光や陰の濃い描写は、私の文章読みとしての最大の楽しみのひとつである。
(宮沢賢治を思い浮かべてもらえばわかってもらえるだろうか)

なので、むしろ自分の認識としては風景描写と心理描写は不可分であった。
であるから風景描写をしないという書き方の勧めというものが信じがたかった。
それで冒頭のラノベ編集者のnoteの表題と内容に大変驚愕したのである。

別な言い方をするとみんな、風景と心理の描写完全に別々にしてるの!?という驚きである。
一緒に描写した方が断然美しいし印象深く読者に入ってくるのにねえ。
やらない方が損だと思うけど…。
(やらないメリットが私には思いつかない)

多分一人称寄り三人称の小説って多いと思うので、有効な書き方だと思うけど、みんな違うの?
不思議だわ。


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