「有限世界のアインソフ」3巻読んだ!ので感想をば。
ええと、昨今のあれこれでなかなかnoteを書けなかったのです。
さすがに精神的にキてしまったので…。
古い下書きも温めたまんままだ置いてある…。
んだけど、そんな中先日「有限世界のアインソフ」3巻が発売されました。
以前ものすごくエラソーな「誰目線か!?」と問われそうなくらいのウエメセで1、2巻のレビュー書いたんですよね。
しかもいつもの下書きなしの一発描きで荒くたいアインちゃんの絵も添えて。
作者の日髙十三男先生が非常に心の広い先生でアインちゃんのように優しく見逃してくれただけでなくコメントまでいただいて、恐縮したものです。
その節は大変失礼しました。
あ、実は初めて先生の名前表記した…。
こ、これには個人的に深い事情が…ッ!
私が就職したてのペーペーの頃の…ちょっと………な一番偉い上司の名前に……ちょびっと似てたので……ッ!
思い出しちゃうんだようーッ!
(全然先生のせいじゃないやんけ)
……はあはあ。
ちょっと心臓バクバクしちゃったわ。
落ち着けどうどう。(自分に言い聞かせる)
なんか前フリ長くなっちゃったけど、前回すげーウエメセで書いたレビューですけど、ワタシ的にはこの作品イイトコ突いてるなー!とツボだったものですから、3巻楽しみにしてました。
だって2巻、いいとこで終わっちゃってたので!
なので3巻レビューいきます!
3巻読めたのでやっと日髙先生の最新noteも読めました。↓
(ネタバレ避けるため読むの我慢してた)
ええと、私2巻〜3巻のアゼリア謀略記が好きなんですね。
尺が長いからちょっと込み入った、例えるとイスラエルパレスチナのガザ地区問題みたいな?
エンタメ的には扱いづらいネタに初連載で手をつけるのはなかなかないのではないかと思います。
そもそも日髙十三男先生は前回のレビューでも書いた通り『描きたいことがはっきりある』方だと感じます。
いや、描きたいことのない漫画家なんていねーよ、って突っ込まれそうだけど『描きたいこと』の深さってのがありまして。
え、これ新人か!?
って深さを見据えているのは明らかだったので。
ただ、逆にそれが枷になっている部分も残念ながらあるかもしれません。
というのは私がアゼリア謀略記がいいぞって相方に言ってたら、相方曰く
「え、よくそこまで理解できたね。私、難しくてそこまでわからんかった」
と。
あー。あー…そうね、そういうところもあるかもしれない…。
私もそういや2巻でアゼリア読み始めた時、最初は割と軽くエンタメ読み体勢で読み進もうとした。
…んだけど、あれ、これ凝ってるな。難しい設定というか難しい問題取り扱ってるな、そしてものすごーく言いたいことがある、のを感じるぞ。
と思ったので、居住まい正してもっぺんアゼリアを最初から丹念に読み始めたのだった。そういえば。
…なので、気合い入れて読むぞ!って思わないとついてくの難しいのかもしれない。
そもそも複雑な問題を孕んだ内容なので、完全なるエンタメ目的だと入り込みづらいってのはあると思う。
ちなみに私は今までダメ脳内補正で自分の実力を勘違いしてる人の描いた絵から、その人のパーソナリティや感情読むことは割と頻繁にあるんだけどね。
↓過去noteでも書いてるけど。
↓これも絵から相手の内面読む話だけど超過激辛口
でも逆に日髙先生のように既存作家の影響強しという時期に「拙いけどこれが、これが描きたいの…ッ!」て感触を感じたのはほぼほぼ初めてと言っていいですね。
絵では間違いなく既存作家そのまんまとも言えそうだし話も複数の既存作家(のうち1人の作品のもしかすると原作も?)から得たインスピレーションも含まれているように見える。
けど、その先に「もっと言いたい自分の言葉(文字とは限らない)」があるんだな、その先を伝えたいのだな。
というのが感じられる。
これはね、珍しいです。
ああ、デビュー当初の吉本ばななが比較的そんな感じだったかもしれない。(うろ覚え)
日髙先生は非常に理知的な方とお見受けするので、お話世界も理知的に作り込んでおられるようです。
単行本各巻のこぼれ話などが最たるものですね。
ただ、(またエラソーなウエメセになりますが)読者にそこまでの世界の知識を持った上で読んでほしい気持ちもわかるけど、細かい世界設定を端から端まで説明されなくても読者が読み進められるのが漫画としては一番ベストかなとは思います。
そんで設定の細かいところがさりげなく背景やストーリーに折り込んであればなおよし。ですね。
後から読み直した時に「んっこれはもしかしてこういうことだったのか!」って新たに発見できる楽しみになったりしますし。
切れ切れの情報から読者が想像力駆使して掘り当てる楽しみが減っちゃうとも言えるので。
あとストーリーを追いたい時に文字情報過多だと読者のキャパオーバーになっちゃいかねないので。
あ、あと、3巻のカラー口絵のひとつが、前回のレビューで指摘した「グリザイユ なら映えた可能性の高いトーン統一画」でしたね…。
線画区切りのぬりえ方式だと映えさせるの難しい奴…。
描きたい意図は伝わってくるけど、技法に向き不向きがあるのよね…。
淡いトーンの睫毛の処理は特に難しい…。
…ってウエメセ感想ばっか続いてますけど、「吸血鬼と資本論」もよかったですね。
悪い人がいないほっこりイイ話なのに、人間の業をひらりと折り込んであるところが。
あと創作や書物に対するスタンスがよくわかる。
あとですねー…。
3巻に限らず全編通しての話なんですけど…。
日髙先生の描く動物やばいかわいくないです?
特にコリンちゃんのモフモフ耳とかひげ袋とかアライグマちゃんのお手手とかえらいツボなんですけど。
わんちゃんは「動物のお医者さん」を思い出しました。おれはやるぜおれはやるぜ。
ううーコリンちゃんの耳。はむっとしたい…ハアハア。ユーゴくんになりたい…。
あと、クロちゃん!クロちゃんや!
あなたツンデレなのはわかってるけど、わかってるけど、あんまり腐女子の心掻き乱さないでくれる!?
いきなり不意打ち喰らわせられるのよ!
ピギャー!
ああびっくりした。
やるわね、クロちゃん…。あたし負けなくてよ(誰も勝負してない)
…というわけで「有限世界のアインソフ」、もちろん新人さんなので手の届かないところもあるにせよ、「伝えたいことがはっきりとある」というところがワタシ的には一番の買いでした。
あの人にこんな言葉を伝えたい、この人にはこう声をかけてあげたい、…言葉の持つ力に力点のある作家さんと思います。
多彩な表情も比較的描けているので、多分人の心の機微へのアンテナが高いのだと思います。
打ち切りという形になってしまったのは残念ですが、またいつかアインちゃんたちに会えたらなと思っています。
日髙十三男先生、次回作も楽しみにしてます。
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