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「頼むから死なせてください」という言葉

「頼むから死なせてください」

昼食でご飯を食べている時、ふと聞こえた言葉でした。
話をしていたのは70代くらいの2人組の女性。

私の母方の祖母も同じことを言っていたのを思い出した

祖母は10年ほど前に亡くなりました。20年位、祖母が70歳になるのを境に認知症を発症しました。

日々、出来ないことが増えていき、家では暮らせず、グループホーム、そして最終的には特別養護老人ホームに入所しました。

グループホームに入っていた時のことです。顔を見せに行った後、祖母は「頼むから家に帰らせてくれ」と泣きながら母に頼んでいました。そして「頼むから死なせてくれ」と言うようになりました。

そのころの私は小学生。泣いている祖母を見て、怖いような、悲しいような、複雑な気持ちになったのを覚えています。

少しずつ祖母の記憶が消えていきました。私には弟が2人います。次男の方を忘れていき、「どなた?」と言われて、弟はショックを受けていました。
長男の方は次男と存在がごっちゃになり、長男の名前で呼びかけることもあれば、次男の名前で呼びかけることもありました。

当時の母は私達の子育てに、仕事に大変そうでした。母は1人っ子でした。親戚も東京の方にいたため、実際の介護を出来る人はいませんでした。

今、振り返っても介護施設に入所させるという母の選択、間違ったことをしたとは思いません。

それでも思い出す祖母の言葉と涙

大正生まれだった祖母。
どんな人生だったのか。
どこで祖父と出会ったのか。
母を産んだ時、何を思ったのか。
母を育てていて、楽しいこと、悲しいことはあったのか。
初孫(私)が生まれた時、どんな思いだったのか。

祖母の人生で何が起こったのか。
どんな思いがあったのか。

祖母は相当の頑固者だったそうです。そんな祖母と唯一、言い争いをして打ち負かしたことがあるのが私です。実際に、そのことを祖母に聞いたことはありません。

母に聞くと、5歳の私が祖母と言い争っている動画が実家のどこかにあるみたいです。その動画見たいな~と思うようになりました。

私自身、両親へ何をしてあげられるか。まだそういう年齢ではないけど、家の物を整理したり、土地関係のことを整理し始めているらしいです。そして曾祖父以前のご先祖様達の家系図も少しずつ調べているらしい。

私自身、年齢的にも状況的にもダブルケアとなる確率が高そう。ダブルケアという状態になったら、両親がどんな思いなのか、そう言ったことをゆっくりと聞ける時間は無いと思います。

今は確かにまだ元気だけど。いつ、何が起きるかは分かりません。まずは両親の話、何を思っているのか、何を考えているのか、少しずつ聞いていきたいなと思いました。


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