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精神障がい者家族の会に参加

精神障がい者家族の会に参加してきました。今回、参加した会は家族の方々はもちろん、当事者、支援者の方が参加されていました。

オープンダイアローグ形式で参加者の皆さんは思い思いにご自身の悩みや気持ちを話しました。その中で共通して上がった話題がありました。

「親がいなくなった後のことを考えるととても不安」

参加されていた家族の方は70~80代で、その子どもはだいたい40~50代とのことでした。70歳を超えてくると体力も落ちてきて、病気にもなりやすくなっていきます。40~50代の子どもの世話をしながらも、自身も病気や高齢になっていくことで介護が必要となってくるため、様々な葛藤を感じるとお話されていました。

その時【8050問題】という言葉が頭をよぎりました。

そして親は高齢になり、自分の病気の治療や介護が必要な状態にも関わらず、精神疾患を持つ子どもの世話もしなければならないという状態、つまり自分のケアと子どものケアが同時進行している状態とも言えます。

ダブルケアとは複数のケアが同時進行している状態です。つまり8050問題もダブルケアの1つです。

8050問題とは?

もともと8050問題とは、引きこもりの子どもがそのまま大人になっても親の援助を受けているうちに、親が高齢になって様々な問題が発生することを指します。

どんな問題があるか、少し説明していきたいと思います。

8050問題の問題点・その1〈経済的な負担〉

精神疾患を持つ人は症状や人間関係などが原因で、仕事や収入が安定しないことがあります。

障害者雇用実態調査という厚生労働省が5年に1度行っている調査があります。その調査で平成30年5月の平均賃金が割り出され、身体障害者は21万5千円、知的障害者は11万7千円、精神障がい者は12万5千円、発達障害者は12万7千円ということが分かりました。

厚生労働省 | 障害者雇用実態調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/111-1.html

ボーナスなしと仮定し、12万5千円×12カ月=150万円となります。ボーナスがあったとしても150~200万円くらいの収入です。体調や症状によっては出勤出来ない日も出てきます。そうなると150万円以下になる可能性もあります。そのためずっと生活費を援助する家族もいます。

年齢を重ねていくと医療費が若いころよりかかります。しかし若いころと同じように働くことは難しく、どうしても収入は減ります。段々と経済的な援助を続けていくことがつらくなっていきます。

8050問題の問題点・その2〈生活の負担〉

体調や症状によっては食事の用意、洗濯、掃除など日々の生活が難しい場合は親が代わりにすることも珍しくはありません。
また薬が出されていたとしても、朝にはどの薬をどれくらい飲むのか分からなくなってしまう人もいます。その場合、親がお薬カレンダーにセットしたり、時間になったら手渡しをしたりとしている家族もいます。

8050問題の問題点・その2〈介護の負担〉

親も若いうちは良いのですが70歳を過ぎると親自身の病気や介護の問題が出てきます。
介護で生活援助を受ける事ことが出来ます。生活援助とはヘルパーが自宅を訪問して掃除や洗濯、料理などの家事支援から買い物、通院同行など生活に必要な支援を受けることが出来ます。

しかし、あくまでも生活援助は介護を受ける人(利用者)が生活を営めるようにする制度です。

同居の家族がいる場合、生活援助を受けられないことがあります。家族が家事を行えると判断された場合は生活援助を受けることが出来ません。掃除に関して、同居家族との共有スペースの掃除出来ません。また家族の部屋の掃除も出来ません。洗濯も利用者以外の洗濯は出来ません。料理も同様です。利用者以外への料理や盛り付け、配膳は出来ません。

日常の家事から子どもと一緒に病院へ行くなどのことは家族自身がする必要があります。

家族の中だけで解決しようとしないこと

訪問看護をしている中で、行き詰ってしまっている家族の特徴に1つに「家族だけで解決しようとする」があると感じます。

家族内で解決出来ることであれば家族内で解決することが望ましいと思います。しかし問題が大きくなり、公的な制度を使っていかなければならない時は家族内で解決することは難しいかもしれません。

専門機関や専門家に相談することも1つの手です。介護であれば地域包括支援センターで相談することが早いかもしれません。それ以外であれば、当事者会や家族会に参加してみるのも良いと思います。

家族の事情は様々だと思いますが、もしかしたら当事者会や家族会の中で近い経験をしている人がいるかもしれません。どんな問題があって、どんな気持ちで、どんな試行錯誤をして、どんな制度を利用しているのか教えてもらえると思います。自分達が直面している問題を解決するための糸口になるかもしれませんね。

そして自分の気持ちや悩みをじっと聞いてくれます。それだけでも気持ちがだいぶ楽になると思います。

まとめ

8050問題はダブルケアです。つまり、様々な問題が複雑に絡み合っているため一筋縄ではいきません。

まずは悩みを誰かに相談出来る場を見つけて欲しいなと思います。

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