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詩 情念恋歌


こういう情念をとことん匂わせる女性というのは、やはり一夫多妻制時代、いやいや現実は多夫多妻もなかったわけじゃない、そんな時代の貴族に多かっただろうことは容易に想像がつく。

武家の時代よりももっと昔、男女の奔放さを歌に乗せてどこまでが戯れで、どこまでが本気か、その駆け引きがそのままその人の器量になっていた時代。

妻問い婚。そりゃ厳密な婚姻制度など、あるようで無いような社会なら、逆に恋は真剣勝負。思い通じて結ばれたとしても、その後も安穏とはしていられない。

一般庶民にしても、婚姻形態は変わらずただ、政治的背景があるやなしやの違いだっただろうから。
貴族に至れば周囲の思惑や駆け引きがあろうとも、それを凌駕するように遊びごごろを掌で転がしながら、御簾はさぞかし彩つくる舞台道具だっただろうと思う。

奔放さと嫉妬は表裏一体。恋が愛に変わるのは、いったいいつだったのか。

互いに本音と嘘のぶつかり合いで、恋はある意味芸術的だったのかも知れない。などと思いながら。


#詩 #散文

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