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詩 踊れや笑えや




さあさあ唄へ
やれ踊れ
共に笑ひゑらごうではないか
着物の合わせを緩める位では
物足りない
乳繰り合うてやれ踊れ
花街遊びは騙し合い
歌舞伎者とはしごく上等

男と女の戯れは
八百万への捧げ物 

男と女
互いの嘘を知りたくば
男が女に女が男
さあさあ入れ替わってやれ踊れ

アメノウズメよ
出雲阿国の踊りは楽しかろう
手を叩いて
喜んでおられるか

天下の事など降っては消える淡雪のごとく
いつの世であれ巷の衆こそ八百万
男と女のあれこれに
浮世の不条理を
笑ひゑらげば良いではないか

凍てつく空の 星を焼き尽くすほどに


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


二月の句会の記事で出雲阿国について触れた。
丁度江戸幕府が開かれた頃に活躍した踊り手だ。

舞と踊りは厳密には区別される。
その違いはいろいろあるようなので割愛するが、舞には白拍子や曲舞などがあり能が完成形のようだ。
一方で踊りは一般的にわたし達がイメージする通りで、盆踊りなどもある事から庶民的でもあるように感じる。

出雲阿国が見せていたのは舞では無く踊りだ。
歌舞伎の原型になるもので、有名なのは遊女歌舞伎と言われる踊りだと言う。
阿国が男性役を、夫が女性役を演じて濃密に触れ合い踊る。興行はいつも大盛況だったらしい。

また詩の中に出てきたアメノウズメは神話の世界に登場した日本最古の踊り手である。
隠れたアマテラスに出てきてもらうため、非常に力強くエロティクな踊りを見せて神々を笑わせた。
ある意味神話の原型を伺い知る、重要なキャラクターだと思っている。 

アメノウズメは後に国津神の猿田毘古神と出会い、恐らく妻になったと言う事なのだろうが、名を引き継ぎ猿女(神々を歓ばせるために踊るといったイメージで、巫女的な存在)の祖となった。と、される。
歌と踊りは神話の重要な要素であると考えている。


ところで出雲阿国は、元は出雲大社の巫女であったと伝えられる。そのことを最後に書き添えておこうと思う。


#mymyth  #詩 #創作

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