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木花咲耶姫•磐長姫

矢口れんと氏率いるnote神話部へ投稿いたします。
過去作でもいいとの事なので、日本神話から実際に語られているお話をもとに書いた、ふたつの(姉妹)詩作品を、ひとつのnoteにしてみました。
天孫とされるニニギのもとへ嫁いだ姉妹のお話。醜い顔の姉は追い返され、顔の綺麗な妹は不義を疑われました。


くやさくや
【木花咲耶姫】

咲くや咲くやどの花咲くや

コノハナ咲くやと唄ひつつ

不義を疑われるとは口惜しや

ならば

めらめら上がる炎のなかで

誠をお見せいたしましょう

咲くや咲くやどの花咲くや

コノハナ咲くやと唄ひつつ

晴れて柱を送り出し

やがて国土の祖とならん

さあ
さあいかに

いかにおなごの怒りを鎮めましょうや

あはれと化して後の世まで

語らるるとは尚口惜しや

さすれば火を守り水を守り

見渡す限りの雲に囲まれ

その胎内を清めようぞ

咲くや咲くやどの花咲くや

コノハナ咲くやと唄ひつつ

霊峰の頂に眠らん

 


永遠なれと謳ふ者 
【磐長姫】

しんしんと
深い水の底ですら命を永らへる

永遠なれと謳ふわたしは磐長

姉妹で嫁いでおきながら
醜い顔に生まれついたがため
粗末に送り返さるとは
受けたこの身のなんたる恥ずかしさ
天孫瓊々杵尊
何を持って忘られようぞ

かたや妹
美しきその姿をもってして
不義を疑わるとはあはれなもの
悔しさ募り
火中の産屋で三柱を
産み落とせし覚悟あっぱれなり

されどこの身の口惜しさ
追はれた以上情けはかけぬ
たとえ柱が国土の祖であろうとも
さあさあいかにせば
いかがせば不老不死を授けられようぞ

情の怖さを懐に秘め千の思ひと引き換へに
我が身を深き水底に


脈々と流るる終古の時に泳ぎ泳ぎて
死しても朽ちないわたしは磐長

永遠なれと謳ふ者

いつの日か
晴れて願へる時が来ば
水底よりその折こそわたしは叫ぶ

我が国土に力あれ


古事記ではイワナガヒメは石長比売、書紀では磐長姫と記載されています。岩のように、崩れない命を与えることができるようです。
瓊々杵尊は天孫(天皇の祖)とされていながら、度量の浅い身勝手な男として描かれています。
日本神話は記紀に統合され、オリジナルは不明。記紀の編纂は、天武•持統の時代です。

#note神話部 #日本神話 #詩 #過去作

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