2017年12月の記事一覧
それはわたしが決めたことだった
彼女の記憶のスタートはある年の12月24日だった。
それは得体の知れない『不安』という感情に包まれた記憶だった。
その夜、スープの冷めない距離に住む彼女の祖母が、珍しいことにケーキを持ってきてくれた。それもホールケーキをふたつ。ひとつは彼女の母親の妹、つまり叔母さんからのものだった。そしてそのケーキをテーブルに置くと、「これ食べておりこうにしていてね」と言い、家を出て行った。
後に残さ
彼女の記憶のスタートはある年の12月24日だった。
それは得体の知れない『不安』という感情に包まれた記憶だった。
その夜、スープの冷めない距離に住む彼女の祖母が、珍しいことにケーキを持ってきてくれた。それもホールケーキをふたつ。ひとつは彼女の母親の妹、つまり叔母さんからのものだった。そしてそのケーキをテーブルに置くと、「これ食べておりこうにしていてね」と言い、家を出て行った。
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