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【生徒指導提要#0】生徒指導提要とは?

 教員という仕事はどうしても経験則になりがちな気がします。生徒も1人ひとり違うので、同じ指導で何とかなるという問題ではありませんからね。ただ、根拠もなしに生徒指導するのはあまりにも横暴ですよね。教員免許を持っている私ですが、授業づくりに関しては勉強しましたが、生徒指導はあまり学習してきませんでした。私が教育学科でないからなだけで、みなさんは学習しているのでしょうか?
 実は学校における生徒指導は生徒指導提要というものにまとめられています。ふつう知っているものなのですか?私は教員をして数年たってから知りました。そして、また数年がたっていますが、まだ読んでいません。まずい気がしてきました。時代が変われば、社会も変わる。社会が変われば、子どもも変わる。ということで、令和4年12月に12年ぶりに改訂されたようです。これを機にちゃんと生徒指導提要を読んでみたいと思います。

そもそも生徒指導提要とは?

「生徒指導提要」とは、小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等について、時代の変化に即して網羅的にまとめ、生徒指導の実践に際し教職員間や学校間で共通理解を図り、組織的・体系的な取組を進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として作成したものです。

文部科学省:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1404008_00001.htm

  もちろん教員は経験も大切ですが、こういった基本書で共通理解を図ることも大切ですよね。何か問題が起きたときに、お互いが対処法を知っていれば、スムーズに事が進みます。その基本となるのが生徒指導提要ということですね。
 初めて生徒指導提要が作られたのは平成22年3月です。その冊子が自宅にありました。(配偶者は異校種の同業なのですが、ちゃんと勉強していたようです。頭が下がる思いです。)平成22年版と令和4年版の生徒指導提要の冊子を見比べると、そもそもサイズの違いがあるので一概には言えませんが、平成22年版は235ページ、令和4年度版は293ページとだいぶ増えています。定価の値段も税抜き276円から900円と上がっています。この辺は物価高の影響やカラー印刷になっているところが関係ありそうです。
 新旧対応表をつくろうかとも思いましたが、そもそも構成等が大きく異なり、単純な増補版ではないようです。



平成22年度版の生徒指導の意義

生徒指導とは、一人一人の児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、社会的資質や行動力を高めることを目指して行われる教育活動のことです。すなわち、生徒指導は、すべての児童生徒のそれぞれの人格のよりよき発達を目指すとともに、学校生活がすべての児童生徒にとって有意義で興味深く、充実したものになることを目指しています。 生徒指導は学校の教育目標を達成する上で重要な機能を果たすものであり、学習指導と並 んで学校教育において重要な意義を持つものと言えます。

生徒指導提要:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2018/04/27/1404008_02.pdf


令和4年度版の生徒指導の定義

生徒指導とは、児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、 自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う。

生徒指導提要(改訂版):
https://www.mext.go.jp/content/20230220-mxt_jidou01-000024699-201-1.pdf

令和4年度生徒指導の意義

生徒指導は、児童生徒が自身を個性的存在として認め、自己に内在しているよさや可能性に自ら気付き、引き出し、伸ばすと同時に、社会生活で必要となる社会的資質・能力を身に付けることを支える働き(機能)です。したがって、生徒指導は学校の教育目標を達成する上で重要な機能を果たすものであり、学習指導と並んで学校教育において重要な意義を持つものと言えます。

生徒指導提要(改訂版):
https://www.mext.go.jp/content/20230220-mxt_jidou01-000024699-201-1.pdf

 令和4年版では平成22年版にはなかった「生徒指導の定義」が明確に記されました。また、平成22年版では主語が教員で、教員の働きかけが主になっているのに対して、令和4年度版の方は児童生徒が主語になり「主体的」な行動がまずあったうえで、それを教員が「支える」活動だと言っています。最近よく言われる教員は生徒の「伴走者」であるというのを意識させられる言い回しになっているように思います。主語が変わるということは視点が変わるということ。別物になったと言ってもいいくらいの変化です。
 このように新旧対応を見ていっても面白いのですが、とてつもない量になってしまうので、今後は改訂版を読み解くこととしようと思います。余裕があったり、比較した方が理解が深まったりする場合は改定前の内容を適宜入れていこうと思います。
 専門家ではないので、解説というか、現場の実感を込めたコラムのようなものになりそうです。ご了承ください。次からは内容に入っていきたいと思います。

では、また。