避難所でのコロナ対策、どうするの?!〜昨年の豪雨で避難所を経験し、看護師として今考えるべきこと〜

千葉県では、昨年の台風15号、19号、そしてさらに低気圧の影響で豪雨をもたらし、甚大な被害がでたことは記憶に新しいだろう。
立て続けて起こる災害に、「なぜ、千葉だけ・・・」と思ったものだ。
私は、昨年から千葉県の小さな町役場で勤めている。まだ右も左も分からない状況で災害は起こった。

近くに大きな川と、海岸があるため、もちろん避難勧告が出された。
私は看護師として体育館の避難所に割り当てられた。役場内は急いでみんな防災服を着て、慌ただしかった。
他の課の人たちと体育館に到着し、準備をするが、数人が来るだけで、落ち着いていた。しかし、どんどん雨脚は強まっていく・・・。テレビでは「命を守る行動を!」と呼び掛けている。
すると、1人、2人と、避難所にも人が集まり始めたのだ。

最初はまばらだったが、どんどんスペースが埋まっていく。特に区画整理していなかったが、それぞれが毛布を敷いて場所取りを始めた。
一般的に避難所の収容人数は、
【アリーナ面積(m²)】÷【2m²/人】=【収容人数】
と言われている。この一人あたりの面積については、東日本大震災での最大収容時の面積が、一人あたり2.0m²だったため設定されたそうだ。
体育館の大きさは学校規模によってことなるが、文科省の学校整備計画を基準とすると、
  小学校の避難者収容人数は、832m² ÷2m²/人=416人
設定できる。私が担当する避難所でも、あっという間に100人を超えた。

避難所で、何をしているかというと、まずは受付だ。人数分の名前、住所、電話番号、時間等を記入してもらう。この作業だけでも大行列。
そして、人数分の毛布と水を渡し、案内する。そこまでは、まだ良い。
そのあとは、体調不良者がいないかどうか、健康チェックをしなければならない。しかし、一人ひとり持病の有無を聞いていたら、キリがなにのだ。
もちろん中には赤ちゃんからお年寄りまで年齢層は様々。見た目では分からない障害を持つ人もいる。そこを管理するとなると、気が遠くなる。
炊き出しが届けば、全員に配り、「寒い」「暑い」「うるさい」など、それぞれの声に耳を傾ける。それを3班に分かれて、24時間対応するのだ。
幸い川の氾濫もなく、1日でほとんどの人が帰宅したが、停電が続いたため、避難所が閉所するまで5日ほどかかった。

やっと災害から復興してきたと思えば、今回の新型コロナウイルス感染症だ。
こんな状況で災害が起きると、「3密」は避けられない。厚労省からは、「可能な限り多くの避難所の開設」するよう通知が来た。
近隣は観光地であるため、ホテルや旅館は多い。だが、場所が確保できたところで、だれが対応する?
小さい町役場で医療職はたった6人。職員で対応したとしても、人員が足りない。隔離できたとして、症状の有無だけで区別すると、感染していない人まで感染するリスクがある。大きい病院の無い町は、不安でいっぱいだ。

感染者を出さないための対策として、まず、「避難所に行かなくてもいい環境」を作ることだ。例えば、あらかじめ親戚や友人の家への避難を検討すること。
町では、大きい特別養護老人ホームでの避難所受け入れを依頼した。昨年の大雨でも、小さな事業所で、全員を避難所に連れていくことが困難なため、近隣のその特養に避難した。トイレも広く、ホールなどを活用し、安全に過ごすことができた。
あとは「避難所における感染症マニュアル」における症候群サーベイランスの内容を参考にし、到着時に行うこと。
手洗い、咳エチケット等の基本的な対策の徹底、十分な換気、スペースの確保、隔離できる環境の確保・・・・・・・。
それでも感染者がでない保証などない。

私が言いたいのは、政府や行政に頼るのではなく、一人ひとりが緊急時にどのように動くべきなのか、あらかじめ考えておくべきということだ。
どこに避難するのか、どのくらいの物資が必要なのか、家族で話し合っておこう。

避難所のリスクは「コロナウイルス」だけではない。その他の感染症や、災害関連死も考えられる。
いつ、どこで起こるかわからない災害。
起こる前に備えておき、そのような事態に陥っても慌てず冷静に判断することが重要だ。

と、こんな記事を書きながら、我が家の備蓄していたミネラルウォーターの期限が半年も過ぎていた・・・・( ゚Д゚)チーン

避難所の課題は永遠のテーマだ。ただどんな事態が起きても冷静に判断し、混乱の内容対応できるよう、日ごろから情報収集をし、医師会や民生委員とも連携を取りながら、最悪のケースを想定した対応を考えていきたい。





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