ミドマガWeekly番外編 『僕たちがエールを届けながら考えていること』 【vol.5】
順調に大きくなるクラブ。関わる方も多くなりました。
熱心に応援する人・家族ぐるみで楽しむ人・支えるスポーツを実践する人。
となりの人がどのようなことをしているのか。
身近なコミュニティがどのような取り組みをしているのか。
見えづらくなってきたのも事実です。
素晴らしい活動や、多くの方に知っていただきたい考え。
そんな モノ や コト を不定期に紹介していきます。
『 僕たちがエールを届けながら考えていること 』
クラブから育成サポート会員組織の発足が発表されました。その名称に少しザワついたところもありましたが(笑)、長きにわたり、その発足が期待されていた組織であります。
今回は、アカデミーの活動をサポートし続けている あんぜろっと さんに、お話を伺ってきました。アカデミーに関するあれやこれや。入会をご検討されている皆さんの一助になればと思います。( 取材日:2019年8月14日 )
■まずは自己紹介から
―― 随分、昔から松本山雅に関わっていると思っているのですが、どんな経緯だったのですか?
あんぜろっと JFL 1年目からですね。そんなに古参じゃないです(笑)。2010年のW杯で長谷部選手が「Jリーグをよろしく」みたいなことを言っていて、近場のサッカーを観に行ってみようと。山雅の存在は知っていましたから。車を買ったところだったので、ドライブがてら行ってみたのが初めてですね。ジェフリザーブズとの試合で、柿本選手が4点取ったことを覚えてます。何も知らかなったんですけど、4ゲートから入ったら「ゴール裏歓迎」の幕があって。そのままゴール裏に行きました。端っこにいたのですが、居心地が良かったです。それからチャントも調べたりするようになって。
ゴール裏という意味では、2011年くらいが一番熱くやってました。アウェーの秋田には、前日にふと思い立って午前3時くらいに自走で向かいました。この辺はしゃべり始めると長くなりますよ(笑)。ちなみに初めてゲーフラを作ったのはUMのゲーフラ作成会です。
―― ゴール裏でサポートしていた人が、ユースの“沼”に落ちて行ったのはなぜなんです?ハマると深い沼だというのは聞いているのですが(笑)。
あんぜろっと そもそもはトップありきだったんですけどね。みんなそうだと思うんですけど。
将来を考えると、下部から上がってこないといけないのだろうなと漠然と思っていて。色々と調べていく中で、移籍金ビジネスだとか連帯貢献金だとかを知って。香川選手がドルトムントへ行ったあたりですかね。お金の流れから詳しくなったところはあります。
僕は、俗にまみれたスタートだったのですが、試合を見ると選手はピュアで心打たれるんです。2012年のJユースカップだったと思いますが、ぼこぼこにやられた試合の1週間後に、見違えるような試合をして。これはすごいぞとなりまして。声出し応援をやると、選手の頑張りに、即、繋がっていることもわかるんですよ。近いということもあるんでしょうけど。
声だし応援は、僕が最初に始めたわけではないのですけど。当時は、現コールリーダーがまとめてくれていましたね。
―― 継続して見ていると、アカデミー組織としての変化を感じれると思うのですが、どういう印象をもっていますか?
あんぜろっと 変化のスピード感はトップより早いですよ。どこまで多くの人に届いているかわかりませんが。
2012年のサポーターミーティングで質問したんです。育成組織をどう考えていますか、ってふんわりした感じで。その時の回答は、トップが魅力的になれば、おのずと強くなります、というもので。正直、アカデミーまで考える余裕がないよ、というものだったと思います。
変化として、大きかったなと感じるのが岸野靖之さん(元鳥栖などの監督)が来られたことです。プロになることを逆算して指導していた感じですね。
ホームグロウンの件で、皮肉を言われたようなこともありましたけど、そんなことは全くなく、めちゃくちゃ伸びています。
2012年くらいの時は、土のグラウンドで団子サッカーやっていた感じだったんですが、2016年秋のJユースカップではベスト4です。4年ですよ。わずか4年で全国トップレベルになったって異常ですよ。これはアピールしておきたいです。
■ホームグロウンについて
―― 春先に、松本はホームグロウンを満たすことができず、ネガティブなイメージのニュースが流れました。クラブが意図を強く持って対応したことなので、決してネガティブなものではないのですが、どのように感じましたか?
あんぜろっと ホームグロウン制は、歴史の浅いクラブにはしんどいですよね。アカデミーは文化、時間が必要です。強制的な底上げにはつながると思いますが、後発クラブは基準を満たすのに苦労するでしょう。
小松選手の期限付き移籍は当然かなと。1トップ型ポストプレーヤーの3番手・4番手という状況の中で、試合に出ることを優先させた。もう2か月遅らせて、基準を満たしてから送り出すのではなく、キャンプに間に合わせる形で送り出したことは、「試合に出る」ということを最優先したのだと感じます。スタメンが確約されない状況でキャンプ後に合流したのでは、アピールが足りず試合に出るチャンスを減らしていたかもしれませんよね。向こうでも人気が出たようですから、良かったです。
―― 大然もいなくなってしまいました。どうなるんですかね?
あんぜろっと どうなるんでしょうね。人数的にはいるのだと思いますけど、本人やクラブの将来にとって良い判断と、基準を満たすことは違ったりしますし。僕らが悩んでもね(笑)。
将来という点では、楽しみにしている部分も大きいです。アカデミーでは、5レーンをやろうとしていることを感じますし、Bチームで守備を鍛え、そこで獲ったボールをどう展開するかをAチームでやっていたりする。単純に制度を満たしているかどうかよりも、技術や戦術を身につけた選手を送り出そうとしていることを理解できると、楽しみの幅が広がります。
■RAZUSO に期待するところ
―― アカデミー関連で大きなニュースがありました。支援組織が立ち上がります。どんな感想をお持ちか聞かせてください。名称はどう思いました(笑)。
あんぜろっと ノーコメントで(笑)。各クラブで色々な名称がありますが、セレッソのハナサカクラブは良いですよね。他クラブの制度はあまり意識したことがないので、詳しくはないのですけれど。
ユースのバスがあればいいなと思ってるんですよね。環境面では、他と比較するとまだまだというところも大きいですし。
目的には、環境整備もうたわれています。増えたとはいえグラウンドはまだまだ少ないので、金額的に難しいとは思いますけど、期待してしまいますよね。
とにかく盛り上がってほしいです。見返りがほとんどない中で、夢を買うというか、託すというか、そういうものだと思います。この組織を通じて関わった人が、支援を受けた選手がトップチームに入っていく未来を、お互いに共有する場になればいいですよね。
大然がA代表に入った時の「 うちの子 」感は、多くの人で共有できた感情だと思います。これがユースで成長を見てきた選手であったらどうであったか想像すると、さらにヤバいなと(笑)。思い入れが違ってきますよね。
―― 時間がかかってくるものですけど、新しいクラブとのかかわり方として浸透して行ってほしいですよね。目標金額といったことは知りませんが、うまくスタートしてほしいものです。トップチームと変わらないアカデミーへのサポートを考える時期なのかもしれませんよね。
あんぜろっと ただ「お金をください」という関係になってしまうと、先は長くないと思うんです。どういう選手を育てたいのだとか、選手の成長具合だとか、活動の内容だとか。そういう報告は求めたいですよね。
こういうビジョンを描いています、ということを発信してほしいなと思います。捉え方としては、個人スポンサーみたいなものだと思いますし。様子がわかるようにはしてほしいですよね。求めすぎなような気もしていますが。僕らはサポーター目線で語りますけど、クラブ目線でどう考えているかは共有しておくべきだと思います。
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お話を伺う際に、お互いに持ち寄ったものがセレッソの育成を題材とした書籍。松本が描くビジョンとどこまで似通っているかわかりませんが、僕らが「育成」を理解する一助にはなるのかなと思います。
セレッソ・アイデンティティ 育成型クラブが歩んできた20年
少し古い記事ですが、こちらも是非お読みください。
結果を出す人材としくみの作り方ーーなぜセレッソ大阪は、香川や柿谷を世界プレイヤーに育てられたのか?
インタビュー後に あんぜろっとさんが、他クラブの様子をまとめてくださいました。非常にうまくいってるところもあれば、苦戦が感じられるところもありまね。後発クラブは不利な点もありますが、先発クラブの事例を参考にできるというメリットもあります。うまく軌道に乗せていけることができればなと思います。
なにか具体的に行動できないかということも話題に出てきました。こちらに進展があれば、改めて皆さんにお知らせしたいなと思います。
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