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これから強いのはJリーグ中断を遊べるファン

感染症の影響でJリーグが中止になってはや2週間たちました。
依然として終息はしておらず、これ以上の延期も仕方ない状況です。

再開の見通しが立たないなかで心配事も増えていきます。
延期による過密日程は、J2+ルヴァン杯を戦う山雅にとって特に気がかりなところ。
またクラブの財政的なダメージを危惧する報道もありました。

しかしその反面、サッカー界がただ凹んでいただけだったかというと、決してそんなことはありませんでした。
むしろこの状況を逆手にとり、様々な楽しみ方が生まれています。

▼中断から生まれたヒット作たち

この中断期間で一番のムーブメントは『#エアJリーグ』でしょう。

中止発表後に『#エアルヴァン杯』という形で突如現れたこのタグは、瞬く間に各クラブのファンに広がりました。
その数日後には、クラブやDAZNの公式アカウントもこれに便乗。
最終的にテレビでも取り上げられるお祭り状態となりました。

ファンの発想から生まれた企画は他にもあります。
新潟サポの間では開幕戦を1週間遅れで振り返る『#リプレイ群馬vs新潟』のタグが発生。
こちらもなかなかの盛り上がりを見せていました。

別角度で切り込んだのは『#今こそJサポーターがスポンサーを応援する時』
外出自粛などで経済的な影響を受けるスポンサーを支えようと、ファンが率先してPR活動を行いました。
苦しい時にエールをもらったスポンサーはきっと、そんな熱い人たちが支えるクラブをこれからも支援していこうと思ったのではないでしょうか。

またクラブ主体では、大宮の『#リモファン』がありました。
練習場にも行けない状況だからこそ、選手たちとTwitterで交流できるこちらの企画。

実は先駆けて山雅も同じ趣旨の企画をやっていましたね。
選手の素に近い部分も見られましたし、ファンサービスの新たな形として興味深かったです。

▼空白の時間を埋めた『エアJリーグ』

試合がない中でも趣向を凝らした企画が生み出された2週間。
何より素晴らしかったのは、これがJリーグのPRに繋がったことだと思います。

Jリーグにとってこの中断期間は、試合もなければ移籍ニュースもない、いわば空白の時間と言えます。
世間にJリーグの存在を覚えていてもらうためにアピールは不可欠です。
それなのにとにかく話題がない。
自分たちでイベントを開催しようにも集会が制限されるのでやれない。
まさに圧倒的話題不足というのが今のJリーグの状況なのです。

そんな中で『#エアJリーグ』は、ネットの枠を飛び越えて大きな話題を作り出しました。
それもJリーグのユーモアやノリの良さをアピールするムーブメントとして。
定番のイニエスタやカズの活躍とは全く違うインパクトが、このニュースにはありました。

お客さんを増やすために地上波で取り上げられたいプロスポーツなんていくらでもあります。
ですが狙ってバズろうとしても簡単ではないのが現実です。
それでもJリーグは逆境の中でゼロから話題を作り、世間にアピールすることに成功しました。

現在も他スポーツや音楽業界にも広がっている『#エアJリーグ』
これを生み出すことでポジティブなニュースを届けられたのは素晴らしかったですし、賞賛されるべきファインプレーだったと思います。

▼次にバズるのはあなたかもしれない

更にもう一つ、これらのムーブメントで特筆すべき点があります。
それは多くのケースで発信の主体がファンだった、ということです。
『#エアJリーグ』にしても『#今こそJサポーターがスポンサーを応援する時』にしても、構図はファンが発信した企画に公式が乗っかる、というものでした。

エンタメ業界に限らず、旧来のプロモーションはあくまで売り手が主体。
公式⇒ファンという構図はいまだに多くのケースで当てはまります。
しかしこの非常事態においてそれは完全に逆転し、ファン⇒公式という新たな構図が確立されたように思います。
この意味は大きいです。

思うに「Jリーグの素晴らしさ」を伝えられるのは、クラブではなくむしろファンなのではないでしょうか。
売り手であるクラブが自社の商品=Jリーグを良いものだと言うのは、当たり前なこと。
それゆえにどうしても旧来の宣伝の枠を出るのは難しく、共感を得にくいのではないかと思います。

しかし買い手であるファンが商品を宣伝したら、どうでしょう。
新規のお客さんと同じ立場である私たちが、実感と熱量がこもった「買ってよかった」の声を届けられたら。
ネットショッピングでメーカーの商品紹介よりユーザーレビューが重視されるのと、原理は同じです。
いまの時代、本当に伝わりやすいのは、売り手より買い手の声なのではないでしょうか。

発信の主体が逆転し、ファンの役割はスタジアムでの応援者という枠を越えて、更に大きなものとなっていくはずです。
創造力を駆使して「面白そうだな」「カッコいいな」「この人たちの仲間に入りたい」という共感を生み出せるファンは、クラブを広く知らしめ、愛着を持たせる存在として機能していきます。
いわばファンがクラブのブランディングを担う時代です。

特に遊びの中からコンテンツを作れるファンは強いと思います。
面白いネタはすぐに拡散される環境が整っているので、届きやすいし伝わりやすい状況になっています。
中止ばかりで公式がコンテンツ作りに苦心する中、Jリーグにこういったファンがいることはじわじわ効いてくるのではないかと思われます。

山雅でもこの中断期間中に『#あなたの山雅史上ベストゴールを教えて』のタグ遊びが生まれていますが、これだってブランディングに繋がるはずです。
私たちの心を動かしたベストゴールを語る企画は、どう語っても熱くならざるを得ません。
こういう熱量が滲み出るツイートをたまたま目にして「へえ」と思っている人が、将来誘われた時に「面白そうだから行ってみようかな」となればいいですよね。

まだ中断は明けそうにありませんし、せっかくだから遊んでみませんか。
その遊びが新たな仲間を増やしたら素晴らしいじゃないですか。
もしかしたら、次にバズるのはあなたかもしれませんよ。

Written by ようへい

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