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おじさんが坊主にした理由(東京都在住30代男性歌人の場合#2)

エクステでExcelスキルを付け足して説明できない関数を組む

自作短歌

男の子といえば、年頃になると、ワックスで髪型遊んじゃう派と寝癖は水で直しちゃう無造作派の2派閥に分かれる。

私は、校内でも名うての無造作派でならし、寝癖を直すのも自然の摂理に反するというスピリチュアルな考えから寝癖を尊び、細かすぎて伝わらないモノマネが放送されるはるか昔から、「メガネをかけていない羽生善治」という持ちネタがあったのだが、高校3年間、気を遣われてややウケという結果となり、友人、教師、親に多大なるご迷惑をかけたことは現在でも反省している。

その後、大学生になると、経験がないために髪型をカッコよくできないという事実と向き合いたくなくて、「カッコつけようとすることがカッコ悪い」という典型的な本当はカッコよくなりたいけど自意識が邪魔をする陰キャそのものになり、より寝癖をつけていった。

しかし、就職活動が始まると、そうも言っていられなくなり、寝癖を直さざるを得なくなるが、ちょうどいい髪型がわからず、かといって、それを素直に相談できる友だちもおらず、「ジェルたっぷり七三分け」というサラリーマン過激派の髪型に行きついてしまった。

ただ、この「ジェルたっぷり七三分け」にもいいところがあって、この髪型自体にコスプレ感があり、面接で理不尽なことを言われたり、就活生からマウントを取られても、「今は就活生のコントをやっているだけ」という気持ちになることができ、「やりすぎ就活生君」というコントキャラで無事就活を乗り切った。

社会人になっても、七三分けコントキャラを続けていたのだが、毎日早くて終電、遅ければ始発までという労働環境の中で、結局根っこがスピリチュアル陰キャなので、しっかり病んでしまい、1年を過ぎたあたりで心療内科様にお世話になるとともに、無造作ヘアに戻した。

その後は、千円カットで「耳が出るくらい。前髪が眉が出るくらい。後ろは刈り上げないでください」の一辺倒で過ごしてきた。

一度だけ、美容室に行ったのだが、イケメン美容師から1ナノマイクロミリメートルも共感できない「彼女がビッチ(筆者要約)」という話を聞かされ、最後に「トップの部分遊んじゃう感じですか?」というヘブライ語みたいな理解のできない言語を告げられ、「えーっと、今日は、遊ばない、感じですかね。あざす」と雰囲気に飲まれ心にもないことを言ってしまう自分の心の弱さに直面することになり、今生での美容室との御縁は切れました。

美容室さん、短い間でしたが、お世話になりました。

そんな中、ここ数年で、加齢臭というものが発生してきた。

もう単純に無造作でいると周囲に御迷惑をおかけする身体になってしまったのである。

自分が20代のときに「あのおじさん臭いな、近づくのやめよ」と思っていた職場のミドルに自らがなってしまったのである。

そのことへの対処として、髪型をほぼ坊主に変えた。

完全なる坊主にしなかったのは、20代半ばに、理不尽なプロジェクトをこなしたあと、抗議の意味で坊主にしたことがあったのだが、抗議の意味は伝わらず、私生活で何か問題を起こしたらしい、という噂が0.01里を駆け巡ってしまったので、若干真ん中は残す形にしたのだが、やはり、会う人会う人に「なんかあったの?」と心配されるので、よっぽど私生活に問題を抱えていると思われているらしい。

このため、現在、極めてレイザーラモンRGとルックスが近くなっており、「あるあるの言えないレイザーラモンRG」というモノマネを披露したくてウズウズしているが、中間管理職がそんなことを言い出すと周囲を困惑させるだけなので、そっと胸にしまっている。

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