台湾の大型音楽フェス「浪人祭(Vagabond Fest.)」を現地レポート!日本からはSunny Day ServiceやEGO-WRAPPIN'も参加
どうも、台湾在住、日本語で歌ってるバンド「ゲシュタルト乙女」のボーカルMikanです。
この度midizineにて「ゆらゆら台湾」を連載することになり、今回で第7回を迎えました!本連載では音楽に限らず、台湾情報をゆらゆらと発信!台湾現地の最新情報、面白いことを、時差なしでお届けします。
十月末に突入!! やっと肌寒くなってきたー!台湾はもうやっと秋冬のファッションを楽しめる季節になってます!(笑)。10月14日から10月15日にかけて、通訳の仕事で私の地元、台南で開催された音楽フェス「浪人祭(Vagabond Fest.)」へ行きました。今回は浪人祭でのレポートを通じて、皆さんに台湾の音楽フェスの良さを紹介します!
「浪人祭(Vagabond Fest.)」とは?
日本人からしてみると「浪人祭」の「浪人」って、受験や就職に失敗して、次の機会に向かけて頑張っている人のことを思い浮かべて、面白いなと思うかもしれませんが、実は、フェスのオーガナイザー「笨道策展有限公司」の代表・蕭達謙(Echo)によると、彼の大好きな漫画家、井上雄彦の名作『バガボンド』にインスパイアされています。ちなみに「浪人」って、台湾華語では「さすらい人」を意味します。
初回は新北市・貢寮で開催。ビーチの掃除も行う、エコフレンドリーなコンセプトを打ち出し、金曲賞受賞アーティストを呼んだことで、参加者は1,000人にも満たなく、大赤字で終了したそうです。
初回の後は、コロナ禍に見舞われ、開催場所を台南の安平に変えます。数千人を動員し、感染拡大防止に努め、安全な運営を実現。赤字から黒字転換することができました。第3回が開催された時は、ちょうど台湾でのコロナ禍が少し落ち着いてきたところで、ライブ音楽を求めていたオーディエンスが、リアルの会場の雰囲気を楽しみ、厳格な水際対策が敷かれていた頃のピリピリしたムードも和らいでいました。
マスク着用の制限が解けた今、台湾のアーティストたちのスケジュールはぎゅうぎゅう詰め。ライブの主催者にとっても、競争性が高い中、大好評の「浪人祭」には一体どんな魅力があるのでしょうか?今回は「浪人祭」の現場の雰囲気やその特徴、また台南の美味しい食べ物を紹介します!
まずは開催地へのアクセスを紹介します!
私は現在、台北在住ですので、台南まで高鐵(新幹線)で移動しました。台湾でもまだ知らない人がいいるのですが、実は新幹線・台南駅から、台南市の中心地まで少し距離があります。必ず新幹線・台南駅から、火車(普通電車)の駅「沙崙駅」に乗り換えて、市の中心地に位置する駅「台南火車站」まで移動して下さい。「台南火車站」からはタクシーで安平区の会場へと向かいます。タクシーの料金はおよそ250元〜280元です。
台南は少し不便なところがあり、高鐵・火車の台南駅、そして市のバスターミナルはそれぞれ違う場所にあります。なので、台南を訪れる方はアクセス方法を事前に確認するのをおすすめします。
日本から「浪人祭」目当てで台湾と訪れる場合、高雄空港(KHH)を利用した方が便利です!桃園着(TPE)の場合は、台北駅からのルートを参考にして下さい!
以下は日本から「浪人祭」に参加する場合の、3つのルートです。
ついに会場に着きました!入口の看板がとても色鮮やかでテンションが上がりますね!
着くとすぐに、入り口で記念写真を撮る人がいっぱい。来年6月に卒業を迎える学生たちはワイワイ賑わっており、アカデミックドレスに着替えて写真を撮ってる子たちも沢山いましたね。
入ってすぐ目に映ったのは2つの最大ステージ、「鯤鯓」と「劍獅」。そのさらに奥にあるのは「風獅」、「金鶴」と「小嘻門」。ラインナップもジャンルレスで、多様性のあるフェスですね!
また、台湾のバンドのみならず、日本や韓国、タイ、オーストラリアなど、海外のアーティスト・バンドも出演してます。日本から出演したアーティストはEGO-WRAPPIN'、秋山黄色、MAX'N、Sunny Day Service、The fin.、DYGL、xiexieなど。今年は5周年を記念し、規模を拡大し、100組以上が参加してます。チケット発売後、1ヶ月ほどでソールドアウトし、開催期間の3日間で約8万人を動員しました。台湾有数の規模を誇るフェスティバルへと進化しました。
音楽のライブだけではなく、今回は対談形式で講義が行われるステージ「浪人塾」がありました!
メディアやレーベルの関係者、DJ、Youtuberなど、音楽業界の最前線にいる人たちがここで意見を述べており、音楽業界を目指す人にとって勉強になる内容だと思います。
また、環境保護を大切にする「浪人祭」には、大きな特徴があります。
フェスの開催に合わせて、ビーチ掃除の活動も行います。現場で販売した食べ物・飲み物は全てリサイクル食器を使用してます。購入する際は、食べ物・飲み物の費用以外に、食器は別途レンタル費用として30元ほど徴収されます。そして、食器を返却すると20元のキャッシュバックがされます。会場内でも多くの食器の洗い場が設置されていて、自分の箸やスプーンの持参を推奨したりと、環境保護への取り組みがとても素敵で、台湾のフェスの中でも珍しいと思います。
今回は通訳として参加したので、全てのパフォーマンスは見れませんでしたが、仕事の合間で聞けた・見れたアーティストを紹介します!まず移動中にちょうど通りかかって、残念ながら少ししか見れなかったけど「素敵!」と思った台湾のバンド、非人物種、午夜乒乓、Robot Swing ft. 洪佩瑜、deca joins。
ゆっくり見れたのは、この間、日本ツアーを終え、2021年の金音奨で、アルバム『歹勢好勢』が2度目の「最優秀ロックアルバム賞」を受賞した、拍謝少年(Sorry Youth)!ライブは音源よりさらに迫力があり、お客さんの歓声が重なり、徐々に盛り上がっていく演奏が最高ですね。地道ながらも着実にキャリアを歩んでいく拍謝少年を尊敬します。彼らは11月3日、東京で開催された「𝘽𝙞𝙆𝙉 𝙎𝙝𝙞𝙗𝙪𝙮𝙖 𝟮𝟬𝟮𝟯」にも出演しました。
また、夜間限定 wannasleep & Gummy Bのパフォーマンスも良かったです!
こう言うと、「夜間限定」はユニット名のように思われる方もいるかもしれませんが、実は台湾の音楽レーベルの名前です。
マネージャーの張晴とプロデューサーの張瑜、映像制作監督の林子恩、ラッパーのwannasleepとgummy bの5人によって結成された新鋭レーベルで、多くのリスナーから愛されています。
音楽から映像まで手がける夜間限定は休憩のため、活動を一時的に休止していましたが、所属アーティストのGummy Bとwannasleepによる初のコラボレーションEPが大きな話題を呼び、華々しいカムバックを果たしました。フェスではEPの中から楽曲『DON’T SMOKE』が披露されました。大胆な歌詞と斬新な音楽スタイルが魅力の楽曲で、ライブの様子がネットでもバズってました。
Gummy Bとwannasleepのバックはフルバンドセットで、楽器がパートごとに際立つ魅力的な演奏で、二人のラッパーの良さを引き立てました。私が所属するバンド、ゲシュタルト乙女が今年行なった台日ツアーで、サポートドラマーとして参加してくれた、小潘(パン)もいました!かっこよかった!!(笑)。ライブということもあり、お客さんはすごい盛り上がってましたね!ライブ後はみんな満足げな様子でした。
そして、私にとっては今年2回目となるEGO-WRAPPIN'のライブ。本当に贅沢なことです!!最高。
秋山黄色さんのサポートベーシストとして台湾に来ていた、私の大好きな赤い公園のひかりさんと4年ぶりに再会できました!ライブ観ながら感動しすぎてちょっと泣いてしまいました。台湾でとても人気な秋山黄色さん、ライブの演奏と歌唱力にとても感心しました!
Sunny Day Serviceの開演を待っていた時、ゲシュのファンの方がちょうど隣にいて声をかけられて、最近行われたライブにほぼ全て来てくれたとのこと。私からも「ありがとう」って伝えられてよかったです、嬉しかったです。ゲシュのTシャツで参加してくれた方もいました!とても嬉しい。
いよいよ最終日の大トリ、全オーディエンスが魅了された、Sunny Day Service。
スリーピースの直球なサウンドで、オーディエンスの心に感動を打ち込みました!
楽屋でSunny Day Serviceのボーカル、曽我部恵一さんにお会いできました。「あなたのバンドは日本で話題になってるよ!」と言われて、すごく救われました。。。これからももっと頑張ります!!
今回は本当に思い出深いフェスになりました。その余韻を噛み締めながら、会場から離れます!帰りはシャトルバスかタクシーで市の中心に戻ることができます。
安平の綺麗な夕日と共に音楽を楽しめるのは最高ですね!
環境を大事にするコンセプトもとても魅力的です。何より、誰もが自分の好きな音楽を見つけられるフェスで、これが沢山の人に愛される理由だと思いますね。フェスの今後のさらなる発展に期待しつつ、台湾旅行をきっかけに海外からも多くの観客が参加してくれたらいいですね!!(ゲシュもまた出演できますように頑張ります!)
以上、ゆらゆら台湾 vol.7 でした!また今度ね。
midizineは限られたリソースの中で、記事の制作を続けています。よろしければサポートいただけると幸いです。